プロローグ『ラプラスの少女』
※諸注意
当作品は5年前に「電撃小説大賞」で落選、「角川大賞」の応募した作品です。
過去に執筆した作品であり、伝わり辛い箇所、拙い文章等あるかもしれませんが、予め御了承ください。
『ラプラスの悪魔』。
―一つの瞬間における全ての物質の力学的状態と力を知る事ができ、かつもしもそれらのデータを解析できるだけの能力の知性が存在するなら、その者の目には未来も過去も全て映る。
ラプラスが自らが提唱する仮説を行うのに用いたモノだが、実際はあくまでも『もし居たととしたら』という架空の存在だ。
それはそうだ。
そんな奴が居たら、中古書店に立ち寄って辞書を買ったときに、辞書の中から大量のAVが出てきて、何故か自分が恥ずかしい目に会ってしまった過去や、同時期に出会い系を始めた友人が、彼女をゲットできたと自慢してきたので腹いせに一週間前の牛乳を弁当の時に差し入れしようと思っている未来もバレてしまう。
哲学ついでにその話をしたら、「悪魔はお前の方だろう」と言うのは、幼稚園から嫌と言うほど腐れ縁をやり続ける親友の語り。
誰にだって秘密にしておきたい事実だってあるし、結果を知っていれば勝負事だって面白く感じなくなるだろう。
自分がその悪魔なら、とっとと死んで人生やり直すかもしれない。
藍巾学院の『二人一組受験制』という風変わりな受験(二人一人で受験をし、互いで一つの用紙に答える)を、幼馴染の相川奈那美と総合共同点数で五百満点を収め(奈那美九割、俺一割)て、新入生首位を獲得という面倒な事もあった翌年の年。
進学を控えた春休み前の教室。
目くるめく真価を発揮し、一年で勉強スポーツ全てにおいて好成績を収める、天才少女と揶揄された幼馴染。
一学年最後の日のHRを始める教師の机を占領し、早く春休みに突入して欲しい生徒のダルそうな視線と、学年首位が何を起こすかという好奇の視線に晒される中、
興味なさげに、当然のように呟いた。
「―――私は『ラプラスの悪魔』。これから起きるであろう未来も、誰かが秘密にしたいような過去も見える」
どよめく生徒たちの反応を見る中、奈那美は表情一つ返る事は無かった。
後に聞いた話だが、こんな事態を招いた理由は、
「フェアじゃないでしょ?」
学年首位の種明かしは、世界が注目する大スクープに変わった。