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第16話 三つの星、ダンジョンに潜る

 その日の夕方。


「き、来ましたね……」

「来ちゃったね」


 ダンジョンの入り口までやってきた俺たち。

 潜るために必要な物資をそろえ、アメルのパンによる能力ブーストも完了している。


 当然、『パーティの絵』も完成させた。


 テーマは『最強パーティ<三つの星>の進撃』だ。


 俺たち三人が力強く、モンスターに挑むさまが描かれている。

 この絵を完成させるためにやや時間がかかり、こんな時間帯になってしまったのだ。

 しかしこれはおろそかには出来ない。長く続く(おそらくは一週間程度)全体バフ効果だ、しっかり明確なテーマで描かないと。


 俺の絵によるバフ効果は、パーティ全員の全パラメータが3倍になる補正がかかっている。

 絵を完成させた後に人物画ステータスを見て確認した。

 これが絵の内容によって変化があるかどうかは、また調査が必要だ。


 俺の絵バフは全員の全パラメータに掛け算補正、アメルのパンバフは個人のパラメータ一つに足し算補正(大量)、といったところか。



 ダンジョンの入り口に入り、地下1階へと続く階段を下りながらアメルが聞いてきた。


「ダリンさん、今回はどのあたりまで潜るつもりなんですか?」

「そうだなあ。目標は現状での最深層、ってとこだな」

「ええ?いきなりそんな厳しいので大丈夫?」


 シンシアが心配そうな目で見てくる。

 最深層、つまりは地下8階までの到達ってことだからな。

 <彼方の海>が7階な以上、それを追い越していきたい。


「ほ、ほんとに行けるでしょうか……?」


 アメルも不安げだ。


「大丈夫。俺は前にも勇者パーティについて地下6階まで降りた経験があるし、このパーティなら

 いきなりでも8階までくらいには行けるポテンシャルはあると信じている」

「ダリンさん……」


 しっぽをぱたぱたさせて笑顔で右腕にしがみついてくるアメル。頭を撫でてやるとさらに嬉しそうに目を細めた。その左腕に自分の腕を絡ませてくるシンシア。


「仕方ないなあ。ダリンちゃんにそこまで言われちゃったら、やるしかないじゃない。いえ、出来るわ。わたしたち。なんだか、今日はいつもより体のキレが良いもの」

「ですよね!でもシンシアさんはダリンさんからもう少し離れて!」

「あら、わたしを中心にしてスキルで防御陣を組むんだから、寄り添ってないと効果が最大限に発揮されないわよお」

「むー!うー!」

「おいおい、少しは緊張感をもってくれよ?」


 地下1階に降り立つ。

 ぼんやりと光るブロックの組み合わせで作られた、地下迷宮だ。


「あ、あたしの冒険者カードに″竜座の1″の文字が浮かんできました!!」

「わたしのにも~」


 嬉しそうにアメルとシンシアが報告する。

 二人とも初めてダンジョンだったんだな。


 冒険者カードには、どういう仕組みになっているのかは今もって謎だが、現在挑んでいるダンジョンの名前と到達階層が自動的に刻印される。


 ″竜座の1″なら竜座のダンジョンの地下1階へ到達した証。


 ダンジョンの名前と数字により、その冒険者のレベルが計れるというわけだ。


 1なら誰でも到達できるので今のところは何の参考にもならないが、これが2、3、4……と増えていくごとに冒険者や王都の住人からの評価も比例して上がっていく。


 まあ、以前の『強化された』勇者パーティについて行った俺が″竜座の6″なんで、100%その冒険者の実力レベルを表すわけでもないんだけど……それでも指針の一つとして確立はしている。


 しかし、今回は実力で6どころか8まで行くつもりだ。


「ダンジョンって、案外明るいんですね……」

「壁自体が適度に光って、視界は結構確保できるのね……空気もよどんでないし。もっと暗くて湿っぽいとこかと思ってたわぁ」


 まだ1階とはいえ、アメルやシンシアはダンジョン初体験だ。

 このパーティのポテンシャルと、俺の6階までの経験があれば6階までは余裕をもって行けると思うが、二人のためにも適度な緊張感を持って行こう。



 その後、1階をうろつくスライムやら中型の虫系モンスターを倒しつつ進む<三つの星>一行。

 アメルの、獣人ならではの嗅覚や聴覚により事前に敵は察知できたし、石の防御陣も問題なく機能している。スライムは俺の絵で炎上させて倒し、虫は石をぶつけて叩き落していった。


 そしていよいよ、1階フロアボスのヒュージスライムのお出ましだ。


「うわあ……でっかいぐにょぐにょ……」

「あらあら。一度でもあれに捕まったら脱出は無理そうねえ」

 

 実際、1階の雑魚スライムが集合しただけなボスなのだが、戦士系のパーティだと何もできずにやられる事だってある。

 

「まあ、燃やしてしまおう」

 

 例によって巨大スライムを絵に描き、さらに燃えている様を描いていく。


 ゴオオオ……


 現実のヒュージスライムが一瞬で炎にまかれ、巨大な炎の塊と化した。

 そして身をよじりながらも何も出来ずに蒸発して消えてしまった。

 

「魔晶核、ありました!」

「ナイスアメル」

「さすがねダリンちゃん。はい」


 シンシアが両腕を広げる。


「?」

「ご褒美のハグ……」

「はいはい次!行きますよ!」


 アメルが俺の手を掴み、ヒュージスライムが守っていた扉まで引きずっていく。

 

 このフロアボスに守られていた扉は、ボスの魔晶核をあてがうことで開き、一度開けばダンジョンから脱出しても扉を開いた者が来ればまたボスと戦うこともなく、扉も普通に開くようになっている。


「さあ、開いてくださいダリンさん!」

「そうね。リーダーのつとめよ」


 二人に促され、頷いて俺はヒュージスライムの魔晶核をあてがい扉を開いた。

 扉の向こうに見えるのは、地下2階へと通じる階段。

 

「この調子で、さくさく行こう!」 

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