天才の妹に負けて故郷を追放された魔女の私ですが、人間の男の子を弟子にして森で幸せに暮らしてます~成長した弟子が実は最強の魔法使いだと分かって呼び戻してきてももう遅い、彼に手を引かれて私は旅に出る~
負けた。
「アネモネ、しきたりに従いお前を里から追放とする」
私は負けた。
双子の姉という立場にも関わらず。
妹相手に魔法の才能で完膚無きまでに負けたのだ。
「クスクス……お父様、お姉さまが可哀想ですわ、今にも泣きだしてしまいそう」
父の陰に隠れるようにして笑う妹のリリイ。
悔しい。
双子なのに、私の方が先に産まれたのに。
「古より双子は災厄をもたらすと言われておる……魔力のある妹の方を残すのは我が一族のためなのだ」
「はい、お父様……」
双子のどちらかは里を去らなけらばならない。
掟によってそれは定められたこと。
六歳までの間により魔力を高めた方が里に残ることになり、私は天才の妹よりも劣っていた。
「さらばだアネモネ、強く生きろ」
「……っ!」
私にしか見えないよう。
妹の口端がにやりと歪んだ。
悔しい。
涙が溢れた。
産まれてから今までをずっと過ごしてきた魔女の里からの追放。
それは才能という“力”を持たない、私への罰だったのかもしれない。
☆
あれから何年が経ったのだろう。
魔女という生き物はみな不老不死である。
女として一番美しい外見になると同時に成長も止まる。
私もいつのまにか、歳をとらなくなっていた。
なんて、自分の歳を忘れてしまうくらいに時は過ぎてーー。
「ふぁ~あ、お腹すいた」
私は森の中で隠居生活を送っていた。
「魔女サマ! 魔女サマ! 朝食の準備がデキマシタ!」
「はいはーい」
お手製の土人形が呼び掛けてくる。
ベッドから体を起こして、伸びをする。
指を振ればカーテンが開いて朝日が差し込む。
人里離れた深い森の奥。
幼いころに辿り着いたそこに私は魔法で家を建てた。
ここでの生活にもずいぶん慣れたものだ。
「土人形37号ちゃん」
「ハイ、魔女サマ!」
「今日の朝食は何かしら?」
「ハイ!
今日の朝食はトーストに木苺のジャムを。
それから山菜を使ったサラダにコーンスープ……」
「……なっ!? 私はコーンが苦手なのっ!
バカっ! 今すぐそれをじゃがいもの冷製スープに変えなさいっ!!!」
「ゴメン、ナサイ。ゴメン、ナサイ。魔女サマ……」
はぁ。
魔法でかりそめの魂を与えただけの土人形は簡単な命令にしか対応できない。
知性がないから学習しない。
だから私の好き嫌いをいつまでも覚えてくれない。
もっと高度な魔法を使えたら何でも言うことを聞いてくれる便利な召使いになるのにな……。
ポンコツ魔法使いの私には、ポンコツな土人形しか創れないというわけだ。
「魔女サマ、紅茶をドウゾ」
差し出された紅茶を啜りながら今日は何をしようかと考えを巡らせる。
森の中の生活はとても暇だ。
やることがない。
人里には行けない。
魔女と人間は決して関わるべからず。
と古来より定められた掟がある。
人間は人間。魔女は魔女。
二つの異なる文明社会の中でも、数の少ない魔女側は大手を振って生きていけない。
人間たちとは決して関わらぬように、隠れるように。
しかし有事の際には世界のために奇跡の力である“魔法”を行使する。
……なんて、私にはどうでもいい話!
