五蹴 殺魔インパクト
タイラーインパクト
「次に、平殿」
「は、はい!」
「君はタイラーインパクトというシュートが武器のようだが、さらに上の武器が欲しくないか?」
「上の武器?」
何かめちゃくちゃワクワクする響きだ。つまり、銅の剣から鋼の剣にクラスチェンジするということだろう。
「最高と最高をぶつけるんだ」
「最高と最高?」
「足の最高点とボールの最高点だな」
「それってみんな普通にやっていることじゃないの?」
「いや、やっているようで出来ていない。というよりも偶発的に出来ることもあるが、それを意識的に引き起こすことが肝要なんだ」
「意識的……出来るんですか?」
「ああ。まあ見ていてくれ」
サツマヒメはボールをPK地点より少し離れたところに置き、助走を付ける。そしてインパクトの瞬間
「殺魔砲‼」
というやたら洒落た必殺技名と共に飛んだボールは黒い火花を纏いゴールに突き刺さる。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお‼
かっけええええええええええええええええええええええ‼」
平のテンションは爆上がる。隣で見ていたシノブも「すご」「やば」と漏らしていた。声を。尿をではない。尿は少しだけだ。
「平殿もタイラーインパクトをやってみてくれ」
「ああ!」
平はタイラーインパクトを何度も繰り出し、その度にサツマヒメにアドバイスされていた。シノブは少し羨ましそうに眺めていたが、お前もドリブル教えてもらったのだから良いではないか、というとドリブル練習に戻る。
「電光石火‼ 疾風迅雷‼」
シノブは完全に二種類のドリブルを物にしていた。そして平は
「殺魔インパクト‼」
とタイラーインパクトに殺魔砲の概念を取り入れた新必殺技を会得していた。いや、そこの名前を弄るべきではないような気もするが。もうほぼサツマヒメのインパクトではないか。
殺魔インパクト