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覇王の走狗(いぬ) ~皇華走狗伝 星無き少年と宿命の覇王~  作者: 喜多村やすは@KEY
八ノ戦 飛竜乗雲

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2 戦地鳴動 その4-3

 2 戦地鳴動 その4-3



「おおおおおおおおおおおおっ、うおおおおおおおおおおおおっ!」

「殿下、御静まりを!」

「ぬおおおおおおおおおおお、許さん、断じて許さんぞ!」

「殿下!」


 手負いの野獣の如きに、烈は吠え続けている。弓と拳とが矢によって一つに縫い付けられた烈の左腕には、餌に集る蟻のように家臣たちが群がっていた。

 ――いかぬ(・・・)、此れはいかぬ(・・・)

 ――最早、切断は免れられぬ。

 既に烈の拳の色は、生きる人の其れではなくなっている。

 家臣たちは青褪めた。

 剛国王弟・烈の名は、此れから、春風のように毛烏素砂漠をも駆け抜けねばならないと云うのに。

 王弟・烈は綺羅の王道を征く剛国王・闘の添え星として、共に常に永遠に瞬かねば為らぬ身であると云うのに。

 傷一つ負っては為らぬと云うのに――

 いや、あの(・・)剛国王弟・烈が、障碍の身に為るなどと、一体、誰が想像し得ようか!

 しかし、もう何をどう悔いようとも罵ろうとも、今更、である。傷をどうにも出来はしない。ならばせめて、そう何としても、烈の腕を保存せねば為らない。

 使命感に背中を押された家臣たちは、烈を後方に下がらせようと躍起になった。


「えぇい、どけ、どかぬか!」

「殿下、何卒、御静まりを!」

「抜かせ! 私に構う暇があるのなら、奴らの首を一つでも多く取って来い!」

 烈は全身を烈火の炎とさせて怒鳴った。

 実際、剛国軍は浮足立ち過ぎていた。

 句国軍がよもや此のような攻勢に打って出るとも思いもしていなかったのもあるが、其れ以上に、十分の一の兵力差の劣勢を物ともせず、其ればかりか情勢を大逆転させた句国の騎馬を直視出来ずにいるのだ。

 不意に、烈は猛烈な速度で迫る悪意に背筋が凍るのを覚えた。

 瞬間、烈は右腕で家臣の一人の胸倉を掴むと己の眼前に盾のように突き出していた。途端、家臣の頭内で鈍い音が響き渡り、一面が朱色に彩ろられる。


「殿下!」

「喚くな! 掠り傷も負っては居らんわ!」

 事実、きりきりとした殺意の切っ先は、烈の眉間を舐めるように掠めるのみで、到達してはいない。

 家臣の頭を打ち抜いて飛び出した鏃の色は血に染め上げられて計り知れないが、形には馴染みがある。烈専用に鍛えられた鏃だ、見間違える筈が無い。

 度肝を抜かれ虚脱状態の兵の前で、文字通り盾となって主君を守り抜いた家臣を、烈は押しやった。

 句国軍が、とうとう、突破口を開いて疾風迅雷の如くに戦地からの撤退、いや逃走を図っていた。形振り構わぬ、清々しくも小気味良いまでの遁走っぷりである。


 ――何と云う滑稽さだ。

 役立たずの、只の肉塊と成り果てた左の拳を睨みながら、烈は歯噛みした。

 ――私を弄び、愚弄しおった。

 此処に来て、烈は漸く句国軍の意図を悟った。

 彼らは、死して勇名を残そうとしていなかったのだ。一人でも多くの剛国兵を道連れとして逝こういう気すら無かったのだ。

 生きる事のみを念頭に置いており、此れが戦であると云う意識も持ち合わせて居らず、況してや勝利などはなから求めてはいなかったのである。

 数の上で絶対的優位に立つ剛国軍に対して、僅かで良い、巧妙と云うべき活路を開ければ良かったのだ。

 此の、意識の差が、今の事態を生んでいる。

 彼らにとっては此れは『散った』にすぎず、戦で無い以上、『敗走』ではない。

 だが句国軍がどういう言い分であるにせよ、剛国軍にとっては十倍の兵力差をものともせず脱出を許した以上、完膚無きまでの大敗である。


 ――勝者は居らぬ癖に敗者のみが棒立ちになっておる、だと……。

 しかし烈のには、鮮やかなまでに、優の背中が見えていた。其れは、まるでこん山脈の如きに聳え立っており、烈の往く手を阻もうとしている。

「……ふっ、……ふはっ、ふははははっ……!」

 ――私の眼前に! 真とやらだけでなく! 親子共々で! 立ちはだかろうと云うのか!