私はただ、この森の中で誰にも邪魔されずにゆったりとしたスローライフをーー。
「んああぁあああっ! おぎゃああぁああぁあっ!」
人の泣き声。
いや、この声はもっと幼いーー。
聞こえてきた叫び声の方へと向かう。
声の主は家の前に生えている大樹の下にいた。
「赤……ちゃん……?」
その小さな手はまるで私を求めるように伸ばされ。
「んぎゃあああああっ! だあっ!」
その愛らしい二つの瞳は涙に濡れて、とても寂しそうだった。
「こんなところにどうして人間の子供が……」
この森は人里から遠い。
魔物だって出る。
魔女の私は彼らと友好的な関係を築けているが、人間たちとは決して相容れない。
だからこの森は人間にとってとても危険な場所なのに……。
「んぎゃあっ! んぁああああっ!」
「あーっ、ごめんね、ごめんね。私の顔がこわかったのかな……」
籠の中で泣き喚く赤ちゃんを頑張ってあやす。
上手にできるわけがない。
赤ちゃんなんて見るのも初めて。
しかも人間の……。
「だぁああああっ! だあ?」
なんとか泣き止んでもらおうと頑張る私に一生懸命手を伸ばしてくる。
その姿が愛らしくて、庇護欲をそそられて。
私がその小さな手を優しく握ると。
「……だあっ」
「あっ、笑った……」
嬉しそうに笑ってくれた。
それが彼と私の出会いだった。
☆
「ママっ! ごはん!」
「だから私はママじゃないの、あ・ね・も・ね!」
あれから三年。
私は森の奥に捨てられていた赤子と一緒に暮らしていた。
どうして彼を拾ったのか。
それは自分でもよくわからない。
ただ、守ってあげたかった。
どんな理由だったとしても、彼は親に捨てられた。
それが幼いころに故郷を追放された私の姿に重なって見えたのかもしれない。
「土人形52号くん、朝食の用意はできたかしら?」
「ハイ、魔女サマ。今日はコーンスープと……」
「だから私はコーンが嫌いなんだってば! もうっ、誰なの!? こんなポンコツ土人形を創ったのは!」
「ママ、怒ったらやーだ」
「あぁ……ごめんねルーカス、怒ってるわけじゃないの、それから私はママじゃ……」
ルーカス。
“光”という意味をもつ言葉の名前を彼につけた。
最初はルーカスと一緒に生活するつもりなんてなかった、けれど。
「ママ、ごはんおいしいっ!」
「よかったね、いっぱい食べるんだよ」
この通り、ルーカスはすっかり私に懐いてしまっている。
彼を人間のところへ返そうとしたこともある。
だけど私には人間に頼れる人なんていなくて。
そもそも関わり合いになることを掟で強く禁じられていて。
一度人間の住む村にこっそり置いていこうとしたら大声でわんわん泣き始めたこともあった。
なし崩し的にこうして今では一緒に暮らしてしまっているというわけで……。
「いつか大きくなって私に恩返ししてくれよ、ルーカスぅ~」
綺麗な黒髪の頭を撫でてやる。
大きくなったら土人形たちの代わりに私専属の召使いにしてやろう……なんて考えたりもして。
「ご本読んでくる!」
「こら、ご飯食べたら先にごちそうさまでしょ」
「忘れてた! ごちそうさま!」
ルーカスは本を読むのが好きだ。
最初は遊んで遊んでとねだってくるルーカスの相手が面倒で。
何か気を引けるものはないかと思って試しに本を与えてみたら思いのほか食いついてくれた。
一人でも読めるようにと簡単な読み書きだけを教えたつもりだったのだけれど。
「ご本って言っても……中身は大人の魔女が読むような魔導書なんだけどな……」
今では私がたまに読むような。
子供にはとても内容を理解できるはずのない魔導書を楽しそうに読んでいる。
……うちの子、もしかして天才?
「ねぇルーカス」
「なぁに~?」
「魔法を使えるようになってみたい?」
振り返ってみればそれは気まぐれだったんだと思う。
森の中の生活に暇を持て余しすぎていたからかもしれない。
人間に魔法を教えるなんて、そんなこと許されるわけがない。
「うんっ! ぼくね、ママみたいになりたいっ」
魔法の力は一子相伝。
親から子へ、一族の伝統のように受け継がれる。
「そっかあ、じゃあ……」
だから私も、ルーカスに教えてあげたかったのかもしれない。
父と母から受け継ぎ、そして妹と競いあった魔法の力を。
「一緒に魔法の練習しよっか!」
「うんっ! まほうのれんしゅう! やった~!」
私のこの思いつきで、彼の人生を大きく歪めてしまうことになるなんて。
この時は知るよしもなかった。
☆
「お師匠様、起きてくださーい!」
「ん……んぁ、早起きだね。ルーカス」
「はい! お師匠様が起きるときには朝食の準備が整うようにしていますから」
あれから10年。
ルーカスは13歳になっていた。
私はといえば何にも変わってない。
少なくとも外見はいつまでも成人の魔女のままだ。
「なーんか皺がふえたような……?」
鏡を見ながらひとりごちる。
気のせいだと思いたい。
魔女は不老不死。
永遠の若さを持つのだ。
私だっていつまでも若くて綺麗なまま……だよね?
「わっ、じゃがいもの……冷製スープだぁ」
「えへへ……お師匠さまが好きだっていうから、作ってみました」
嬉しそうに微笑むルーカス。
私のために頑張ってくれたことがなんだか愛しく思えてつい抱き着いてしまう。
「お師匠さま……いたいです……」
「いいじゃんっ!これも大事なスキンシップなの!
