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Box_142_TelephoneBox_pre
「もしもし?」
「はいはい、私だよ」
「おー、繋がった。こんなところからでも繋がるんだからすごいなあ」
“電話ボックス”という名前の似たような機能を持った設備、あるいは光景がどこかの世界の時間軸に短い間だけ存在したらしい。
従来の技術とりわけ通信機能の僅かな進歩で、かわいらしい空間を占めていたそれらは姿を消した。
「そりゃあそうでしょう」
「で、どう?見たい?」
世紀の冒険家として名を馳せるなんて夢のまた夢だが、そもそも夢見ていなかったのだけれど、辺境絶景の地に先人が置いたその装置には旅慣れた誰かがたどり着いていて、その親友の誰かが窮屈な施設の同じ装置に入っている。
電話ボックスなる遠縁のものとの一番の違いはこれだろう、こちらの受話器置きの横には大きなボタンが付いている。
「言うと思った、もちろんそのために来たんだから。お楽しみあれ」
その装置は、声が通じたお互いの位相を交換する。




