13.妹を溺愛する兄
リーリアさんの恋バナが落ち着き、リーリアさんの兄情報になるのだが。
「兄は私を溺愛していてね、きっと今も私を追ってきているとおもうの。だからね、私の書いた手紙をあなたが兄に渡してくれる?そこにあなたに仕事を紹介するようにも書いておくわ」
「僕が手紙渡すのはちょっと…ちゃんとお兄さんと話したほうがいいんじゃ…」
「手紙で十分よ!!それに兄に捕まったら私監禁されちゃうわ!!監禁されたら『愛する私たち』に未来は訪れないわ!」
「リーリアさんはその商人の方と相思相愛なの?」
「いやだわ、あなたこんなこともわからないの!そんなのこれから追っかけて恋人になるんじゃない!!もしかしたら、次にあなたに会うときは夫として紹介しているかもね!子供も数人いたりして…うっふふふ」
…なんだかその商人さんがかわいそうになってきた。
こんなグイグイ押しまくるリーリアさんにいつの間にか囲い込まれて捕まっていいようにされるんじゃ…うん???あれ?
なんでこの人こんな俺様的リーリアさんから逃げられたのだろう?
きっとリーリアさんは貴族の最大限の力を持って強引に迫ったはずだ。
それでも逃げ切れたその商人さんなんか変じゃない?
僕がそう感じるくらいなのにリーリアさんは恋人(今はまだ恋人ではない商人)についてあれこれのろけていて、結局僕はその勢いでリーリアさんの兄に手紙を渡すことを了解することになってしまいました。
だっていつ元の世界に還れるかわからないし、食べていくためには仕事は大事だよね!
「手紙には兄に『仕事は特殊でも軽め』で『衣食住ダダにしておいて』と念を押して書いておくから」
上記セリフが決めてになって、この際リーリアさんと商人のことはいいやっと思ったことは………若干あるがまぁ僕の死活問題もあるしいいよね。
でもさー、あとから冷静に考えてみると、『妹を溺愛している兄』なんて小説くらいしか存在しないものだと気づくべきだったんだ。