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食屍鬼 -総龍会-  作者: 藤岡
新たな発見
28/28

01

凱斗達が乗る車は総龍会に到着すると、ゾロゾロと屋敷の中へと入って行った。

中央広間では皆静かに座り込み、会長が来るのを待った。

外はもう暗く少し肌寒い。

凱斗は一番前に座り込むと、あぐらをかいてボーッと下を見つめた。

凱斗の隣に桜庭が座り、少し離れた所に猫八が座った。

暫くすると広間の扉が開かれ会長が姿を現す。

皆一斉に顔を上げ、片膝を地に着けると頭を下げ、凱斗はゆっくりと立ち上がると、前に立つ会長の隣へと移動した。

「お疲れ様。無事でなによりだ。」

会長がそう声をかけると皆声を揃え「お疲れ様です。」と返事をする。

「お疲れ様、凱斗。」

皆の返事を聞き、少し微笑むと視線を隣へと移し凱斗の肩をポンと叩いた。

「ああ、お疲れ様。会長。」

凱斗は暗い瞳でゆっくりと会長を見て返事をした。

「桜庭から少し話を聞いた。

アビスに残る黒龍の者達は……明日にでも総龍から迎えを行かせよう。」

会長の言葉を聞き、凱斗は「ありがとう。」と小さく呟く。

「皆精神的にも参っているとは思う。

だが少し話を聞かせて欲しい。構わないか?」

会長がそう言うと皆少し顔を歪ませた。

そんな隊員達を見て、凱斗がゆっくりと口を開く。

「奴等と一番言葉を交わしたのは俺だ。

分かる限りの事は俺が話すからコイツらは少し休ませてやって欲しい。」

そう言い、片膝を地に着け頭を下げる凱斗を見た会長は小さく息を吐き頷いた。

「分かった。ではとりあえず凱斗から事情を聞こう。

他の者達は一度自分の屋敷に戻って休みなさい。」

会長は隊員達に向かいそう告げるとゆっくりと扉へと向かい歩き出す。

「気をつけて帰れよ。」

凱斗は隊員達に優しく微笑み、会長の後を追う。

その後ろを「私もご一緒いたします。」と桜庭が追うと、ヤレヤレと猫八も立ち上がる。

「白龍隊員達も先に帰っていいからね!

