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超伝神トライブレイバー  作者: 窓井来足
第2話
9/22

「決意 その5」

さて、前回。薬師池で葉澄と戦闘の稽古をした郷でしたが。

彼はその結果、どうなったのか――。

 町田市小野路。

 この日、俺は新選組について学ぶためにここにある資料館に足を運んでいた。


 あの、葉澄さんに稽古をつけてもらった日。

 気合を込めて挑んだものの、結局俺は日が暮れるまで一発も入れることが出来なかったのだ。


 で、何かこの鎧の能力を引き出すための方法はないのかと思い。

 ふと、葉澄さんが稽古中に沖田総司の名前を出していたことを思い出し、もしかして何かのヒントかと思って調べてみたら。


 どうやら、後に新選組になる人たちは町田の小野路や、相模原の上溝まで出稽古などをするためにやってきていた事もあり。

 また、彼らを支えた人たちもそれらの地域にはいたのだという。


 流石の俺でも新選組の名前ぐらいは聞いたことがあるし、旅先では彼らに縁のある場所も何か所か行っていたけれど、まさか自分の地元にまで来ていたとは思ってもいなかったので。


 地元の歴史に関する資料から、彼らがどんなことをしていたのか調べたり。

 あるいはこうして実際に、資料館を見学したりしていたのだが。

 新選組の人達も案外、普通の若者だったのだろうか? という感じだ。


 例えば、近藤勇はとろ飯の大食い対決をしているし。

 土方歳三は気に入った沢庵を一樽持って帰ったり、あるいはこの資料館にあった手紙みたいにモテる自慢をしていたりして。

 俺がイメージしていた、勇ましい侍とか、敵から恐れられた剣客集団というのとはちょっと違う気もする。


 こういう偉人ってのは自分みたいな普通の人とは違う気もしていたんだが……もし彼らにそういうどこにでもいる若者のような面があるのなら。

 一体、そんな彼らを動かし、そして歴史に名が残るまでにしたものは何だったのだろうか?


 そして、それがわかれば、もしかしたら。

 今のところ、ただの若者でしかない俺にも、何かヒントになるのではないだろうか?

 そう、彼らが何故命がけで戦っていたのかがわかれば……。


 ………………いや。

 そんなの、考えてすぐにわかる訳もないか。


 そりゃあ、理屈としては「こうだからです」みたいに言えるかもしれないし。

 調べれば新選組に関する本なんて山のようにあるんだからそのあたりについて様々な意見が出てくるだろうけれど。

 その気持ちに、俺が共感できるかはやっぱり別問題じゃあないだろうか?


 いや、確かに俺も危険を冒して戦うようになったけれども。

 何せ、俺が戦っているのは人を襲う怪物で、一方彼らが戦った相手は人間だ。

 つまり、相手には相手の言い分があったという事だ。


 それはまあ、当時と今では価値観が違うから武器を持って戦えるかという部分に関してまで、現代の俺が悩むのは違うかもしれないが。

 しかし、これが「自分と相手、どちらの意見が正しいか」という意味で戦えるかという話ならば――

 厄介な問題だ……


 などと考えつつも。

 せっかくこの辺りまで来たのだから、今後の地元紹介活動のための勉強も兼ねてと思い。

 里山交流館でうどん等を食べたり、小野神社に参拝したり、最近見つかったという現存するものでは日本最古だという草木塔を見たりしたのち。

 小野路城址という場所に向かって散歩をしていた。


 まあ、今から向かう城ができた頃と新選組の時代とは全く違うのだが。

 折角この辺りまで来たのだ。町田の歴史を学んでおきたい自分としてはこちらの方も気になる。


 それに、どうやらこの小野路という場所は鎌倉街道上道が通っていた場所で江戸時代には宿場としてにぎわっていたらしく。

 そうなると鎌倉時代に武士が幕府に向かうために作られた道が、後の世まで影響を及ぼしていることになる訳で。


 こういうのを考えると、やっぱり歴史は繋がっているんだなあなんて思ったりもするんだが。

 こういった面白さを伝えられるように地元の紹介とかできたらいいのかもしれない。


 が、それは兎も角。

 この道、随分と暗くないか?


 いや、雑木林だから日が差さないのは分かるけど、それにしては――

 いや。


 これはこれは木が茂っているから暗いんじゃあない。

 空が……いつの間にか妙な感じに暗くなっている。

 この空はまるであの時の――


 よし。

 とりあえずブレスレットをアクセサリーの形から盾の状態に変化させて。

 そして、その気配のする丘の上に警戒しながら近づいてみるか。


 どうやら、さっき会った看板からするとその丘が目的地の小野路城址らしいのだが。

 こうなっては、呑気に城の址を見学とは言っていられそうにない。


 何せ、この空の闇は。

 あの日、俺の前に怪物が出現した時のと同じものだからだ。


 そして、武神の力を得たからか、今の俺には大体どの辺りにその怪物が現れるかがわかる……らしい。


 そして、おそらく。

 現れるのは――

 !!

 来た!!


「超・伝・神!!」


 とりあえず変身した俺は、変身と同時に武器も召喚して右手に持つ。

 そしてそのまま、丘の上へと駆け上がる!!


 さっき、この丘の上の方に雷のような光が見えたのだが……やはりいたか。

 蛇頭の怪人が。


 前に見たのと何かが違う気もするが……まあ、そもそも俺は怪人はまだ一体しか見ていないからな。

 多分、個体によって微妙に姿とか大きさとかが違ったりするものなのだろ……


「グ、グァ……グガッ……ガッ!!」


 っと、危ねえ!!

