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3条―ちなみに今パスタ茹でてます
グルコース堤下が魅惑の少女に一歩一歩つめられているその時、ポイズン丸山は何をしていたのか。
実は今日は丸山にとって特別な日だった。
彼は故郷に母と4人の兄弟姉妹を残し、出稼ぎに来ている身だ。彼の父は早くにいなくなっている。家に押し入った強盗と揉み合ってそのまますったもんだの関係となって夜の歌舞伎町へ消えていった。彼の中の新世界が花開いてしまったのだろう。
その丸山の妹であるローレライ綾子がこのたび大学生となり、上京してくるのだ。(※綾子にお祝いのメッセージを送ろう)
家族の生活費を仕送りしている丸山は、その学費をも出すことになっている。
「おそいな……」
都内某所のこじゃれたカフェテリアで挽きたてコーヒーをすすりながら丸山は不安を募らせた。
初めてのトーキオに迷っているのではないか……。
よくない輩に絡まれてなすがまま小粋なモーテルにチェックインしていったのではないか……。
丸山はそんな妄想で興奮するシスコンである。
丸山の妹やいかに。
つづく