俺はー……凱斗の車にでも乗せてもらうからさ!」

猫八は白龍隊員達にそう言いニコリと笑うと部屋を後にした。

残された隊員達はゆっくりと立ち上がるが、中々部屋から出ようとはしなかった。

──────────────

「さて、では話をしようか。」

会長はソファーに座ると、凱斗、桜庭、猫八にも座るように託す。

三人は会長の前のソファーに腰をかける。

「アビス地区は俺が思っていた以上に荒れていたよ。」

あぐらをかき会長の目をジッと見ながら凱斗がそう言うと、会長は「どのように?」と尋ねた。

「二匹の食屍鬼によって壊滅させられていた。

俺の仲間達もそいつらの手によって命を落とした。

ある家の地下室にてそれは行われ、無数の死体が転がっていたよ。

隊服では無い服を着ているモノも数体見た。アビスの住人だと思う。」

凱斗はそう言うと少し顔を歪ませ瞳の暗さを増す。

「私も地下へと同行しましたが、今まで見たこともなければ報告を受けた事も無い食屍鬼が二匹。

移動スピードも素早く、流暢に話しておりました。」

桜庭が目を潤ませながら会長にそう言うと、会長はうーんと考え出す。

「俺は地下には行っていないからもう一匹の方は分からないけれど、女の子とは会いました。

最初見た時は食屍鬼だなんて思いもしなかった。

あれ程までに普通に話す食屍鬼を見た事がない。」

猫八は頭を抱え下を見つめながら話した。

「それに奴はまた俺をお兄ちゃんと呼んだ。

死体は父親に運んでいる、とも。」

凱斗がそう言うと桜庭が口を開く。

「住人達は皆奴等に手をかけられたと考えられます。

そして要らなくなったから他の食屍鬼にお裾分けをした、と。あの地下の壁の先も気になりますね……。」

「地下の壁の先?」

猫八が顔を上げて桜庭を見ると、会長も桜庭の方へと視線を移す。

「はい。大きな音を立て壁がスライドしたかと思えば、その先からもう一匹の雄の食屍鬼が現れました。

壁の先は外に繋がっていて、その父親が居る場所へと続くのではないか?と私は考えます。」

桜庭がそう言うと会長はまた、うーんと考え出す。

猫八はポリポリと頭を掻きながら黙り込んだ。

「俺は明日またアビスに行くよ。」

凱斗はあぐらをかいて大きく伸びをしながらそう言うと「もう決めたから。」と三人に向けて言う。

会長は苦笑いをし、桜庭は頭を抱え、猫八は「俺もついて行くよ。」と笑顔を見せた。

会長と桜庭が目を合わせヤレヤレと笑うと、コンコンと扉をノックする音が聞こえた。

「どうぞ。」

会長がそう声をかけると、扉はゆっくりと開く。

「会長さん、こんばんは。」

そう言うと白衣を身にまとった男は部屋の中に入り会長の横に座った。

大橋(おおはし)、研究はどうだ?」

会長がそう言うと大橋はニタリと笑う。

「順調ですよー!

今日は凱斗くんが持ち帰ってくれた子供の遺体、それを受け取りに来たんですけどねぇ、袋の中を少し覗くと僅かに呼吸をしていましてねぇ、へっへっへ、実験体として使えると判断し渡してくれたんでしょう?

有難うね凱斗くん!」

大橋は凱斗に向かい笑顔を向けるが、凱斗はそっぽを向く。

「あららら、私はいつまで経っても凱斗くんに嫌われたままですねぇ。悲しいですねぇ。」

「大橋さん申し訳ございません。」

泣き真似をする大橋に桜庭が謝る。

「いえいえ、いいんですよぉ!

私の事を嫌いつつもきちんと実験体や食屍鬼を渡してくれる。

凱斗くんは私に協力をしてくれている訳ですからねぇ、助かります。」

へっへっへ、と大橋が笑うと桜庭は、はははと乾いた笑いをする。

「で、会長さん。私を部屋に呼んだ理由は?」

大橋は会長の方へと身体を向ける。

「ああ、食屍鬼の研究をする大橋なら色々と分かるかと思ってな。」

会長がそう言うと大橋は「私に分かることであればなんでも答えますよぉ!」とニタリと笑った。

「今日凱斗達は、普通に話し力強い食屍鬼と出会した。今まで我々が出会ったことの無い種類だと。」

会長がそう言うと大橋は腕を組み口を開く。

「昼間にも関わらず凱斗くん達が強いと判断する…それ即ち新種では無いだろうか?

大体の食屍鬼は、昼間は普通に話すが夜になると急にカタコトになり理性を失いそして力が増す。

だが力の無い食屍鬼は昼間もカタコトでしか話すことが出来ず夜になってもあまり力が増す事も無い。

それが私がこの十数年研究し明らかにされた食屍鬼の姿。

今まで幾つもの実験をしてきたが、昼間に力を発揮出来た実験体は居なかった。」

大橋はそう言うと凱斗をジッと見る。

「凱斗くん、その食屍鬼は会話も出来たのだろうか?」

凱斗はそっぽを向いたまま「あぁ」とだけ返す。

「知能指数が高く力も備えている。

普段君達が相手をする食屍鬼の上のランクに値する食屍鬼、と考えるのが妥当だと私は思う。

……帰って少し調べてみよう。」

大橋はそう言うと立ち上がった。

「今日は凱斗くんが連れてきてくれた新しい実験体もいる。

この子を使って……という手もあるなぁ。へっへっへ。

では会長さん、凱斗くん、桜庭くん、猫八くん、また。」

大橋はニタニタと笑いながら部屋を後にした。

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