第19話
何気ない日常を過ごしていたが、祖父の死をきっかけに自分の未来を放送するラジオを手に入れた主人公。未来は何故ラジオから放送されていたのか?その未来はただの予測なのか?現実に起こる確定の未来なのか?未来は誰の手にあるものなのかわかった時、あなたはどうしますか?
タイル貼りの浴槽に浸かりながら、水滴の滴る天井を眺めていた。
時間にするとほんの数分だろうが、自分がこの世界から消えてしまったような感覚を覚えた。
雫の滴る音。
普段の生活では気付く事すらできない些細な音に、自分が世界に存在できている気がした。
ぼんやり頭が働きだした頃頭の中に言葉が浮かんだ。
(ハチニチュウイ?)
意識が戻った様にハッとすると、頭まで湯の中に沈めて、勢いよく浴槽から飛び出し、犬のように頭を振って水滴を飛ばし、風呂場を後にした。
畳の上に敷いた少し古い香りのする布団を鼻まで被り、目を瞑ってみると虫の声が耳を心地よく触ってきた。
いつもは頭のどこかが休まらずに常に動いている感覚があって、どんなに疲れていても、すぐには寝付けなかった。
身体全体が温かいお湯に包まれている様な感覚が広がり、気がつくと静かで、穏やかな世界に取り込まれていた。
100%当たる占いがあったらどうしますか?




