16.指名手配?
リーリアさんは宿屋に数日間の費用は払っても、僕に現金の類は一切渡さなかった。
服は日本の服は脱ぎ、リーリアさんの旅服を一式もらいました。
ピッタリだった…いやいや、少し小さかったけどそれは気にしない!!
薄手のゆったりとしたズボンに上はヒラヒラした服…これも気にしたら負けだ。
靴はリーリアさんに控えがなかったためそのまま日本で着用しているスニーカーを履いているが、これは足元をじっくりみられなければ異世界のものだとおもわないだろう。
リーリアさんが言うには、僕の日本での服装は愚か者の『湧き人』を示しているようなもので、『虐めてください』と歩いているようなものだそうだ。
それを聞いたら、多少パステル調の女服であろうとも………やっぱりリーリアさんに無理を言っても男性の服を買ってもらうべきだったとただいま激しく後悔中。
リーリアさんは家出中+恋人になる予定の商人追っかけ中、いくら貴族だからといっても僕の服まで買ってもらうのはと遠慮したんだよね。
でもさー、さっき朝食を食べているとき、同じ宿屋にとまっている人たちがやたら僕のことをジロジロ見てたんだよねー。
宿屋の主人もなんかやけに念入りに僕の顔をみていたような…。
昨日の夕食は部屋で食べていたから気付かなかったけど、僕の顔になにか…あれ?リーリアさんは貴族で、現在家出中で溺愛している兄がいるわけで…。
リーリアさんがここは『国』の都市的街ではなく、『町』だと言っていた。
リーリアさんが『この国』の都市的なものの高位貴族であるとして、溺愛している兄が手配書とかが各『町』に配られてたりして…。
「あっははは…」
乾いた笑いが漏れた。
リーリアさんと同じ顔の僕…手配書に書かれている顔はリーリアさんであっても僕に見えたりして?
まぁ、そうおもっても今の僕には宿屋中に「手配書に僕の顔が書かれていたりします?」と聞く根性はない!
これ幸いと捕まって男であると説明するのは嫌だ!!
僕は昨日リーリアさんに男であることを確認する際の作業(※●玉鷲掴み事件)が嫌で、部屋に立てこもることにした。
リーリアの手紙をお兄さんに渡せば誤解はすぐに解けるし、昨日の件が軽くトラウマになっていたのだからこうなるのも仕方がないが、それが間違えてあったと気づいたときにはもう遅い。