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食屍鬼 -総龍会-  作者: 藤岡
続かぬ望み
82/85

01

「貴方って人は!!!!!!!」

朝早くから屋敷に響く怒鳴り声に隊員達はクスクスと笑う。

「っせぇな!!朝位静かにしろ!!!」

負けじと声を張る男は浴衣姿で髪はボサボサだった。

「貴方が毎朝毎朝起きてこないからでしょう?!」

「だからって怒鳴る事ねぇだろ!」

ドスドスと音を立て廊下を歩く二人は食堂へと入って行く。

「おはようシェフ。腹減った。」

「おはようございます!直ぐにお持ち致しますので席に掛けてお待ち下さい。」

男はニコリと笑うと近くの椅子を引き腰をかける。

その前の席にもう一人の男が腰を掛けるとスケジュール帳を取り出す。

「凱斗さん、今日は会長との会議があります。遅れないようにお願いしますね!」

「はいはい、分かった分かった。」

「ちゃんと聞いているのですか?!」

「聞いてるようるせぇな!!返事してんだろ!!」

二人が変わらずギャアギャアと騒ぎ続けていると凱斗の頭に衝撃が走る。

「っっってぇ……。」

凱斗が頭を押え振り向くと白衣を着た女が見下ろしていた。

「麗華お前なぁ……。」

凱斗がガタッと音を鳴らし立ち上がると同時にシェフが料理を運んできてテーブルに並べる。

凱斗はすぐさま座り直すと、料理を眺め目をキラキラと輝かせる。

「美味そう!いただきまー……っておい!」

「人が本読んでるの邪魔した罰ですー!」

凱斗の前に置かれたクロワッサンを一つ取りベーッと舌を出した麗華はニコニコと食堂を後にした。

「俺のクロワッサン……。」

凱斗が無くなったクロワッサンが置かれていた場所を見つめながらしょんぼりしていると、シェフが慌ててクロワッサンをもう一つ運んで来る。

「ありがとうシェフ、大好きだよ。」

シェフは凱斗の言葉を聞いて目を潤ませると頭を下げ機嫌が良さそうに厨房へと戻っていった。

「いただきまーす!!」

ご機嫌になった凱斗は次々と料理を頬張る。

そんな凱斗の姿を見た桜庭はクスッと笑った。

「何笑ってんだよ。」

凱斗が桜庭を睨み付けると桜庭は慌てて口元を手で隠す。

「で、今日は会議だけ?」

凱斗は呆れた顔をして桜庭に尋ねる。

「そうですね、会議以外は特には……。会議の後散歩でも行きましょうか?」

「散歩ぉ?ああ、栗の?」

「栗じゃなくマロンです!ちゃんと名前で呼んでください!」

「そんな怒んなくてもいいじゃんよ。あ、桜庭知ってるか?」

「何をですか?」

「ペットを飼うと婚期が遅れるらしいぞ。」

「余計なお世話です!それに私は結婚なんて考えていませんから!」

凱斗は「あ、そ。」と興味無さげに返事をするとスープを飲む。

「興味無いならそんな話しないでくださいよ。」

桜庭はムッとしながらスケジュール帳に目を通す。

「凱斗さん、明日はお墓へ行きますので朝必ず起きて下さいね。」

凱斗はスープを飲み終えると頷きデザートのプリンへと手を伸ばす。

「おっはようございまーす!!!」

バンッと大きな音を立て扉が開くと犬を抱えた陽平とその横に悠司が立っていた。

「陽平うるせぇ。犬がビックリすんだろ。」

プリンを食べながら凱斗がそう言うと陽平は抱える犬を撫でながら謝る。

「アニキ聞いてくださいよー!マロンお座り出来るようになったんですよー!天才じゃないですか?」

「真剣な目して何言ってんだお前。」

陽平と悠司が凱斗の隣に立つとマロンが暴れる。

「わわっ!どうしたのマロン!」

陽平が慌てていると凱斗はスプーンをテーブルの上に置き手を伸ばす。

マロンは凱斗の方へ行こうと必死に暴れる。

「そいつ寄越せ。」

凱斗に言われ陽平は悲しそうにマロンを凱斗に渡すと、凱斗は優しく下におろす。

「え、抱っこしないんですか?」

「まぁ見てろって。」

陽平と悠司は首を傾げ凱斗を見る。

「俺じゃなく犬を見てろって。」

二人がマロンへ目をやるとマロンはビシッとお座りをして凱斗を見ていた。

「えっ!自ら?!」

凱斗はニィッと笑うと椅子から下りマロンの前にしゃがむ。

「お手。」

マロンは凱斗の手の上にチョコンと手を乗せる。

「おかわり。」

マロンは凱斗の手の上に逆の手を乗せる。

「バーン!」

凱斗が指で銃の形を作り撃った振りをするとマロンはコテンと倒れる。

「はい、いい子。おいで。」

マロンは立ち上がるとちぎれそうな程尻尾を振り凱斗の元へと駆け寄る。

「天才、だろ?」

凱斗は陽平と悠司を見上げニヤリと笑う。

「えー!アニキずるい!!いつの間に!?」

陽平はプクッと頬を膨らます。

「シェフー!マロンにご褒美のおやつくれー!」

凱斗は陽平を無視してマロンを抱えたまま椅子に座る。

「アニキ!俺もあれやりたい!バーン!やりたい!」

陽平は子供のように駄々をこねると凱斗は呆れ顔をした。

「勝手にやればいいじゃん。その前におやつあげるから待って。」

凱斗はシェフからおやつを受け取るとマロンにそれを渡す。

マロンは美味しそうにおやつを食べた後、凱斗の浴衣の中に入ろうと頭を突っ込む。

「やめろバカくすぐってぇ!桜庭、出して!」

桜庭はヤレヤレと立ち上がると凱斗の浴衣の中に頭を突っ込んだマロンの体を持つ。

「はぁい、マロンちゃーん!いい子だからから出ましょうねぇ~!」

桜庭はマロンを抱き上げ優しく頭を撫でる。

「あの中に入ったら、めっ!ですよぉ。」

桜庭の顔はデレデレとしており、凱斗と陽平と悠司は苦笑いをした。

「桜庭お前相変わらず気持ち悪い話し方するな。」

「桜庭さん、流石っす!」

「なんか……普段見れない桜庭さん見れて嬉しいっていうか、うん。」

桜庭は三人を横目にマロンとソファーへと移動する

その後を陽平と悠司が追いかける。

凱斗は食器を厨房へと運ぶと、シェフがニコリと笑いそれを受け取った。

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