１条―トマトケチャップは好きだけどトマトジュースは嫌い
グルコース堤下の相棒、ポイズン丸山が町内会の何者かに毒殺された！怒り心頭の堤下はグルコースを摂取することで冴えわたる推理によって犯人を追い詰める妄想をしていたが、いかんせん雪山に飛ばされているので困難を極める！
はたして無事犯人を捕まえることはできるのか？
グルコース堤下が雪山でひとり苦悩しているころ、町内会のお歴々が続々と集会所に集まって来ていた。もちろん、ポイズン丸山が毒殺された件についてである。
実は今日、この町では年に一回開催される「世界中のだれもがシーソーゲーム祭り」が執り行われていたのだ。その祭りの一角、パドリング松村が開いていた金魚すくいをポイズン丸山が「もう一回！もう一回！」とごねている最中に突然死したのだった。
犯人はパドリング松村だ！
町内会の頭のいい連中はすぐに断定した。しかし松村はそんなことは身に覚えがない、との一点張りだ。
「こまったな……。私にかかればこんな問題は簡単に解けてしまうというのに何しろ雪山から降りれないし、町内会の連中とも連絡の付けようがない」
グルコース堤下はため息をつき、そっとグルコースに火をつけた。
「へい、そこで私めがこうして町内会からの使いとしてアドバイスを承りにきたんで……」
と横にかしこまっているのはキラー中西である。
「なるほどな。では町内会の連中に伝えよ。村松は犯人でないと。」
「へえ、それでは誰が犯人なんでしょう？」
堤下はグルコースをもう一つとりだして火をつけた。
「それはまだわからん……」
戻ったキラー中西が報告すると、集会所はざわついた。犯人はパドリング松村ではない。
ではいったい誰なのか。
「俺は見たよ。ポイズン丸山が金魚すくいの前にフランクフルト北田の店でフランクフルトを買って食ってるのをね」
「いやまて、俺は丸山がオレンジジュース後藤の店で買ったジュースも一緒に飲んでいるのを見たぜ」
「そういえば丸山のやつ、最近マネー寅吉と仲悪かったよな……」
皆はあちこちで推理とも噂ともつかぬような話をし始め、収集がつかなくなってきた。
しかしそのとき集会所の端でひとりほくそ笑んでいる犯人がいることにまだ誰も気づいてはいなかった。
次回、犯人が明らかになる！
つづく
