17.捕縛
トントン。
「お客さーん、もうお昼過ぎているけど食事はどうするんだい?食堂に来ないから部屋に持ってきたけど扉を開けてくれるかい?」
「はーい、今開けます」
ノック音のあとに男の人の声で昼だと気づき、ご飯をもらおうと扉を開けたが。
「リーリア姫とピータンを確認!総員姫を捕縛し確保せよ!!」
「えっ!?ちょっと、ご―――うっぐっ!」
扉をあけると軍服姿の1人男が僕とピータンさんを目で確認したと同時に、同じ軍服姿の数名が扉のサイドから部屋になだれ込んできた。
もちろん、僕は弱弱しいながらも抵抗したよ、縄でグルグル巻きにされているけどね!!
ついでにリーリアさんに間違われると即座に気づいたから説明しようとおもったよ!
今猿ぐつわでされていて全く話せないけどね!!
懐の中にあるリーリアさんの手紙を見せれば一発で誤解だとわかるのに、ベッドの上に転がされた僕は話せないし手足は動かせないし…誰でもいいから何とかしてくれ!!
ちなみに大兎のピータンさんは僕にピッタリ張り付き、プスプスと鼻をならしながら睡眠中。
この子(大兎)、兵士がきても平然としていたし、兵士が近寄ってもお菓子ねだってから爆睡しているし大物だ。
でもね、しばらく兵士たちの会話をきけば、ピータンさんが大物であることもうなずけるわけで…。
「ユナガ隊長、ソリエナ街道にいるヘイゼル王子と連絡がとれてこちらに向かうとの報告を受けました」
「そうか。ヘイゼル王子がこの小さなロシマ町に訪れると町民が混乱するかもしれない。町長に『兄妹でお忍びの視察中に『妹姫』が迷子になって困っていたところを助けてくれて感謝している』と説明しておけば町民に伝わるだろう」
「実際は、リーリア姫は城から抜け出し男を追っかけ中でした…なんて言えませんもんね~」
「バハレーン、それはロシマ町の者には絶対聞かせるなよ。いや、これは国中の秘密事項だ。大国から見合い話もきているのに、リーリア姫には姫としての自覚がたりないのか…」
これだけ聞いて理解したよ…リーリアさんは姫様であると。
ピータンさんが兵士を見ても平然しているわけだ。
しかもリーリア姫は、見合いがきているのに別な男を追って逃亡中なのも理解したくなくてもしてしまった。