どんどん大きくなりやがって、このこの~!」
「お、お師匠さま、胸が……当たってます……っ!」
耳まで真っ赤になるルーカス。かわいい。
胸が当たってることが気になるなんて……。
いっちょ前に思春期なのかな。
だけど男の子だししょうがないよね。
健全に育ってくれてると思いたい。
というか……。
「本当に大きくなったよね」
「はい、やっとお師匠さまの背丈を越えました」
「か~、来年にはもっと大きくなって、私を見下ろしてくるんだろうなぁ」
子供の育つスピードは余りにも早かった。
この前言葉を話すようになったかと覚えば、今では魔法の呪文を唱え。
背が低くて女の子みたいに可愛いらしいなと思っていたらいつの間にか私の身長に追いついている。
「ルーカス、本当に学校はいいの?」
「はい、僕はお師匠さまと魔法の勉強をしたいのです」
人間の子供であればもう学校に通うはずの年齢。
だけどルーカスは学校に行こうとしない。
それどころか、人間社会に戻ろうとしない。
「どうしてそんなに魔法を勉強したいの?」
「……強く、なりたいのです」
私は育て方を間違えてないだろうか。
時々悩んだりもする。
だけどルーカスには、ルーカスのやりたいことをやらせてあげたい。
「どうして強くなりたいの?」
問う私に、ルーカスは俯きながら恥ずかしそうに。
「あなたを……守れる男になりたいから」
胸の奥がきゅんとなる。
こんなにも可愛らしい。
女の子みたいにか細い体躯の美少年が。
私を、守りたいなんて。
「ルーカス……どこでそんな言葉を覚えてきたの?」
「はい、お師匠様が持ってる小説に書いてありました」
くっ。
私が人間社会から極秘に入手した小説を読まれたか。
「ちなみにルーカスくん、その物語の主人公は女の子だったかな?」
「はい、異国の令嬢が主人公の物語ですが……男性が主役の本も読んでみたいです!」
「だめっ! そんなものはうちにありませんっ!」
危ない。
非常に教育に良くないから、真の愛蔵書は絶対に見つからない場所に隠しておこう。
「お師匠様、今日も修行をお願いします」
朝食を食べ終わると、いつものように二人で裏庭に出る。
「はい、それじゃあ今日は上級魔法の……」
ルーカスの教科書代わりに使っていた魔導書のページを繰りながら、ふと気づく。
残りのページがほとんど無い。
「……いつの間にこんなに成長したんだか、子供の成長は本当に早いなあ」
この魔導書に刻まれているのは成人の魔女が使うような上級の魔法ばかり。
これを教え終わるころには、私とルーカスの魔法の力の差なんてほとんど無くなる。
この10年の間に、ルーカスはそれだけの成長を遂げていた。
「聞いてくださいお師匠様! 最近は低級の魔法を詠唱しないで使えるようになったのです!」
嬉しそうに語るルーカスの右手の平の上には火の玉が浮かんでいる。
「無詠唱って……そんなの私にもできないんだけどなぁ……」
ルーカスは天才だ。
私よりも。
いや、神童とうたわれた私の妹よりもはるかに才能があるだろう。
「よーし、それじゃあ今日は転移魔法の復習から始めるね、杖を出して?」
「はい! お師匠様!」
ルーカスと一緒に暮らすにあたって、出来る限り人間のことを調べてみたことがある。
どうやら彼の“黒髪”というのは、人間社会において大変珍しく、また不吉の象徴とされているらしかった。
魔女社会において双子が不吉というのと同じようなものだろうか。
そんなところに私は親近感を覚えたりもしていた。
だけど私と彼には決定的に違うところがある。
それは寿命だ。
不老不死の魔女は永遠の時を生きる。
つまり人間であるルーカスは絶対に私よりも先に死ぬ。
いつかは、死が私たちを別つのだ。
「……お師匠様? どうかしましたか? 何だか顔色が悪いようですが」
「あぁ、ごめんね、何でもないよ」
そんなこと分かってる。
故郷と、父と母と妹と離別したように。
いつかはルーカスとだって別れることになるのだ。
だけど。
その未来を想像してしまうと、私の胸はちくりと痛むのだ。
☆
あれから5年。
ルーカスは18歳ーー成人を迎えていた。
「師匠。起きてください、朝ですよ」
「……ん、ルーカスぅ……大きくな、った、ね……」
「はぁ、まだ寝ぼけていらっしゃるみたいですね。お水をどうぞ」
「……ぅん」
朝、いつものようにルーカスが私を起こしに来てくれる。
さっきまで夢の中で見ていた子供のころとは違う成長した彼の顔。
美少年。
いや、美青年になった。
あえて小説に出てくる表現を使うのなら、黒髪男子のイケメン。
……今度メガネをかけさせよう。
「……」
ベッドから彼の顔を見上げるような格好になっている私にはそれがよく分かる。
しゅっと引き締まった顎のラインに鼻の高さ。
睫毛なんてひょっとしたら私よりも長いかも。
あぁ、二重幅もこんなに広くて羨ましい。
「……どうぞ、お水を」
「う、うん。ありがとう」
水を差しだしてくる二の腕。
細さの中にもきゅっと引き締まった筋肉。
可愛い顔をしているのに、そこから確かな男らしさを感じてしまって……。
「師匠……? 顔が赤いようですが、もしかして熱が……?」
「ひゃっ、ちょ、ちょっとルーカスっ! おでこくっつけないで……っ!」
「ダメです、こうしないと熱があるのかどうかが分かりません。ほら、じっとしてください」
「は、はい……」
言われるがままに静止する。
顔が……近い、近すぎるッ!
