03
屋敷駐車場につくと隊員達は車を停めゾロゾロと屋敷の中へと入っていく。
凱斗達が乗る車も駐車場に着き、車を降りると後方から白龍の車がやってきて、凱斗達が乗っていた車の隣に停車した。
「俺達今日ここに泊まっちゃうから~!よろしくね。」
車を降りて凱斗に抱きつきそう言うと、お腹すいた~!と屋敷の中に入って行く。
そんな猫八に続き白龍の隊員達が頭を下げ屋敷へと向かう。
「全員分の布団、用意してやってくれるか?」
凱斗は呆れ顔で桜庭にそう言うと桜庭は「畏まりました。」と言い残し屋敷の中へと姿を消した。
「俺達も飯でも食うか。」凱斗はそう言い屋敷へと歩みを進めるが、陽平は動こうとはしなかった。
それに気付いた凱斗は振り向き「早く来いよ。」と声を掛けるが、陽平は黙ったまま下を向き動こうとはしない。
ハァと息を漏らしゆっくりと陽平の元へと向かい腕をとる。
「早く行くぞ、腹減ってんだろ?」
凱斗が陽平の腕を引っ張ると、陽平はその手を振りほどいた。
「急にどうした?」
凱斗は背を屈ませ陽平の顔を覗き込むと、陽平の目からはポタポタと涙がこぼれ落ちていた。
「何泣いてんだ?」
凱斗の問い掛けに陽平は応えず、涙を流し続ける。
そんな陽平を見て、腕を組みながらジトっとした目で見つめる。
「気にしてんのか?」
少しの沈黙の後凱斗がそう聞くと陽平は黙って頷いた。
「気にするなとは言わないが、気にしすぎも良くない。とりあえず中に入ろう。」
凱斗はもう一度陽平の腕を掴むと、陽平は凱斗に抱きついた。
「っと、危ねぇ。」
急に胸に飛び込んでこられ少しよろけながらも、黙って泣き続ける陽平を優しく包み込み、頭を撫でる。
「泣いて気が済むなら泣けばいい。特別に付き合ってやるよ。」
凱斗の言葉を聞いた陽平は少し目を大きく開いた後、ギュッと瞑り声を上げて泣いた。
中々入ってこない二人を心配し様子を見に来た桜庭と猫八は、玄関からその光景を眺めていた。
陽平は暫く泣いた後、少し落ち着いたのかゆっくりと凱斗から離れ謝る。
「別に謝んなくていいよ。」
凱斗は微笑み陽平の頭を優しく撫でた。
「お、俺っ、俺……屋敷見たら……一緒に飯食ったりっ…風呂入ったりしたあいつらの事思い出して……いつも俺が迷惑かけてばっかりで……それでもあいつらは笑って許してくれて……。」
陽平は言葉を詰まらせながらそう言うと、潤んだ瞳で凱斗の目を見る。
「俺はっ…俺は!いつかアニキや仲間を護れるような、アニキに頼ってもらえるような男になりたい!そう思っていたけど……護る所か危険な目に遭わせてしまった…。
俺は黒龍にいる資格が無い……。」
陽平の言葉を黙って聞いていた凱斗は、わははと笑った。
「えっ、なっ、なんで笑って……。」
陽平は笑い出した凱斗を見て動揺する。
凱斗はニヤニヤとしながら陽平の目をジトっと見つめ返す。
「お前に護ってもらおうだなんて誰も思ってねぇよバーカ。」
凱斗の言葉を聞き、陽平はムッと膨れる。
「護れなくて当たり前だろ?
俺や桜庭は黒龍を纏める立場、それに他の隊員達は上級層。
お前と一緒に居た隊員達はお前より先に中級層になった。
お前が一番下っ端なの。偉そうな事言ってんじゃねぇよ。」
陽平は膨らました頬を萎ませ、しょんぼりと下を向く。
「黒龍に居る資格がない?笑わせんなよ。
お前誰も護れないまま終わらせようとしてるけど、それでいいわけ?
これから精進します!って言う所じゃねぇの?呆れて笑いしか出ねぇよ。」
凱斗はそう言うと陽平に背を向けた。
何も言えないまま立ち尽くす陽平に「さっさと用意してアビスに行くぞ。」と言うと手をヒラヒラとさせる。
陽平は凱斗の言葉を聞きバッと顔を上げ、深く頭を下げた。
「陽平さんを連れて行く気ですか?」
玄関で靴を脱ぐ凱斗に桜庭が問う。
「盗み聞きなんて感心しねぇな?」
凱斗はそう言うとヘラヘラと笑い食堂へと向かう。
桜庭はしゃがみこみ頭を抱え、猫八は笑いながら「貴方の大将の考えは読めませんね?」と、桜庭の背中をポンポンと叩いた。




