2条―僕とおかんと時々おかん
グルコース堤下が目を覚ますと沖縄だった。
「やったぞ…」
彼はつぶやくとポケットを探り、一本だけ残っていたグルコースに火をつけた。
まさか飛ばした先が沖縄だなんて赤の組織もとんだおまぬけぞろいじゃないか。
説明しよう。
世界の経済を牛耳る経済アナリストことグルコース堤下は、それを疎ましく思う赤の組織に常に命を狙われている。赤の組織はその圧倒的な組織力と科学力を使い、堤下を地獄に飛ばそうとしばしば企んでいる。
「天国もいいとこだ。なあ丸山君」
振り返るとさっきまで風呂に入っていた助手のポイズン丸山は濡れたソーセージをぶら下げてたちすくしていた。
「ああとんだ幸運もあったもんだ!」
そう叫んだ丸山は、公衆の面前でソーセージをふるまったかどで逮捕されていった。
犯罪は良くないな。
真夏のナハ空港には人があふれ、楽しげな家族連れやカップルたちがソーキそばを片手にクールなバケーションを楽しんでいた。堤下はすでにアロハシャツに身を包み、サングラスに麦わら帽子のいでたちでロータリーに降り立った。
ところがガイドブック片手にうきうき気分で歩き出した堤下は、なにやら異変が起きていることに気がついた。
「亜空間に閉じ込められている…」
そう、歩き出した堤下はそれ以上先へ進めないことに気がついた。
彼は空港の周囲に張り巡らされた超科学亜空間に閉じ込められてしまっていたのだ!
「いったい何が起きているんだ」
堤下は手に持ったフラぺチーノを怒りのままににぎりつぶし、近くの紳士に叱られた。
つづく