彼の暖かい吐息が鼻先にかかって背筋がぞくりとする。
ね、寝起きだからあんまり近くで見ないでっ……。
「ちょ、ちょっと……もういいでしょ? いつまで……っ!」
「これも大事なスキンシップ、ですよ? 昔はよく僕のことを抱きしめてくれたじゃないですか」
「もっ、もう! あの頃とは違うのッ!」
「はぁ、師匠はもう僕のことを抱きしめてくれないのですね」
わざとらしいため息。
困り眉でも様になっていて何だか悔しい。
「も、もう子供じゃないんだからダメなのっ」
「いいじゃないですか少しくらい、ほら」
「こ、こらっ、ばか……っ……!」
ぎゅっと、一方的に。
だけど優しいハグ。
彼の手の暖かさが背中に伝わる。
「……もう、甘えん坊なんだから」
「師匠の方こそ、もっと僕に甘えてくれていいんですよ」
「いやぁ……私はもう十分甘えちゃってるかなぁ」
そうなのである。
もう最近の私は甘やかされまくりなのだ。
いかんせんこの男は魔法だけじゃなくて、家事全般の才能もあったらしい。
おはようからお休みまで。
毎朝起こしにきてくれて。
毎晩私より先に寝ることはない(私を寝かしつけたら自分の部屋に戻ってるみたい)。
掃除に洗濯。
毎日三食の栄養バランスを考えた料理。
私のためにわざわざ人間の図書館から本を借りてきてくれたり。
なにかとお金もいるからと言って人間が使う薬の調合を始めたりと。
それはもう私を散々に甘やかしまくりなのだ。
……たまにこうしてハグを求めてくるあたりが可愛いところでもあるんだけど。
「ふぅ……。師匠はいつもいい匂いがします」
まるでぬいぐるみにそうするかのように頬ずりをされる。
ふわっ、と甘い香り。
「ばかっ、そんなことないからっ、ルーカスの方がいい匂い……だよ……?」
「はい、師匠が好きな香りになるように魔法で作った特製の香水をつけていますからね」
け、計算高い……。
「匂いだけではありません。師匠はいつも、いつまでも美しい。僕が子供のころから変わらずにずっと綺麗なままです」
……そんなことない。
最近太ったもん。
お前が作るご飯が美味しすぎるのが悪いんだからな!
「ん……ありがと、ルーカスは本当に成長したなぁ……」
見た目だけじゃない。
その内面も、生意気なまでに大人の男になっていた。
本当に、些細なことでドキドキさせられっぱなしだ。
「それより師匠、早く朝食を済ませましょう。今日は集会に行かなければいけないのでしょう?」
「あ……そうだった、急がないとね」
「僕も弟子としてお供したいのですが……やはり人間が魔女の集会に行くのはダメなのでしょうか」
「うん……掟は掟だからね。そもそも人間の弟子を取る魔女の方がダメなんだよ、ごめんね」
寂しそうな表情を浮かべるルーカス。
私だって連れていきたい。
一人だと心細すぎる。
「はぁ……憂鬱だなあ、妹に会いたくない」
「でしたら僕と一緒にお家でゆっくり過ごすというのはいかがでしょう? 師匠の好きなパンケーキでも焼いて」
「悪魔の囁きだ……そうしたいのは山々なんだけどね……」
もう何年も里には帰っていない。
年に一度の魔女集会にだってずっと参加していない。
まぁ、私は里を追放された身なのだから、当たり前の話ではあるんだけど。
今年の集会に限っては、里長である父から直々に招待状が来てしまったのだ。
一度追放した私をわざわざ呼びつけるなんて、よっぽどの何かがあったんだろう。
「はぁ……じゃあ行ってくるから、留守をお願いね、ルーカス」
「待ってください師匠、その恰好で参加されるのですか?」
いつもの帽子に控え目な色のワンピース。
ザ・魔女みたいな恰好なんだけど……だめかな。
「せっかくの集会ですから、おめかししていきましょう」
ルーカスがぱちん、と指を鳴らす。
すると私の服装は彼の魔法で瞬く間に豪華な蒼色のドレスへ変わった。
「え、えぇ……こんな派手な格好、恥ずかしいよ……」
「ふむ……師匠の瞳と同じ色にしてみたのですが……それでは」
もう一度ルーカスが指を鳴らすと、今度は少しシックな感じの黒のドレスに変わる。
「まぁ、これならいいかな……」
「はい、僕の髪と瞳と同じ色のドレスを纏って……どうぞ行ってらっしゃいませ」
もう……。
いつの間にこんなキザなセリフを言うようになったんだか。
だけど悪い気はしない。
ルーカスが見繕ってくれたドレスと一緒なら、寂しくない気がした。
「ありがとう、それじゃあ行ってくるね」
転移魔法を使う。
空間が歪み、集会場と自室が繋がる。
「お気をつけて」
少し寂しそうなルーカスに見送られて、私は空間を通り抜ける。
一瞬で集会場へと辿り着いた。