 いきなり槍のような武器で突かれたが、こっちはそれを左腕の盾で弾く。

 そして、右手の刀で横一線。


「グ? ガ、ガガァ……」


 斬られた怪人はそのまま黒い煙と化して消滅した。

 ……なんか、あっけない。


 と、思ったが。

 最初に戦った時と違って、今は武神の鎧も、そして武器もあるのだから当たり前なのかもしれない。

 そしてこうもあっさり倒してしまうと、初戦で勝ってはしゃいでいた俺を見た水槌様の反応も、理解できるような……まあ、それはいいとして。


 しかし、今思うと何故、こんな人気(ひとけ)のないところに、俺が来た時に丁度怪人が現れたのだろうか? 勿論たまたまという可能性もあるが……いや。


 考えてみると、もし人が多いところに怪人が出るならば、とっくに噂になっていると思う。

 そして今の時代ならSNSで写真やら動画が拡散される可能性が高いだろうから、怪物騒ぎを隠すというのも難しいはずだと考えたら、これはそもそも怪物が人が少ないところに現れるという事だろうか?


 理由はわからないが、その可能性は高そうだ。

 が、まあ。そのあたりは後で水槌様にでも聞くとして。


 とりあえず今は怪物がいたあたりの様子を調べて……


 ……いや。

 まだだ。

 まだみたいだ。


 さっきのあの怪物が来るという感覚。

 あれをまだ感じる。


 どうやら、先に出てきた一体の気配の方を強く感じ取っていたため気がつかなかったが。

 他にもまだ、もっと大きい気配……では、ない?


 これはもしかして――


 そう、俺が気配の正体に気がついた丁度その瞬間。

 空から、あの雷のような光が!!


 しかも、今度は……ほぼ同時に五、いや六回!!

 そして、当然それによって現れた怪人もまた六体!!


 こ、これは……まずいだろうか?


 確かに、一体ずつならあっけなく倒せるぐらいに弱いが、六体という事は攻撃も六方向から撃ち込まれるという事だ。

 下手に動いてこちらが隙を作れば、そこを狙われるかもしれない。


 そして、相手がこちらの攻撃一撃でやられるぐらいに耐久度が低い事と、相手の攻撃力が低い事は無関係。

 つまり、隙を突かれて一発入れられたらどうなるかわからないという事でもある。


 勿論、攻撃を入れられないようにうまく立ち回れば良いのだろうが。

 俺には多対一の経験は少ない。


 昔やっていた武術とかの試合は一対一だし、いくら武術の形が大人数を相手にする事を想定して作られているといっても経験の少ない実戦でそれが役立つかと言われたら不安が残る。

 とはいえ、こうなってしまっては戦わざるを得ないだろうが……


 と、思いつつも俺はとりあえず刀を構えて相手を睨む。


 もし相手が、例えばチンピラみたいな自分たちがやられることなど考えていない連中なら、こうやって睨み合って時間を稼ぎ、そしてしびれを切らして最初に襲ってきたヤツを叩けば、残りは戦意喪失したりするんだが。

 相手は化け物だ。仲間がやられたって怯んだりはしないだろう。


 すると、上手い事一体ずつ倒していくしか――


 !?

 何だ?

 また気配が……いや、しかし。

 これは怪物の気配とは違う。


 怪物どもと同じ、人間とは違う力を感じるが。

 怪物どもと違い、強い光、あるいは風のような存在。

 そんなものが……こっちに向かって高速で接近して――


 !! 斬った!?


 いや、当然ここまで駆けてきて敵の中に飛びこんでから怪物を斬ったのだろうが。

 俺にはこの場にそいつが現れたのと一体怪物を斬り倒したのがほぼ同時に見えた。


 だが、一体倒したといっても怪物はまだあと五体。

 この後どうやっ――いや。


 俺がそう考えている時には既に、そいつは怪人たちを斬り倒していた。

 速い、速過ぎる。

 これは、かつて少年漫画で読んだことがあったような「振りが速すぎてまるで数人を一振りで倒しているように見える」というやつなのだろうか?

 そんなフィクションめいた技が現実にあり得るなんて。


 と、自身が特撮のヒーローのようなフィクションめいた存在に変身している事など忘れ、ついそう思ってしまったのだが。


 そんな、超高速の剣技を繰り出していたそいつが。

 全ての怪人を倒した後。

 ゆっくりと刀を。

 俺の方に向けて……って。


 え?

 こいつ、俺の敵なのか?


 気配があの蛇怪人と全く違うし。

 それに見た目も。

 編み笠のようなものを被り、新選組のに似た羽織を着ていて。

 顔は……仮面なのか、あるいは実際にああいう顔なのかは知らないが、硬質で艶のある質感のある顔をしているので普通の人間ではないのだとは思うが。


 それでも、あの黒い蛇怪人達とは違う印象を受けるものだ。

 その上、今あの蛇怪人を六体も斬り倒した事を考えると……別に俺がこいつと戦う理由はない気もする。


「お、おい。お前一体、何なんだよ」


 とりあえず俺は、この新手の怪人物と話し合いをするために何者かを問う。


「お前は刃を向けられた状態で、そいつに何者かを問うか?」


 俺の問いにそう返した剣客怪人は、そしてそのまま俺に向かって刀を振り下ろ――


(続く)

突如現れた剣客怪人に襲われた郷の運命は……次回に続く。

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