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食屍鬼 -総龍会-  作者: 藤岡
覚醒
42/85

02

広間についた凱斗はヘラヘラとしながら「ごめんね。」と隊員達に言うと、隊員達がわぁっと凱斗を囲み無事を喜んだ。

「アニキ!無茶しないでくださいよー!!」

陽平は顔をグシャグシャにしながら凱斗に抱きつき、凱斗はそれを受け止める。

隊員達も「何も無くてよかった。」と安堵した。

「俺だけじゃなくあの場に居た者全員が辛い思いをした。今日は屋敷に帰ったらゆっくり過ごそう。帰るぞー。」

凱斗がそう言うと隊員達は会長に頭を下げ屋敷の外へと向かう。

「会長、迷惑をかけてすまない。

次会う時は……良い報告をする事を誓うよ。」

凱斗は会長にそう言うと手をヒラヒラとさせ陽平を連れて広間を後にした。

そんな凱斗を見る会長は笑顔の中に不安を抱く。

「桜庭。」

「はい。」

「凱斗を、よろしく頼む。」

桜庭は深く頭を下げ「畏まりました。」と言うと、凱斗達の後を追った。

「次会う時は良い報告を、か。……無茶はしてくれるなよ、凱斗。」

会長はポツリと呟き、広間を後にした。

──────────────

屋敷に戻った凱斗達は、残っていた隊員達、麗華、瑠璃、シェフや清掃員、青龍赤龍隊員達に出迎えられた。

「お帰りなさいませ。」

手伝いに来てくれていた青龍隊員と赤龍隊員達が地に膝をつき凱斗にそう言うと凱斗は優しく微笑む。

「ただいま。今日はゆっくり話をしよう。着替えてくるから食堂で待ってて。」

凱斗はそう言うと自室へと向かい歩き出し、隊員達は頭を下げたまま見送った。

桜庭も続き屋敷の中へと入ると、陽平と総龍から帰った隊員達も続いた。

凱斗は着替えを済ませ食堂へと向かう途中で麗華と瑠璃に会う。

「凱斗、ちょっとだけいい?」

麗華は凱斗の目を見つめる。

「何?なにかあったか?」

凱斗は立ち止まり二人を見ながら問う。

「実はね……瑠璃ちゃんのお父さんから毎日何十件と着信が入ってて……。」

麗華の言葉を聞き、凱斗はハッとし頭を搔く。

「あー、そうだ。

瑠璃がここに住むとかなんとか……俺が言ったんだ。

親父さんと話ついてなかったよな。俺が話すよ。」

凱斗が少し申し訳なさそうな表情でそう言うと、麗華と瑠璃は目を合わす。

「あのね、凱斗。」

「ん?」

「昨日の夜からパタリと連絡が来なくなったの。」

凱斗は腕を組み麗華と瑠璃を交互に見る。

「ふぅん?諦めたか?

ちょっと様子を見に行かせるか……いや、このまま俺が話に行くか。」

凱斗は「とりあえずお前らも食堂においで。」と手招きをして食堂へと向かって歩き出した。


食堂に入るとソファー席から桜庭に呼ばれた。

「凱斗さん、シェフがケーキと紅茶を御用意してくれていますよ。」

桜庭の声を聞き、やったー!と凱斗はソファー席へと向かう。

用意された真ん中の席に座り、ニコリと笑うとケーキへと手を伸ばす。

「シェフありがとね。いただきまーす!」

ニコニコとしながらケーキを口に運ぶその姿は黒龍を纏める者としての姿ではなく、幼い子の様な純粋な姿だった。

この姿だけを見れば、食屍鬼を相手にしている者とは誰も思わない、そう思える程の。


凱斗は麗華と瑠璃にも座るように言い、側に立つ青龍赤龍隊員達をチラリと見てフォークを置く。

「ちゃんと顔を合わせて挨拶をするのは初めてかな?留守の間手伝ってくれてありがとう。助かったよ。」

凱斗は真っ直ぐと隊員達を見てニコリと微笑む。

隊員達は皆一斉に地に膝をつけ頭を下げる。

「そう堅苦しくしなくていいよ。みんな椅子に座りなよ。」

凱斗はそう言い、またフォークを手に持ちケーキを頬張った。

桜庭も隊員達に「楽にしてください。」と声を掛ける。

隊員達は「失礼致します。」と椅子に腰をかけた。

凱斗はケーキを食べ終え紅茶をグイッと飲み干し、満足気な表情で「猫八の事は聞いたか?」と隊員達に聞く。

隊員達が黙って頷くと「そうか。」と大きく伸びをした。

「白龍の隊長が殺られた。

これは青龍赤龍の隊長達の耳にも届いているだろう。

これから白龍は新しい隊長が決まるまでは幹部を筆頭に隊員達が猫八の分まで頑張らねばならない。

だから、黒龍じゃなく白龍に手を貸してやって欲しい。お前達の隊長には俺から話す。」

凱斗はそう言うと桜庭に携帯電話を出すように言い、桜庭はポケットから携帯電話を取り出し凱斗に渡した。

凱斗は少し画面を触り、耳に当てる。

「もしもし?うん、なんで分かった?

……はは、さすがだね。うん、お願いします。はい、はーい。」

凱斗は少しニヤケながら桜庭に携帯電話を返す。

「もう会長が話してた。はは、流石会長、仕事が早いわ。」

凱斗はそう言うと立ち上がり青龍赤龍隊員達を真っ直ぐ捉える。

「猫八が殺られたのは俺の力不足から来るもの。

それをお前達に補ってもらう形になる。

申し訳ないが、よろしく頼む。」

そう言うと頭を深く下げる。

隊員達は慌てて立ち上がり「黒龍隊長からの願い、しかと受け止めました。」とより深く頭下げた。

凱斗は、へへ、と笑い頭を上げ「気をつけて行ってらっしゃい。」と声を掛けると、隊員達はビシッと敬礼をし食堂を後にした。

凱斗は食堂から出て行く隊員達を見ながらその場にいた黒龍隊員達に見送るように伝えソファーに座り直すと、天井を見上げ大きく息を吐きそのまま少しボーッとした。

「桜庭。」

天井を見上げたまま凱斗は隣に座る桜庭に声をかけた。

「はい。」

桜庭は手に持っていたカップをテーブルの上に置き体を凱斗へと向ける。

「隊長と大将、どっちが正解なんだ?」

予想していなかった質問に桜庭は少し動揺する。

「隊長、が正しいと思われます。

ですが中には大将と呼ぶ者もいて……私は相手に合わせ言い方を変えますが基本的には隊長ですね。」

桜庭がそう言うと凱斗はゆっくりと桜庭に視線を移す。

「白龍…猫八は大将呼びが多かったな。

猫八の親父さんも大将呼びしてたし。

俺の父親はどっちだったんだ?」

「凱斗さんのお父様は、燈龍隊長と呼ばれ、燈龍さんも己龍隊長、久龍隊長、志龍隊長と呼ぶ事が多かったですね。」

桜庭の言葉を聞いた凱斗は「ふぅん。そっか。また1つ俺の知らないお父さんのことを知れたな。」と笑ってみせた。

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