まるでパーティー会場のような集会場の城の中には、たくさんの魔女たちがいた。
「ほら見てあそこ、里を追放されたアネモネよ……」
そんな声が聞こえてきた。
敗者として里を追放された私は、同じ魔女たちからも忌み嫌われる存在なのだ。
「静かにーー皆の衆、遠路はるばるご苦労だった。
こたびの集会で集まってもらったのは他でもない。
いま世界を大いに騒がしている悪しき“魔王”の存在のことである」
壇上から里長である父が叫ぶ。
突如として世界に君臨した災厄の顕現。
悪しき魔力を持つ彼の名は“魔王”。
人間でもなく、魔女でもないその存在に立ち向かうため。
人間側と協力して私たち魔女側からも、代表となる誰かが魔王討伐の任に着かなければならないという。
ちなみにそんな物騒な存在のことを私は今ここで初めて知った。
ルーカスが何でもしてくれることにかまけて、家の外に出ないからなぁ……。
「そんな危険な任務には行きたくないわ!」
「そうだそうだ! 里の代表であれば、里長の一族から輩出するべきだ!」
民衆たちの声。
男もいるが、男たちはみな魔力が弱い。
女たちの方が圧倒的に上手く魔法を使いこなせる。
だから私たち魔法を使える存在はみな総じて“魔女”と呼ばれる。
「里長の一族って……」
現当主は私の父。
その直系の一族に当たるのは母と私と妹のリリイだけ。
魔力の強さはもちろん天才のリリイが一番だ。
次が私、そして母。
だから順当に行くのならリリイが代表に……。
「お父様、ここは長女のお姉さまにお任せしたいと思いますわ」
壇上。
父の隣に立つリリイがこっちを見下ろして卑しい笑みを浮かべている。
このっ……!
こんな時だけいいように長女という言葉を使って。
面倒で危険な仕事を私に押し付けるつもりだ。
「ふむ……だそうだ、アネモネ。里を代表して魔王討伐の任に着いてもらおうか」
お父様までっ……。
可愛いリリイに危険なことはさせられないということか。
「そん、な……」
……だから、帰ってきたくなかったのに。
いつもいつもそうだ。
妹のリリイばかりがいい想いをする。
お父様も、お母様も。
私の言うことなんて聞いてくれない。
私より上手に魔法が使えるからって、リリイばかりを贔屓して……。
「……っ」
周りの視線が痛い。
早く決めろと。
面倒事はお前がやれと催促してくる。
悔しい。
何も言い返せない自分が惨めで。
悔しくて、悔しくて。
涙が溢れて、思いっきり歯噛みをして。
「わかり……まし……」
そんな私のもとに。
「ーー魔王討伐の任、この私が引き受けましょう」
歪んだ空間の向こう側から。
私の騎士は颯爽と現れた。
「ル、ルーカス!? どうして……」
困惑している私に
「大丈夫、僕を信じて」
耳元でそう優しく囁いて。
「だ、誰だお前はッ!? 人間がこの魔女の里に足を踏み入れるなど……」
「これは失礼。
主君の危機に馳せ参じるのが弟子の務め。
私は魔女アネモネの一番弟子、ルーカスと申します」
壇上の父に向って言い放つルーカス。
……ばか!
人間の弟子を取ったことがバレたら……。
「人間の弟子ですって? お姉さま、これはどういうことかしら?」
嬉々としてリリイが突っ込んでくる。
あぁ……どうしよう……。
「失礼ですが里長さま。
魔王討伐の任には代表として一番強い人物が着任すべきかと」
「ほう……お前は私の娘よりもーーリリイよりも強いと申すか」
父の表情に怒りが露わになる。
だけど私はルーカスの背中から、確かな闘志を感じていた。
「えぇ、もちろん。手始めにこの場にお集まりの皆さまを、私の魔法で蛙に変えてご覧にいれましょう」
ルーカスがにやりと笑って指を鳴らす。
すると総勢百は下らない魔女たちが、一斉にその姿を小さな蛙へ変えた。
集会場に「ゲコゲコ」と間抜けな鳴き声が響き渡る。
「なッーー!? そんな馬鹿な……っ……!」
父が驚くのも無理はない。
同族同士での無益な争いが起こらぬように。
魔女たちはみんな魔法への強い耐性を持っている。
簡単に言えば、魔女に魔法は通用しない。
……はず、なんだけど。
「き、貴様っ! どんな魔法を使った!? 早く私の娘を元に戻せッ!!!」
「フハハハハッ、こんな小さな蛙のいったい誰が魔王を討伐できるのでしょう?」
「わかった! 分かったから早く元にーー」
もう一度ルーカスが指を鳴らすと、蛙たちは皆もとの魔女の姿へと戻った。
民衆たちは肩で息をしながら恐れるようにルーカスを見ている。
……もう、どうなっても知らないからね。
「魔女の皆さま、お分かりいただけたでしょうか。
ここにいる誰よりも私は強い!
