六蹴 ニセコとサツマヒメ
ニセコ
「聖頑宮先輩、あの方は……?」
ニセコが示した方にいた人物は、
「ああ、サツマヒメさんですよ」
「サツマヒメ先輩……‼」
ニセコより小柄なのに、凄まじいシュートを放つ。何というか、物凄く
「憧れるなあ……‼」
ニセコの胸は高鳴る。ニセコにもいつかあのような
「サツマヒメ先輩‼ 弟子にして下さい‼」
「ん? ニセコくんがワシに?」
「はい‼ 殺魔砲を伝授して下さい‼」
「殺魔砲か。恐らく君に教えても、ワシほどの威力は」
「分かってます‼ でも覚えたいんです‼ どうしても‼」
ニセコは殺魔砲の虜になっていた。まあそりゃああんなロマン砲を目の当たりにしたら、自分も撃ちたくなるのが中学生心というものだ。
「いいよ。練習しよっか」
「はい‼」
サツマヒメは優しく受け入れ、二人の秘密の特訓は始まる。
ニセコはそもそもシュートの経験すらないため、まずは基礎的なシュート練習から始めることにした。
「いやあ、ニセコちゃんのシュート、可愛いねえ。サクマヒメに教えていた頃を思い出すよ」
「サクマヒメ先輩も、最初は」
「ああ、駄目駄目だった」
ニセコの中のサクマヒメのイメージは、同じ一年なのに堂々としていてパスセンス抜群の完璧司令塔というイメージだった。しかし、彼女にも未熟な時期が、ニセコのような時期があったのか。
「当たり前だけど、みんな始めるまでは素人さ。俺は夢中でやってたら自然とここまで来たけどね」
やはり、サツマヒメ先輩は天才だ。とニセコは改めて尊敬する。こんな素敵な先輩に指導して頂けるなんて、それだけでサッカー部に来て良かったと心から思う。
サツマヒメ