プロローグ?
初めまして!><
初心者ですが、よろしくお願いしますm(_ _)m
初作品ですので、見苦しい所も多いかと思います。ご指摘があれば遠慮なくお願いしますm(_ _)m
あぁ、面倒くさい。
本当に面倒くさい。
どうしてこんなことになってしまったのか。
何度振り返っても後悔しかない。
私は脇役Bこと安土美穂。今日から高校1年生だ。ついでに、前世の記憶も持っている。あ、痛い感じの子じゃないんで。ほら、今どきの小説とかでいう転生ものってやつだよ。
突然だけど、どうやら私のいる世界は乙女ゲームの世界だったようだ。しかも、私はヒロインではなく友人その2くらいの立ち位置で生まれ変わったみたい。
なんで分かるかって?そんなの私がそのゲームをプレイしたことがあるどころかたいていのエンドは見るほどにはハマっていたからに決まっている。まだ見てないエンドもあったみたいで、それは無念だけど。ついでに設定集も買った。
中二の時に思い出すまではここがゲームの世界だなんてわからなかったけど、思い出してからは今までも思い当たることがあった気がした。別にその学年特有の病気とかじゃないよ!
ほら、最近よくあるヒロインの友人に転生しちゃった!傍観決め込もうとしたらいつの間にか逆ハー状態だよ!おかしいな!って感じのあれだよあれ。あんな感じ。
ただし、まだ逆ハーは築いてないけど。築く気もないけど。
ん?理由?面倒くさいから、それにリスクが高すぎるから以外の何がある。傍観する気はあるが、何が嬉しくて逆ハーを築かなくちゃいけないんだ。
そう、私はこの状態をあまり喜んでいない。それどころか嘆いている。いやまあ面白がってもいますが。
なぜなら、この乙女ゲームがダークな内容だからである。
このゲーム、後半に入ると人がすぐ死ぬのだ。それはもうごろごろ死ぬ。ハッピーエンド系だとましだったかもしれないが、それでも選択を一つでも間違えるとすぐバットエンドに直行だし、その大半は学園崩壊だしで、バットエンドの数が何十個もあるのだ。
主人公の友人その1(つまり親友ポジション)ならまだしも、大した役割もない友人その2なんてすぐに死ぬに決まっている。そもそもこのゲームは主人公の友人はその1くらいしかシナリオに関わらない。いてもいなくてもあまりストーリーに関係はないのだ。つまり、主人公に近づかなくても問題ないということ。
それに、バットエンド以外でも死亡フラグはあちこちに転がっている。死亡フラグ回避のためにも主人公には直接関わらないようにしなくてはいけない。攻略キャラと直接関わるつもりもないが、その中の1人が担任らしいので多少の関わりは仕方ない。もともと攻略キャラは全員生徒会メンバーだし、担任以外とは関わる機会もないだろう。警戒を怠るつもりはないが。
たかが高校が舞台の乙女ゲームで何をそこまで、と思うかもしれないが、このゲームをなめちゃいけない。そこんじょらのホラーゲームよりも怖い、絵がリアルすぎる、後半ダークすぎるだろと某大型掲示板では大絶賛だったのだ。ハマる人よりもトラウマになる人の方が多かったみたいだし。その評判が広がってからは乙女ゲームとして買うよりもホラーゲームとして買う人の方が多かったらしいし。少なくとも乙女ゲームとして買った人には夢にまで出てきてトラウマになる人が続出したみたいだ。
そんな多くのプレイヤーにトラウマを植え付けたゲームのストーリーは、至って普通といえるもの。
一般人にはない特殊能力、略して「特能」を持つ子どもたちが集められた暁学園高等部に、一人の新入生がやってくる。珍しい後天性の特能を持つ彼女は可憐な容姿も相まって学校中の注目を集め、様々な事件に巻き込まれていく。そして、そんな中で出会った生徒会のメンバーたちとの間で、愛を育んでゆく――。
共通ストーリー的にはこんな感じ。
ここで問題なのが、この特能だ。ゲームでプレイしている分には問題ない。人が死ぬシーンはがっつり描かれているが、それでもプレイヤーは直接は傷つかない。心に傷を負う場合は別にして。
けれど。けれどだ。これが現実となると話が違ってくる。
攻略キャラの使う特能が、強すぎるのだ。例えば、とある攻略キャラは火を操れる。とある攻略キャラは身体を強化できる。魔法並みに。魔法って見たことないけど。とある攻略キャラは人の行動をある程度操れる。とある攻略キャラは空気を操れる。つまり空を飛べる。これはすごく羨ましい。私も飛んでみたい。ゲーム内には主人公がこの攻略キャラと一緒に空を飛んでいるシーンがあった。主人公ポジションに行きたいわけではないが、ここだけは羨ましい。
話がそれた。とにかく、こいつらはヒロイン以外、ルートによってはヒロインでも、容赦なく特能をぶっ放すんだ。それはもう力強く。遠慮なしに。
ほら、危険だろう?こいつら、普段はおとなしくしているのに、話が進むごとにどんどん特能を使うことを躊躇しなくなるんだぜ?友人だろうが邪魔するものは許さねえ!おりゃあっ!ってなるんだぜ?怖いわー。マジ怖いわー。
その特能持ちの集められた暁学園だけど、特能持ちが初等部から強制入学させられているってことはあまり知られていない。世間の認識は偏差値がバカ高い金持ち校、といった感じだ。実際私も思い出すまではそういう風に見ていた。
昔特能が発覚した時、その能力を使って悪さを働いた者がたくさんいたそうだ。それと同じくらい文明の発展に貢献したものもいたそうだが。
ゆえに、政府は特能持ちを隔離し教育するために暁学園を作った。5歳になる子どもは特能を持っているかどうかを調べ、持っていたら翌年から暁学園初等部に入学しなければならない制度を作った。ほとんどの特能持ちは先天的なものだから、初等部では転入生はほとんどゼロと言っていい。初等部から既に全寮制で、特能持ちにはそのまま大学まで暁学園に通う義務を課した。エスカレータ式で(特能持ちには)退学は存在しないが、留年は存在するとか。
卒業生は母校で教師をする人か、高級官僚になる人が大半だ。もしくは特能持ち以外の官僚のボディガードになる人もいるらしい。稀に特能を生かしてその道のプロになる人もいるらしいが、そんなのはごく少数だ。今の世の中は特能持ちには生き辛いのだ。これでもだいぶ改善されているらしいが。
とにかくほとんどの人が高給取りだ。よって卒業生には金持ちが多い。更に、特能持ちの子どもには特能持ちが生まれやすい。つまり、特能持ちの家系は金持ちなのだ。その家系に生まれればたとえ特能持ちでなくても年々貯まっていった金で起業したりできる。実際、今の特能持ちは社長子息令嬢が多かったりする。
だからか知らんが、暁学園初等部は金持ち校だと世間一般には思われているようなのである。ただし、中等部からは外部からの入学も受け付けているので、初等部以降はそのイメージは薄れている。もっとも偏差値はバカ高いので狭き門ではあるが。中等部からは天才金持ち校というイメージで、特能持ちでなくても暁学園を卒業することは一種のステータスのようになっている。某首都の名を戴いた大学のように。
私はどうやら、その暁学園に入学してしまったようなのである。
あぁ、面倒くさい。
※主人公は面白がってます