誰が出向くかが問題では無い。
誰が倒すのかが問題なのだ!」
「ゲコ」
あ、リリイだけまだ蛙の姿のまま……。
「ゆえに……最強のこの私が、魔王を打ち倒す。以上だ」
静かなトーンで。
だけど確かに会場中に響き渡る声でルーカスはそう言った。
「さぁ帰りましょう、師匠」
ゆっくりと振り返り私の手を取るルーカス。
「ルーカス、あの……妹が……」
「あぁ……このまま蛙の姿のままで良いのではないでしょうか? お似合いだと思いますが」
なるほど。
妹のせいで私が里を追放になったことを知っている彼なりの意趣返しというわけだ。
だけど……。
「リリイを元に戻して、ルーカス、お願いよ」
私が懇願すると、渋々といった様子でルーカスはリリイにかかっている魔法を解いた。
「……ハァ、ハァ。この……人間風情が……ッ!」
元の姿に戻ったリリイの激昂。
しかしルーカスの方は涼しい顔をしている。
「あなた様の優秀な姉上の教えを請えば、例え人間の私であろうとも最強の魔法使いになれるというわけです……本当に、我が師匠は優秀な魔女だ」
あぁ……ダメだよルーカス。
プライドが高い妹にそんなこと言ったら……。
「このーーッ! 一族最強の魔女の私を愚弄するか! たかが人間ごときがッ!」
言うが早いか。
リリーは一瞬で呪文の詠唱を終える。早い……!
虚空から召喚されるは業火を纏った無数の槍。
それが一斉にルーカスへと発射されるーーッ!
「フッ、この程度で一族最強とは……笑わせる」
しかし。
炎の槍は一本たりともルーカスへ突き刺さることなく、全て消失した。
ーー無効化魔法……。
相手の発動した魔法を。
いや、正確には唱えられた呪文の方を後書きででたらめに歪めてしまう。
あらゆる魔法を無に帰す余りにも高度な魔法。
しかもルーカスはそれを無詠唱で、まるで息をするように使った。
さっきも大勢の魔女を一瞬で蛙に変えたりとか……。
ちょっと!
私はそんなに凄い魔法を教えた覚えはない。
というか私にもそんな芸当はできない。
いつの間に……こんな……。
「リリイ様、あなたは確かに姉上様に似て美しいお方だ。
しかしそれは見てくれだけの張りぼて。心の清らかさでは決して私の師匠に勝てはしない」
ちょっとルーカス……言い過ぎ……。
「この……ッ!」
「ほう、まだ力の差が分かっていないと。
私の師匠が首を縦に振れば、あなた如きいつでもまた醜い蛙の姿にーー」
「ルーカスっ!」
叫ぶ私。
振り返るルーカス。
「……師匠」
「それ以上は止めなさい、ルーカス……帰るわよ……」
「はい、仰せのままに」
再び私の手を取ったルーカスが転移魔法を発動する。
歪んだ空間が発生し、自室への帰り道となる。
「……お騒がせしました」
そう言い残して私は帰路についた。
「こんなにも強大な魔力を持つ人間がいるとは……なんて男だ……っ!」
後ろ手に、父の言葉を聞きながら。
「……ねぇ、いつの間にあんな力を使うようになったの?」
自宅のリビング。
背後に立つルーカスに問う。
「修行の賜物ですね……あなたを守れる男になりたい。その一心で今まで……」
「そういう意味じゃない。私がどうして怒っているのか分かる?」
俯いて、バツの悪そうな顔をするルーカス。
言った通り、私を守りたいというただそれだけの気持ちが里での行動に繋がったのだろう。
だけど。
「魔法の力は……絶対に誰かが傷ついたり、怖がったり、悲しんだりする様なことに使ってはいけない。一番最初に教えて、約束してくれたよね……もう忘れてしまったの?」
「……」
「一瞬で蛙に変身させられたりしたら、里の皆は怖い思いをする。それに妹も、あんな言い方をされたら傷ついちゃう」
「僕は……僕はただ、あなたを……」
その目を、表情を、私は知っている。
まだルーカスが子供のころ、朝方に帰ってきたことがあった。
