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食屍鬼 -総龍会-  作者: 藤岡
壁の先
35/55

01

凱斗達が乗る車はアビス地区へと到着した。

アビス地区への入り口には警察達が並び、隊員達が乗る車を中へと誘導する。

入ってすぐの所へ車を停め、武器を手に持った隊員達は車を降り整列する。

車の中で仮眠をとっていた凱斗は目を擦りながら車を降り、隊員達の前へ立つ。

その隣に桜庭と猫八が並ぶと、警察も隊員達の隣に並ぶ。

「新種の食屍鬼によってアビス地区の者達は全滅させられたと考えますが、私達が到着する前に燈龍は3匹の食屍鬼を相手にしています。

いきなり現れないとも言いきれません。

皆さん細心の注意を払って作業に取り掛かるようお願い致します。」

桜庭がそう言うと隊員達と警察は敬礼をした。

「私達はあの家の地下から先を捜索します。

此方で何かあれば無線での報告をお願い致します。」

桜庭は軽く頭を下げ一歩下がると猫八が前へ出る。

「白龍隊員に告ぐ。

皆無事に帰り、終わり次第全員で酒をのむぞー!!」

猫八がそう叫ぶと、白龍隊員達が声を揃えて、酒だー!!と叫ぶ。

猫八は隊員達を見て目を細めて笑い一歩下がる。

「凱斗さん、一言お願いします。」

桜庭に言われ凱斗は渋々一歩前へと出る。

「あー…そうだなー。

総龍、白龍隊員達には迷惑をかけるがよろしく頼む。」

総龍隊員達と白龍隊員達は姿勢を正してビシッと敬礼をした。

「あとそれから警察の皆さん。見回りご苦労さん。

もしも食屍鬼をみかけたらすぐに近くの隊員達に言ってくれ。

あんた達のことは俺達が命をかけて守る。」

警察も皆ビシッと敬礼をする。

「で、黒龍隊員達。

お前らはー……自分達がやらなきゃいけない事はちゃんとして、食屍鬼が現れたらそうだなー…自分が死なねぇ程度に暴れろ。以上。」

黒龍隊員達は皆手を上げウォオオ!と叫ぶ。

凱斗はニヤリと笑い一歩下がる。

「凱斗さんの一言は長いですね?」

「っせぇな。」

桜庭と目を合わせ笑みを交わすと「地下に向かう奴ついてこい」と叫び、あの家へと向かった。


凱斗を先頭に桜庭、猫八が続き後ろを隊員達がついて歩く。

「あ、そうだ。」

凱斗がピタリと立ち止まると、「どうしました?」と桜庭が隣に立ち心配そうに凱斗の顔を見る。

「陽平ここに呼んで。俺と桜庭の間歩かせて。」

凱斗の言葉を聞き桜庭は後ろの隊員達に混ざる陽平を呼び、陽平は駆け足で凱斗の隣に行き真っ直ぐと凱斗の目を見た。

「怖くねぇか?」

凱斗はチラリと陽平の顔を見て聞く。

「大丈夫!アニキもいるし、桜庭さんも猫八さんも隊員のみんなもいる!足を引っ張らないように頑張る!!」

陽平は元気よく答えニカッと笑ってみせる。

「ふぅん。ならいいけど。……お前チャックあいてるよ。」

凱斗は手をヒラヒラとさせ歩き出し、陽平は顔を真っ赤にして慌てて自分のズボンを見る。

「なっ!あいてないじゃん!!アニキの嘘つき!!バカ!!」

陽平はムッと頬を膨らませ桜庭と猫八の間に立ち家へと向かう。

「凱斗なりにリラックスさせようとしたんだろー!」

「私もそう思いますね。」

猫八と桜庭は凱斗の背中を見ながら言う。

「リラックスって、俺は平気ですよー!」

陽平が桜庭と猫八の顔を交互に見ながらそう言うと、猫八が陽平の頭をペシーンと軽く叩いた。

「なーにが、俺は平気ですよー!だ。声も足も震えてたぞー!」

猫八は陽平をチラリと見てクスリと笑う。

「それに笑顔も少し引き攣っていましたよ。本来なら私はそんな状態の陽平さんを連れて行くのには反対ですが…。」

桜庭は凱斗の背を見たまま話す。

「屋敷を出る前に凱斗さんに、「きっと陽平はあの家を前にしたら恐怖心が蘇るだろう。だからと言ってその場に置いていけば何も変わらない。俺は連れて行くからな。もう決めたから。」と言われてしまったので……

