人の夢って儚い
嫌な作品です。
夜の街を彩るのは、きらめく星たちと華やかなイルミネーションだった。
僕の住むここにも……冬はやってきたようだ。
冷たく乾いた風、すっかり雪化粧した街路樹、クリスマスへと湧き上がるムード。この時期になると、誰しもが子供のようにはしゃいでしまうらしい。
年末だということも忘れて、席の埋まる店の数は半端ではない。
こんな空気の中、今日も一人で、誰も迎え入れてくれることのないマンションへ帰宅――か。
「寂しい……の、かな」
正直――わからない。
生まれてこのかた、一人じゃなかったことなどないのだから。
「今日午後五時頃、○○区のマンションで遺体が発見されました。身元は、このマンションに一人で住む無職の――」
ショーウィンドウの中では、平面のキャスターが淡々と事後報告をしている。
ほら。
また一人、一人者が消えた。
しかし、誰も悲しまない。
僕も、キャスターも、本人も……。
と、ふと見ると、僕の前には、服を真っ赤にさせた老人が横たわっていた。
その人はうつ伏せになって動かなかった――一人で。
翌日、僕はパンを咥えながら朝刊を広げた。三面の片隅、小さな欄に目を通すと、そこには見覚えのある現場写真つきで、ある騒動が記されていた。
『サンタ転落死』
「…………」
今日も一人、会社へ急いだ。
トナカイに置き去りにされ、サンタも一人に……?