何をしていたのかと聞けば、私が喜ぶと思って森の最深部に咲いている青い花をずっと探していたという。
あの時初めてルーカスに怒ったことを思い出した。
目の前の悲しそうな顔は、あの時の面影を残したままの子供のようだった。
「ごめん……なさい……」
泣き出してしまいそうなルーカスを抱きしめる。
約束を破ったことを咎めていたはずなのに、愛しくてたまらない。
「あなたは人間なの……ルーカス。不老不死の魔女たちとは違うの。もしもリリイの魔法に当たっていたら……死んでいたかもしれないんだから」
「あの程度の魔法であれば……問題は……」
「違う、そうじゃない。危険なことをしないで……もしも、もしもルーカスが死んじゃったら……わたし……っ……」
涙が溢れる。
ルーカスは人間だ。
だからいつかは、死が私たちを別つ。
だけど出来るだけ長く、彼には生きていてほしい。
私の隣に、いてほしい。
「大丈夫ですよ師匠……泣かないで? あなたを守るために強くなると、そう約束したではないですか」
涙を拭って。
優しく頭を撫でられる。
「うん……守ってくれて……ありがとう……嬉しかった……」
まるでか弱い乙女のように守られてしまったからだろうか。
このとき私ははっきりと気づいてしまった。
ルーカスに、恋をしているということに。
☆
「ねえ、本当に行っちゃうの……?」
里での一件から一週間後。
旅の支度を整えたルーカスを見送っていた。
父との約束通り、魔女側の代表として魔王討伐隊に加わるという。
「はい、誰かが魔王を打ち取らねば、いずれあなたが暮らすこの森も危険になります、ですから……」
「だけどそんな危ないことをルーカスがする必要は……」
「大丈夫ですよ師匠、僕は強いですから。それに研究を進めるためにも、魔王のもとに赴きたいのです」
ルーカスは成人してから地下で魔法の研究を進めていた。
どうしても完成させたい新しい魔法があるのだとか。
「だけど約束してねルーカス……絶対に生きて帰ってきて」
もちろんです、と答えて笑顔で手を振るルーカス。
その背中を見送って……あれ、こっちに戻ってきた。
「……どうしたの?」
忘れ物でもしたのかな。
「……こういうときは、キスをして見送られるのが物語のお約束かと」
なッ。……読書家のロマンチストか。
行ってらっしゃいのキスをしろと……?
「い、いやいやっ! 恥ずかしいよ!」
「……昔はよくしてくれたではないですか」
「そ、そのキスは子供のころの話でしょ! あれはまた別の……」
しょうがない、といった風に肩をすくめるルーカス。
いやいや、だって私たちは恋人でもなければ親子みたいな関係で……。
「それではこうしましょう、僕が無事に帰ったあかつきには師匠からキスのご褒美をいただけるということで」
「えぇ……まぁ、それなら……うん、いいよ」
「ありがとうございます、約束ですからね」
ねえ、何でそんなに嬉しそうにニコニコしてるの。
そんなに私とキスがしたいの……?
「それでは行ってまいります」
「うん、気を付けて……早く帰ってきてね」
はい、と微笑んで。
転移魔法も使わずに一瞬でルーカスは消えた。
「瞬間移動……? そんな魔法、聞いたことないんだけど……」
翌日。
誰も起こしてくれなくて昼に目覚めた。
一人の食事は味気なかった。
3日後。
おかしくなりそうだった。
たったの3日。
なのにどうしようもなく寂しかった。
1人ぼっちがこんなにも寂しいだなんて私は知らなかった。
1週間後。
涙が出てきた。
どうして? なんで?
分からない。
もしもルーカスが帰ってこなかったら。
魔王との戦いで死んでしまったらどうしようって考えたら涙が……。
「ただいま戻りました。遅くなってすみません、師匠」
「はやっ! えっ!? はやっ! まだ一週間しか経ってないよ?」
「えぇ……魔王を倒すのに一週間もの時間を要してしまいました……」
えっ? もう倒しちゃったの!?