あの人は一度自分の中で決めるとそれを曲げようとはしない……お父様に似て難儀な御方です。」

桜庭は少し微笑んだ。

陽平は申し訳なさそうな表情をするが、倒れた玄関の上に立ち振り向いた凱斗と目が合い気合を入れる。

「俺、絶対に迷惑かけないんで!アニキにもっと認めてもらえるように頑張るのでよろしくお願いします!!」

陽平は元気にそう言うと「アニキー!」と凱斗の元へ走る。

そんな陽平を見て桜庭は少し呆れた顔をし、猫八はニコニコと笑う。

「あの大将と部下に挟まれて桜庭さんも大変ですねー!」

ははは、と笑いながら猫八がそう言うと桜庭は小さく息を吐く。

「ええ、とても大変ですよ。

いつもヒヤヒヤさせられてばかりです。

でも、それでも皆私の大切な家族なのです」

抱きつく陽平をジトっとした目で見ながら引き剥がそうとする凱斗を優しい目で見る桜庭を見て、猫八も嬉しそうに微笑む。

「おーい、お前ら歩くの遅せぇ!置いてくぞー。」

凱斗が陽平を引き剥がしこちらを向いて叫ぶと、桜庭と猫八、隊員達は慌てて凱斗の元へと走った。


「はぁ、鼻が死にそう。」

凱斗は薄暗くジメジメとした階段を下りながら溜息をつく。

「慣れませんねこの悪臭……。」

桜庭はハンカチで鼻と口を押さえながら後に続く。

初めて地下への階段を下る猫八と陽平は顔を歪ませ、黙ったまま凱斗と桜庭の後ろについて進む。

「この階段の先に居ないとも言いきれねぇ。お前ら気ぃ抜くなよ。」

凱斗はそう言うと、スタスタと階段を下りていく。

「ちょ、急にスピード上げないでくださいよ凱斗さん!」

桜庭は急に2段飛ばしで階段を下りていく凱斗に慌ててついて行き、後ろの者達も急ぐ。

凱斗は階段の下から桜庭を見上げニィッと笑い「桜庭には早すぎてついてこれねぇか?」と、わははと笑う。

桜庭は少し目を見開き「貴方って人は!」と叫ぶと先程よりも早く階段を下りていく。

そんな二人を見て陽平と猫八は顔を見合わせ笑い、後ろに続く隊員達もクスクスと笑った。

桜庭に怒鳴られ、うるせぇなぁ!といつものやり取りをしながらあの場所へと足を踏み入れる。

少し経ち猫八、陽平、隊員達もその場所へと入る。

総龍隊員達は「それでは私達はこれからここの者を上へと運びます!」と凱斗に敬礼をすると、大量の布袋を取りだし丁寧に一人ずつ中へと入れていった。

「アニキ、ここにある遺体は布袋に入れて運ぶの?食屍鬼と同じ扱いで少し可哀想だ……。」

陽平は凱斗の隣へ行きしょんぼりとしながら言う。

「俺が見た限り、かじられた跡がついてる者が多かった。

感染していないとは言いきれない。

万が一のためにもあの布袋にいれるのがいいんだよ。」

凱斗はそう言うと剣を引き摺りながら壁に向かいそっと触れる。

陽平は布袋にいれられていく隊員達を暗い表情で見つめる。

「桜庭、この壁だったな?」

凱斗が振り返りそう言うと桜庭は頷く。

「どうやったら開くんだ?」

凱斗は壁の近くを隅々まで見回した。

猫八も凱斗の隣へ行き一緒に調べるが、特にこれといったものは見つからなかった。

桜庭は腕を組み壁を見つめながら考える。

陽平はその場で凱斗達が立つ壁をゆっくりと下から上へと視線を動かした。

「あっ!」

陽平が上の方を指差し声を出す。

凱斗と猫八と桜庭が陽平が指差す方を見ると上の方にPasswordと表示されていた。

「俺がこの家の玄関と2階の窓で見たやつだ。」

陽平の言葉を聞き「それなら……。」と凱斗は剣を構える。

「まさかまた壊そう、だなんて思っていませんよね?!これは玄関扉とは違って壁ですよ!?」

桜庭が焦りながら言う言葉を聞き凱斗は笑う。

「壁を壊そうとしたら(こっち)が壊れんだろバーカ」

そう言うと思い切り地面を蹴って高く飛び上がり、Passwordと表示された物を捉えると剣を振り下ろす。

ガギンッと音を鳴らしそれは下に落ちた。

「ふぅ。」

凱斗は腰に手を当て壁を見つめる。

が、壁にはなんの異変もなかった。

「あれ?これ壊してもなんにもなんないのか?」

おかしいな?と凱斗が桜庭の方を見ると、桜庭は頭を抱えていた。

そんな凱斗と桜庭を見て猫八が笑う。

「凱斗がやる事は想像出来なくて面白いや。」

ははは、と笑いながら壁にもたれると、ゴゴゴと地響きがした。

猫八は驚きその場からピョンと一歩離れ剣を構える。

凱斗は頭を抱える桜庭から壁へと目線を移す。

陽平はガタガタと震えながら剣を構え、頭を抱えていた桜庭はゆっくりと壁を見る。

待機していた隊員達はゴクリと唾を飲み、遺体を運ぶ用意をしていた隊員達は手を止めた。

壁はゆっくりと横にスライドしていき、奥へと続く道が姿を現す。

凱斗は少し目を細めて道の先を見る。

「奥が見えねぇ。それに暗いな。お前ら気を付けてついてこいよ。」

凱斗はまた大きな剣を引き摺りながら歩いて行く。

猫八も凱斗の後ろをつき、桜庭は陽平に「行きますよ。」と声をかけ道へと向かう。

陽平はガタガタと震える足を何度か叩き、深呼吸をして桜庭の後に続くとその後ろを黒龍隊員と白龍隊員が続く。

先頭を歩く凱斗は見えない先を見て殺気を放っていた。

すぐ後ろにいた猫八は凱斗の殺気を感じ取りブルルと身震いする。

桜庭は陽平の腕を掴み「離れないように。」と声をかけ、陽平は黙って頷き前を歩く凱斗と猫八の背中を見つめ歩みを進める。

白龍隊員達は剣を片手に真剣な表情でついて行き、黒龍隊員達は凱斗に負けぬ程の殺気を放って歩く。

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