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ねみみに水の吸血樹  作者: 沙φ亜竜
終章 ねみみに水の級結樹。
31/31

-☆-

 それから時間は流れ、夏休みも越え、文化祭の時期となった。


 ねみみが宿る「級結樹」には、ピンク色の可愛らしいリボンが巻きつけられている。

 この樹は今、幸せの樹『ねみみ』として、このクラスの生徒だけでなく、学校中から愛されているのだ。


 友樹は、クラスメイトと楽しく日々を過ごしている。


 それは冬野も同じだった。

 取り巻き三人といつも一緒にいるのは以前と変わらないし、強がる癖も直っていないのだが。

 ただ、三人組のフォローもあり、それにクラスのみんなが冬野の性格なのだとわかっているため、誰も文句なんて言わなくなっていた。


 ねみみに操られていた状態ではあったが、殺そうとまでした笹雨とも、今では仲よく喋っている。

 冬野の強がりな性格からか、つき合うところまでは行っていないようだが、ふたりの仲はクラスメイトなら暗黙の了解といった雰囲気となっていた。


 瑞菜と薪のふたりの仲も、同じようにクラスメイトたちから認識されている。

 しかもこちらは、しっかりとつき合い始めているようだ。


 なにやら急に色めき立っている様子の一年六組だった。


 友樹にそんな相手はいなかったが、もともとそういう感覚がまだわからないくらいなので、あまり気にしていない。

 実際には、優助がたびたび友樹にからかいの言葉を向け、ちょっかいをかけてくるようになっていたりもするのだが。

 鈍感な友樹が優助の気持ちに気づくのは、まだずっと先のことだろう。


 ねみみのおかげで、こんなにも明るく楽しくなった、このクラス。

 文化祭の出し物として、『ねみみ』を中心に据えて考えようという話になったのは、当然の流れだったと言えるのかもしれない。


 そして、決定した出し物が、これだった。


 幸せの宿る喫茶店『ねみみ』。


 喫茶店のかたわらには、大樹の幹がある。

 お客さんには、その樹に水をかけてもらうのだという。そうすれば、幸せになれますよ、という言葉を添えて。


 吸血樹などという悪い噂も流れていた、ねみみの宿る大樹。

 すでに薄らいできているとはいえ、その悪いイメージを完全に払拭して、温かな明るいイメージに変えよう。

 そう考えた友樹のアイディアだった。


 もちろんクラスメイトも大賛成。

 森母先生も協力して、温かさ溢れる森の喫茶店といった雰囲気を、教室内に作り出した。


 文化祭のパンフレットには、各クラスの出し物とその説明が、少しずつ書いてある。

 一年六組の出し物に関する説明には、次のように書かれていた。



・出し物


  幸せの宿る喫茶店『ねみみ』


・内容


  温かい森の喫茶店。

  木洩れ日と小鳥のさえずりが感じられる、そんな安らぎの場所で、

  あなたも休んでいきませんか?

  そして傍らにそびえ立つ大樹『ねみみ』に、水を与えてみませんか?

  そうすればきっと、あなたにも幸せが訪れます。

  それが幸せの樹『ねみみ』の力なのです。

  そんな、ねみみに水の物語。あなたも信じてみませんか?


以上で終了です。お疲れ様でした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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宜しくお願い致しますm(_ _)m

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