魔王、よわっ。
いや、ルーカスが強すぎたのか……。
「ずいぶん早かったね……ケガは……うん、元気そうだね。旅はどうだった?」
この森で育ったルーカスには人間たちとの交流は久しぶりだっただろう。
「ええ、それが“聖女”と名乗る方から求婚を申し込まれたのですが……」
「きゅ、求婚っ!? 聖女? えぇ……っ?」
「……丁重に、お断りさせていただきました」
ほっと胸をなでおろす。
「でも……嬉しかったんじゃないの? 人間の女性から好きだって言われるの、初めてでしょ」
あぁ……。
私はイヤな女だ。
だけど言ってしまった。
一週間の間に溜まった寂しさがそうさせた。
「いいえ、あなた以外の女性から向けられる好意なんて、嬉しくもなんともありません」
100点。
歯の浮くような台詞なのに、言っている本人の表情は真剣そのもの。
打算も計算もない純度100%の言葉。
はぁ、こんなにもいい男に育てた親の顔が見てみたい。
「聖女とは名ばかりでしたよ……魔力も、美貌も、全て遥かにあなたの方が優れています」
……120点。
寂しい想いをさせたからご褒美のつもりかな。
「だけどね……ルーカス、もしもあなたが望むのなら、いつでも人間社会に帰ってもいいのよ? 結婚して、家庭を築いて、そんなごくごく普通の幸せを……」
これは本音だ。
ルーカスを弟子にしたのは私の思い付き、気まぐれだ。
いつまでも付き合わせる義理もない。
もう魔法のことで彼に教えることなんて何もない。
「いいえ師匠、あなたの隣以外に僕の行く場所なんて……この広い世界をどれだけ探しても見つかるはずがないのです……」
あぁ。
この前までは、あんなにも小さな子供だったのに。
今では見上げるほどに大きい。
「なぜなら師匠、いいえアネモネ様。あなたを愛しているからです」
「それは……母親として? それとも……」
「一人の女性として、心から愛しております」
真っ直ぐに、純真無垢な瞳で告げられる。
嬉しい。
嬉しいんだけど……。
「嬉しいよ、ルーカス。だけどね、これは私の我儘なんだけど……」
相思相愛。
気持ちは、想いは、確かに通じ合っている。
だけど私たちは絶対に交わらない運命にある。
なぜなら私は魔女。
永遠の時を生きる。
だから絶対に、彼に先に死に行かれる。
そんなの……耐えられない。
「人間の僕と魔女のあなたとでは生きる時が違うと、そうおっしゃられたいのでしょう?」
うっ。
私の思考なんてお見通しということか。
「さっきはあんな言い方したけど……ルーカスだって、本当は人間の誰かと結ばれた方がーーっ」
そう。
それが彼の真の幸せに繋がるのではないか。
そう思ってしまう。
魔女と人間という立場の違いが、私を踏みとどまらせる。
「はあ。今さらもう遅いですよ、師匠。どうして僕が魔王討伐に赴いたのか分かりますか?」
……えっ。
それは里の代表を押し付けられた私の代わりに……。
「永遠の命を得る魔法の成就。僕がずっと地下で研究していたのはそのためです。そしてその魔法の完成のためにはどうしても必要なものがありました」
それって……まさか。
「強大な魔力を持つ魔王の心臓です。それを手に入れた僕は既に不老不死の魔法を完成させ、あなたと同じ境地に立っている」
「じゃ、じゃあ……ルーカス、あなたは……っ」
「えぇ。例え業火でこの身を焼かれようと、首を跳ねられようとも、死ぬことはありません。言ったでしょう? あなたを永遠にお守りすると」
え、えぇえええええっ!?
私と一緒にいるために……不老不死になったの?
私のために、人間を辞めたってこと……?
「そ、そんなことが……だけど、ルーカスはそれでいいの?」
「いいに決まっているではありませんか。それより師匠、旅の支度を」
「た、旅? どうして?」
ちょっと急展開すぎて、話に付いていけない。
不老不死の魔法を完成させたかと思えば、今度は旅。
「魔女の里より使い魔がやってきました。こたびの魔王討伐の功績を受けて、僕と師匠の2人で魔女の里の今後の発展に尽力してほしいと、師匠の父上より伝令が」
「そ、そんな勝手な……でも、お父様がそういうなら……」
何をいまさらという話だけど。
ルーカスの成長ぶりを受けて、後任の魔女を育成してほしいということか。
だけど私は特に何もしていない。
彼が天才で、努力家だっただけだ。
「師匠はいつも本を読みながら、まだ見たことのない世界を見てみたいと言っていたではないですか」
確かにそんなことを言った覚えがある。
ルーカスを育てるという仕事がなければ、もしも一人だったのなら。
そういう道もあったかもしれないなと。
「あなたは僕を育てるためにたくさんの時間を使ってくれた。恩返しというわけではないですが、僕にできることがあるのなら……」
優雅に跪き、私に手を差し出す。
「あなたをお連れしましょう。この世界のどこまでも」
私は悩まずその手を取った。
繋いだ手の温かさだけで、これからも大丈夫だと思えた。
里に戻るのは、彼との旅を終えてからでもいいかもしれない。
「あぁ……そういえば」
何かを思いついたようにルーカスが言った。
「無事に帰って来たら……でしょう?」
意地悪な言い方をする彼に。
「もう……しょうがないな」
唇を重ねてあげると。
彼は子供のように無邪気に笑った。
「さぁ、出発です」
彼に手を引かれて。
私は旅に出る。
きっと世界は、私の見たことないもので溢れてる。
どんな旅路になったとしてもきっと大丈夫。
彼が隣にいてくれるから。
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