11.都会っこの僕
巨大な犬の口にTシャツの首元を咥えられユラユラ揺れて半泣きになっている僕だが、ものの数分でボスっとリーリアさんのそばに落とされた。
「犬なんて失礼ね!彼女は立派な狼よ!!それに彼女は肉なんか食べないベジタリアンよ!」
「………」
なんだろう…犬ではなく狼ということに驚きたいが、その見た目(大狼)でベジタリアンってほうに驚いて逆に冷静になれた。
「そーでしたか、ベジタリアンの大狼なんですね。…それで先ほどの質問の答えですが、獣(大狼)に乗った経験がないので無理だと思います。てか、僕の世界ではそんな大きな狼は存在しません」
「へぇー、あなたの世界はずいぶん面白くない世界ね。じゃ、いいわ。歩いて1時間くらいのところに小さな町があるの、そこで私の話と仕事の話をしましょう」
「は、はい」
こんな砂漠のど真ん中でお話なんて僕でも嫌です。
砂漠であっても暑さ的には殺人的な暑さはないが、日本でいう夏らしい気温ではある。
異世界の砂漠だからそうなのかもしれないが、こんな砂漠のど真ん中よりは『町』で話すほうが断然いい。
しかし『歩いて1時間』と言われても、それはこの砂漠に慣れたここの世界の人をさして言っていることだと気づくべきだった。
アスファルト舗装になれた足、それに合わせたようなスニーカー、ついでに体力なんて女子より少し上くらいの僕。
僕は砂漠に頭から5回くらい突っ込んで転んだ時に理解したよ。
1時間歩いてもの町にはたどり着けないと…。
補足するとリーリアさんとリーリアさんのペットの大兎は当然歩きではない、ちゃんと大狼に乗っていた。
大兎は大狼の上で余裕で跳ねていて、妙に感心してしまった。
僕が転ぶたびリーリアさんは大狼の上から「大丈夫?」「とろいわね」と声はかけるが、けして降りて助けてくれることはなかった。
地震、停電で物流がおかしくなっている。。店舗の食料棚が変にガラガラしているのに笑ってしまった☆コンビニがコンビニじゃないw