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「桜庭、お前よくもまぁそんな恥ずかしい台詞をペラペラと……しかも一人で。」
少し引きつった顔をしながらそう言う凱斗を見て桜庭は顔を赤く染めた。
「わ、私……声に出していましたか?」
「ああ。明るい未来を~とかなんか言ってたな。」
桜庭は顔を手で覆い「忘れてください!」と凱斗に言うが、凱斗はニヤニヤとしながら桜庭を見る。
「忘れたくても忘れられないことってあるっしょ?はは、とりあえず中入って。」
凱斗は笑いながらそう言うと会議室の中へと姿を消す。
桜庭は顔を赤くしたまま会議室の中に入り扉を閉め、椅子に座る。
相変わらずニヤニヤとしたままの凱斗と、状況が理解出来ていない会長に見られ桜庭は下を向いた。
「桜庭どうした?」
会長が心配そうに桜庭に声を掛ける。
「いえ、なんでもございません。」
桜庭はパッと顔を上げ会長にそう言うと、会長は凱斗を見て首を傾げる。
「凱斗が嬉しそうにニヤニヤしているが……まぁいい、二人の秘密ってわけか。」
会長は少し拗ねた顔をするが凱斗に、可愛くないからやめて。と言われしょんぼりとした。
三人はそのまま少し談笑を続け、10分程経ち会長の「では、本題に入ろう。」という言葉をキッカケにピタリと笑い声は止み三人は真剣な表情をみせた。
会長と凱斗はお互いに知る情報を一つずつ提供していった。
桜庭は二人から聞く情報をパソコンへと打ち込んでいく。
浮かんでいた謎の点は少しずつ線で結ばれていった。
「会長、これはもう終わりが近いな?」
凱斗はニヤリとしながら言うと背もたれに体重を預ける。
「あぁ。だがまだ焦って行動してはならない。少し探りを入れなければ。」
会長は顎に手を当てながら話す。
「俺は今すぐにでも奴等を殺したい。」
凱斗は少し上を向きながらポツリと呟く。
「だからそう焦るな。確信をついた時一気に攻め込む。自分ばかりではなく隊員達も鍛えておきなさい。」
凱斗は、はぁい。と手を挙げて返事をした。
そんな凱斗を見て会長と桜庭は微笑む。
それから暫く今後の話をして会議は終わった。
会議室を後にした二人は廊下を歩きながら食堂へと向かう。
「桜庭、俺は今回のターゲットに対して容赦はしない。コイツを殺って全てが終わるのなら俺の命をかけてでも殺る。………ちゃんとついてこいよ。」
凱斗は手をヒラヒラとさせ足早に食堂へと向かう。
桜庭はニコッと笑いルンルンとした様子で凱斗のあとを追った。
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会議が行われた翌日から午前と午後に分かれ隊員達の訓練が始まった。
凱斗は少し休ませなさい。と会長に言われた桜庭は、凱斗に屋敷から出ないように伝えると、凱斗は不服そうな顔をしていたが、隊員達の訓練に付き合う事で更に隊員達との親睦を深めることが出来ていた。
日々成長していく隊員達を見て凱斗は嬉しそうに笑う。
あの日以来元気がなかった陽平にも笑顔が戻った。
凱斗は自室のソファーに腰をおろすと、煙草を一本咥え火をつけ煙を吐き出す。
「みんなの笑顔が消えることの無い世界にしたい。
この戦いの終わりが何処なのか誰も分からないまま手探りで続けていたが、そこに光が差し込み終わりへと導いてくれている。
その光は今までの仲間たちなのかもしれない。
今まで失った尊い命はもう戻らない。ソレを奪ったお前達の首を俺が必ず落としてやる。」
凱斗の瞳に赤い光が灯る。