 烈の脳内で、何かが、ぶちっ、と大音量を上げて弾けて切れる。

 眼前で狼狽えている家臣が腰に帯びている剣に、烈は手を伸ばした。

「でえぇぇい!」

 気合を入れるや、烈は剣を一閃させた。

 瞬きと共に、どっ、と肉と骨が断たれる鈍い音が上がり、未だ弓を握り締めた儘の形を保っている烈の左の拳が、地面に落ちる。

 狂気に満ちた主人の気迫と、簡勁たる切先の動きにたじろぎ(・・・・)を見せた馬の動きにより、手綱が微かに宙に浮いたのを、烈は見逃さず、手綱を剣の柄で引っ掛けると口元に運び、干肉を喰むように銜えた。


「ついて来い!」

 命じながら、烈は自ら先頭となって怒涛の追跡を開始した。



 ★★★



「走れ走れ走れ!」

 命じながら、優は先頭を駆け抜けている。

 右手には、車右の如きに杢がぴったりと張り付いて駆けている。背後を振り返る余裕はないが、付いて来ている部下たちが、一体全体、どれほどなのか、と案じていた。

 明らかに、馬蹄の音は高さを失っている。だが続く馬蹄の音は、優を励ますように、力強く耳朶を打って呉れている。

 ――私のような愚かな将軍なぞに率いられねば、新たな世を愉しめたであろうに


「……皆、済まぬ……冥府に私が渡ったならば、存分に讒訴して呉れ」

 ぽつり、と優は零した。

 優は武人の道を選び取ってから此の方、負け知らずであった。

 此度も、戦ではないし十分の一の兵力で敵陣を突破してきたのであるから、何処をどう見ても優の勝利である。

 しかし此度の戦闘は、優にとって、武人人生初の手酷い敗け戦であった。

「……」

 苦悶の表情を浮かべる優に、何と声を掛けるべきかと悩む杢の反対側に、並走する影が現れた。すいである。血みどろの優の姿を認めた萃は、一瞬、息を呑み、だが直ぐ様、己の中のたじろぎを追い出してみせた。


