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超伝神トライブレイバー  作者: 窓井来足
第1話
5/22

「決意 その1」

前回。郷は町田市相原町にある草戸山で武神の力を手に入れましたが。

その事に気がついた、ある人物がいて――

 しかし、不思議なものだな。

 そう思いながら私は落ち着いてものを考えるのにうってつけの喫茶店で、この町の名産品だという珈琲を味わう。


 この珈琲の名称、町田市をモデルにした街が舞台の小説から名づけられているらしいのだが。

 ()()()にも、そして()()()にも。

 つまり()()()()にも、()()()()にも。

 同じ珈琲、そして同じ小説もあるから不思議だと思う。


 私の住む世界の町田と、別の世界の町田。

 世界が違うのに、何故どちらにも同じものがあるのか。


 そもそも、同じ小説が存在するという事は、どちらの世界にも同じ作家がいるという事なのか?

 それとも、この世界の著者と、私の世界の人では似ているが別人と考えるべきなのか?

 あるいは全くの別人が、何か……例えば運命とか、世界の法則に導かれるように、それぞれの世界で同じ作品を作るのか。


 兎も角、どれにしても。

 どの世界でも、同じような事が起きたり、あるいは似たような立場にある人がいたりするという事になるのだろう。


 そして、先の小説の場合と同じように。

 この世界における私といえるような者もまた、この地にはいるはずだ。


 そう。

 この私の持つものと同じ、この町を護る武神の力に選ばれた者が。


 私が、この世界に来てから約一ヶ月経つが。

 数日前。

 私の持つ力に妙な反応があった。


 そして、不思議なことに。

 私には初めて感じたはずのその感覚が、私以外に武神の力を持つ者が現れた結果なのだと理解できた。


 この、こちらの世界側での武神の力を持つ戦士の登場はおそらく。

 この世界に邪悪な者、つまり()()()が来た事に武神の力が反応したためなのだろうが。

 場合によっては、私が追っている()()()が自ら、何かに利用する目的で強引に武神の力を復活させた可能性もある。


 もしそうだとしたら、逆に()()()の方も、私の存在を感知……いや、それどころか下手をしたら詳しい居場所まで特定してしまうかもしれない。


 何せ、あいつはこの土地に縁のある神と既に協力関係にあるのだ。

 あの女が手を貸せば地脈などを利用して、武神の力の位置を探すことも可能だろう。


 あの女……何故あいつに協力しているかは知らないが、それは兎も角。

 このままだとあいつらがこちらの位置を特定する可能性は十分にあるという事だ。


 そして、そうなってしまったらまずい事は考えるまでもない。


 そう判断した結果。

 私はこちらの世界の協力者に依頼して、相手側からは私の武神の力を察知できないようにしてもらった。


 それでも変身した状態で近づけば相手も私の力が同じものだと理解するだろうという事だが。

 そこまで近づいてしまえば、最早隠す意味はないだろう。


 いや、勿論。

 相手が武神の力を得た時既に、あちらもこちらの存在に気がついている可能性はあるのだが。

 力を得てから一年以上たっている私と違い、手に入れたばかりのあちらは「同じ力」を察知する能力がそこまで高くはないだろう。


 私がこの力を初めて手に入れた時の事を考えると、そんなに使いこなせてはいないだろうし。

 精々相手側が感じた事は「何かは感じたが、何だかわからない」程度だと思う。


 ――なんて、この辺りはすべて推測なのだが。

 確かめようがない事を、いつまでも考えていても仕方がない。

 ……よし。

 では、今日も情報収集を……


「あの、これ落としましたよ?」


 ん?

 これは……本の栞か。

 さっき、この町について調べるために読んでいた小説の間から滑り落ちたかな?


「ああ、失礼。どうもありがとう」


 私は目の前の男から、栞を受け取る。

 この男、数日前もこの店で見たような気がしたが、常連か何かだろうか?

 まあ、それは別にいいとして。

 そろそろ、会計を済ませて店を出る事に――


(続く)

こうして、この町に訪れているとある人物は。

武神の力を持つ、郷を探すことになるのですが。


郷と、この人物が出会うのは果たしていつの事になるのか――

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