第31話
何気ない日常を過ごしていたが、祖父の死をきっかけに自分の未来を放送するラジオを手に入れた主人公。未来は何故ラジオから放送されていたのか?その未来はただの予測なのか?現実に起こる確定の未来なのか?未来は誰の手にあるものなのかわかった時、あなたはどうしますか?
いつもの通い慣れた駅。
一本だけ寂しそうに生えている木に、乱雑に置かれている駐輪場。
いつもの景色と一緒だけれど、纏っている空気感が違う。
そんな妙な違和感が心の隅に感じていた。
改札を抜けて、いつも乗り場から一つズレて、いつもの一つ隣りの車両に乗り込んだ。
隣の車両を繋がるドアの窓から覗くと、日本酒の小さな瓶をもった顔の赤いおじさんが車両に乗り込んできた。
車両に乗り込むなり床に座って、何か喋り続けている様子だった。
すっと周辺の座席からは人が離れていき、少し離れた席で眉を潜めている人がチラホラ見えた。
そんな酔っ払いおじさん車両を横目に電車から降りた。
部屋に着いてテレビの電源を入れると、ニュースが流れ、ついさっきまで走っていた高速道路で玉突き事故があり大渋滞になっている様子が映っていた。
暫くその様子を目を細めて画面を眺め、振り返りフラフラっと風呂場へと向かった。
風呂に入ると目蓋の重さがいつもより倍の様にかんじた。
あまりに眠たくて歩くのがやっとで狭い部屋の中をフラフラ歩き、布団に倒れ込んだ。
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