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息抜き短編集  作者: 荒木空
佰物語系列
3/9

『佰物語』供養2──『現代に生まれた妖怪達』


 『妖怪1足りない』。現代を生きる、特にネットやゲームなんかを(たしな)む人なら誰でも1度は聞いた事の有る名前ではないだろうか。


 詳細は簡単だ。何か欲しいものが一定数手に入れたくて、でもそれがあと一歩というところで足りない。という現象に対する時に使われる言葉だ。そういうとき、大抵1だけ足りない事がほとんどのため『妖怪1足りない』なんて言われている。

 ちなみに派生で2足りないやら5足りないやらも居る。



 さて、ここで言いたいのは、『この妖怪1足りないという存在は、本当に実際に居るのではないだろうか?』という事だ。


 『空想上の生き物とは』の話に(なぞら)えて言えば、現代では珍しく形に残っている想いの集合体なのではないだろうか?


 じゃあ、その『妖怪1足りない』は何処に居るのか?と言われれば、ネットの世界。より具体的に言えば電脳世界の中と言えるだろう。

 ただ、『妖怪1足りない』にはこれまでの空想上の存在達とは違って肉体と呼べるようなものは無い。そりゃそうだ、誰もがその姿を曖昧にしか認識していないのだから。


 妖怪の中に、(ぬえ)と呼ばれる妖怪が居る。この妖怪は、人の顔を持ち、虎の胴体に蛇の尻尾、背中からは鷹のような大きな翼の生えた妖怪。……なんて言われる事もあれば、人の顔が猿の顔だったり、翼が(からす)だったり、足が猛禽類のものだったり、尻尾が鼠だったりと、その姿を安定させていない。ただ大まかな姿は鳥のような大きな翼を生やした四足(しそく)の獣だと描写される事が多い。故に夜の鳥と書いて鵺と呼ばれている。


 この鵺のように、妖怪1足りないにも相応の肉体と呼べるイメージが大多数に知られていれば、その肉体を我々の前に現してくれる事があるかもしれないが、残念ながら現代の我々にそんな確固たるイメージを定着させるような事は起こらないだろう。



 閑話休題。つまり妖怪1足りないは、肉体を持たないがために存在が都市伝説レベルだが、もし誰かが妖怪1足りないのイメージを定着させ、それを大多数の人が認知すれば、『妖怪1足りない』は目の前に姿を現すかもしれないという話だ。


 『物欲センサー』なんて呼ばれているものも、『妖怪1足りない』同様そのイメージ像を定着させれば、その姿を現すかもしれない。『物欲センサー』も、本来であれば『現実に本来存在しない概念』なのだから。






 これは現代に生まれた妖怪達のお話。



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