「此方へ!」

 普段の萃からは似せぬ小気味良き越えに、おう! と答えながら、優たちは導かれる方へと馬首を向けた。暫く駆けると、馬群の前でが大きく腕を振っている。

「馬を替えよ!」

 殆ど転げ落ちる態で馬から降りた優を支えながら、杢が代わって命令を下す。既に、馬の背には新たな馬具が周到に用意してある。

 兵たちは粛々と命令に従った。長く自分たちと苦楽を共にして呉れた愛馬と、此処で永久の別れとなる。短くも濃密な別離の見詰め合いが、其処此処で行われた。

 杢の手で右目の手当を受けながら、優は萃に尋ねた。

「剛国王の場所は!?」

「此処より3~4里程先にまで迫っております」

「……む、流石に早いな」

 王弟・烈の軍は怒涛の追跡劇を行っており、相当な驚異では在るが、既にもう、躱せる目算が立っている。残るは、剛国王率いる本隊とぶつかりはしないかという懸案だけだ。


 ――躱せるか、いや。

「躱しきらねばならん」

 そうでなければ、彼の地に置き去りにしてきた仲間たちにどう詫びれば良いというのか。

「杢よ、如何程の兵が付いて来られたか」

「はい、ざっと見た処ですが、凡そ三分の二、程であるかと」

「……うむ、そうか」

 ――かくも多くの部下を失ったか。

 全くの無傷で逃げ切れるものではない。

 そもそも、勇猛果断で知られる剛国王弟・烈率いる2万の軍勢相手に全滅を免れただけでも、充分に賞賛に値するのだ。

 と知りつつも、手塩に掛けて慈しんだ勇者たちを六百人以上も失った喪失感は図りしれず、また前途在る若者を壮年である己より先に冥府に旅立たせた寂寥感が優を縛っていた。

 穴と様変わりした優のは、主人の虚無を涙として表せない。だからか、胸の奥がしくしくと激しく湿った。

「太尉様」

 励ますような杢の声も、心做しか、濡れている。分かっておるわ、と優は胸を張った。

 何れ、此の責任は問われねば為らない。問われずとも、失った兵の廟を訪ねれば、其の家族らは自分を痛罵し、弾劾を行うであろう。いや、行われねば為らないのだ。


 ――其れまでは、死ねぬ。

 杢と萃に命じて手を借りながら、優は馬上の人となる。

「萃、薙よ。では、手筈通りに後を頼むぞ」

「お任せを」

「はっ」

 二人は優に頭を下げると、影を残して姿を消した。見送る間も惜しみ優は腕を振り上げる。

「往くぞ! 剛国王が目と鼻の先にまで迫って来ておる! 逃げるぞ! 逃げ切れば、腹一杯喰える! 馳走は早い者勝ちだ! 今更、喰いっぱぐれたくなければ走り抜けよ!」

 優の言葉を杢が率先して実行に移すと、仲間たちも一斉に倣った。

 こうしている間にも、怫然の塊となった剛国軍の気迫がひたひたと迫って来ており、空気を脅かしているのを優たちは肌で感じ取っている。

 本当の生き残りを掛けて、優たちは、再び全速力で、形振り構わず逃げ出した。



 ★★★



 ――探りに行った者どもは、まだ、戻らぬか。

 逃げた句国軍の探索を続けている斥候は、なかなか戻らない。

 身軽であると言う事を差し引いたとしても、尋常一様では無い速度であるが、彼らが逃げ切ると云う事は、負傷した烈を庇って速度が落ちている為であると言外に言っているようなものであり、剛国王弟の誇りに懸けて、断じて認める訳にはいかない。


 ――私の負傷を理由に、馬を駆る速さで負けてたまるか。

 切断した左腕からは、容赦無く血が滴り落ちている。

 止血せずに切り落としたのであるから当然であるのだが、血が失われた分だけ、烈の体内から急激に活力が失われて行くのも、また当然、自然の摂理であった。

 だがしかし烈の愛馬が刻む馬蹄の音は、全く以て其れを感じさせない。体力は奪われても意気は衰えず、逆に益々、殺気は盛んとなるばかりだった。

「何としても奴らを全滅させねば気が済まん!」

 些か、顎が痛む。根を齧る鼠の気分を味わいながら、烈は眦を決して手綱を喰んでいた。

 烈の鬱憤が爆発する寸前、既の所で、先行させていた斥候の一人が緊張した面持ちで戻って来た。烈の怒りに触れずに済んだ家臣たちの間に、あからさまな安堵の吐息が漏れ出る。

 そんな中、斥候が嬉々として烈の前に跪いた。


「殿下! 馬蹄の跡を発見致しました!」

「――おお!」

 家臣たちの顔ばせに喜色が浮かぶ。しかし烈は渋い顔のまま、案内するよう、短く命じた。

 導かれて行った先には、まだ確かに新しい馬蹄の跡が地面に刻まれている。烈は顎を刳り、より詳しく調べるように命じる。早速、諜報作業を得意とする者たちが散らばる。

「どうだ?」

「は、奴らである事は確かなようですが、その、一つ解せぬ事に、どうやら二手に分かれておるようです」

「二手にだと?」

「はい、其れも何方も2千騎の馬蹄の跡です」

「何ぃ?」

 此方に、と誘われた先で、確かに二手に分かれており、跡から推察される馬群はほぼ同程度だ。左手側に往けば剛国との国境を掠めつつ祭国に至る道であり、右手側であれば禍国国境に最短距離で到達する道となる。


「詰まり、何方かが陽動であり、何方かが逃げておる奴らであるのだな?」

 深く頭を垂れる家臣の前で、烈は眉間に深々とした皺を刻んだ。

 そうこうする間にも、左手首からは血が失われて行く。此処まで血を失いながらも、烈の気力は充実しており、気を失わない。いっそ、不思議な程である。

「――えぇ、まどろっこしい。双方に偵諜を放て! 奴らが何方に向かったのかを即刻見極めよ!」

 烈の命令と共に、斥候たちが蜘蛛の子を散らすよう走り去る。程なくして、左手側に行った者たちが、放置された馬の群れを発見して戻って来た。

「左に、人の気配は有りません。放置された馬どもの背には句国製の鞍が据えられたままです」

「恐らく、奴らは此処で馬を乗り換え、我らを惑乱させて時間を稼ぐ為に、馬を行く手と反対方向に向かわせ、放置したのでありましょう」

「と云う事は詰まり!」

 云うなり、烈は馬を走らせる。

「右か!!」

「殿下!」

「王弟殿下に続け!」

「殿下を御一人にするなぁ!」


 剛国軍は、烈に続いた。既に全軍が集結し、2万もの大群が織り成す怒涛の進撃は、地面に残されている馬蹄をあっさりと上書きして消して行く。

 いや、上書きなどという生易しいものではない。

 獲物を仕留める獰猛な野獣の爪の如き勢いで、地表は引き剥がされて行くのだ。剛国軍は正しく、句国軍2千騎を喰らわんと咆える獣と化していた。

 烈たち剛国軍は、興奮し、我を失っているが故に、気付けなかった。

 なだらかであるが起伏のある地形に、剛国軍は知らぬ内に誘われている事を。



 ★★★



 幾つかある丘の上から見張っていたすいは、遂に土煙を発見した。


「来たか」

 反対側の丘を見ると、同じように隠れて探りを入れているから、剛国軍を認めたと合図を送って来た。

 馬群は、まるで地面を覆い尽くす地走りのように見える。

 はためく軍旗は、風に吹かれて狂い流れる雷雲のようだ。

 萃と薙は、同時に立ち上がった。そして手にした綱を勢い良く引いた。

 すると、荷駄を引いている牛の群れが丘の端に現れる。時から預かった荷を引かせていた牛たちだ。剛国軍の興奮が風に乗って伝わる為であろう。牛たちも発情の最中であるかのように、極度の高揚状態である。

