第28話
何気ない日常を過ごしていたが、祖父の死をきっかけに自分の未来を放送するラジオを手に入れた主人公。未来は何故ラジオから放送されていたのか?その未来はただの予測なのか?現実に起こる確定の未来なのか?未来は誰の手にあるものなのかわかった時、あなたはどうしますか?
「じゃあ、行くかハナ!」
ハナはワンワン吠えながら嬉しそうにはしゃいでいた。
てっきりまた人間の言葉を話すかと思ったけど、言葉を話す時がやっぱり異常なんだよな。
と、まだ半信半疑の気持ちで頭の中はいっぱいだった。
ハナは自分の散歩コースが決まっているらしく、グイグイと紐を引っ張って歩きまわっていた。
朝方の涼しい風が、徐々に温度が上がる体を優しく撫でてくれた。
家に戻る頃になると、日々の運動不足も手伝って、足取りは大分重くなっていた。
ふーっ、と一息ついて縁側に座り込み、ふとハナに目を向けると、少し笑って見えた気がした。
ハナが台所に駆け込む様を見届けて、ゆっくりと後を追うように歩き始めた。
台所で祖母がお疲れ様と麦茶を出してくれていた。
せわしなそうに朝ご飯の用意を手伝う母親を横目に、右足の指先を掻き、少しの間考え込む素振りを見せて、一気に飲み干したい衝動を抑える様に一口含んでコップをテーブルに戻した。
予定通り出発時間の一時間遅れに車に乗り込み、小さくなっていく祖母とハナをバックミラー越しに見ていた。
小さくなっていくハナの口元が何か喋った様に見えて、ミラーの位置を直す様に角度を調整して、アクセルを踏み込んだ。
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