「ようし!」

「行けぇ!」

 萃と薙の叫び声と、剛国軍の溶岩流のような戦意に当てられた(・・・・・)牛たちは、目をひん剥き涎を飛ばし雄々しく猛りながら鳴き声を高らかに発しつつ、転がるように丘を駆け下りる。牛に引かれた荷駄の中で、大きな瓶が、互いの腹を打ち合ってがちゃがちゃと不協和音を奏でていた。


「うおっ!?」

「な、なにぃっ!?」

 突如、左右から現れた牛の大群に度肝を抜かれた剛国軍の先頭は、足踏み状態となった。其処へ、角に松明を括り付けた勇み足の牛たちが殺到する。

「ぬおっ!?」

「えぇい、猪口才な!」

「牛ふぜい(・・・)が、何を!」

「獣如きが、我が剛国軍の行く手を阻むか!」

 烈火のような怒りのままに、牛を斬り伏せるよう命令が彼方此方で飛び交う。

 即座に、命は実行に移された。

 殺気に当てられた牛たちは、更に怒髪天を衝く勢いで剛国軍を割らんと突っ込む。剛国兵たちが戈やげきを使って牛を引き摺り倒し、倒れた牛から離れた荷駄が勝手に走り、軍馬に頭突きを喰らわせて横倒しにする。

 先頭で何が行われて居るのか知らされていない後方では、更に怒号が飛ぶ。場は、剛国軍と牛と怒りと喧騒が、渾然一体となっていた。


「頃合いか」

 薙は舌舐めずりせんばかりに呟くと、弾弓を構え、つぶてを放った。

 ひゅっ、と空を切って飛んだ礫は、牛が引いていた荷車の中で犇めき合っていた瓶に当たった。破裂音が響いたが、喧喧囂囂の最中にあっては耳に届いた者は極々、一部でしかなく、而も、其れに注意を払う余裕のある者は皆無であった。

 薙と萃が放つ礫は、次々と瓶を破って行く。

 混乱の中、偶々、瓶の中身の飛沫を顔面に浴びた烈が、其の異様な臭気と粘りとに、やっと、不審の声を漏らした。

「……おい、此れは……」

「殿下?」

 顔を拭った手の甲には、古い油の臭いがある。見れば、土煙を抑えるまでに、油は地面に染み付いているではないか。

「――いかん!」

 烈は怒鳴っていた。其れは殆ど本能的なものであった。

「者共、下がれ!」

 しかし、烈の興奮が乗り移った剛国軍の兵士たちの耳に、命令は届かない。

「えぇい、下がれ! 下がらんか!」

 烈は舌打ちした。


「下がれ! 其の方ら、死にたいのか――」

 命令を下す烈のが、空を切る音と共に、紅い礫が、此方に向かって真っ直ぐに飛翔してくるのを視界の端で捉えた。

 ――間に合わぬ! おのれ、よくも!

「老いぼれ! 私が必ず貴様を冥府へ送ってやるからな!」

 次の瞬間、轟音と共に、剛国軍は巨大な火柱に包まれた。



 ★★★



 急報に、闘は片眉を僅かに跳ね上げる。

「……何だと?」

 休息中であった闘の元に、王弟・烈と句国軍とが衝突した旨が伝えられていた。


「句国軍は如何程の規模か?」

「は、数千騎であるかと」

「率いておるのは?」

「禍国兵部尚書めで、あるらしい、と」

 ――烈め、とうとう、やったな。

 笑い出したくなるのを堪えながら、烈は禍国兵部尚書・優を包囲しているのだろう。

 思い知れ、真とやら、と吼えながら戦う異腹弟の姿を闘は容易に脳裏に描く事が出来た。此の状況は、殆ど烈の執念、いや怨念が、真への猜みが、天に通じ、為し得たものであろう。

 ――だが、怨は霊を呼び寄せる。

 敵に対してであれば良いが、己が引き摺られる場合も多々在る。そして直情径行な烈は一心にになればなる程に他が見えぬ性分だ。そう云う気質の者は、『多々』に成るべくして成るものだ。

「此処からどの程度離れている」

「は、凡そでありますが、15里程かと思われます」

「そうか」

 答えを聞きながら既に闘は立ち上がり、愛馬が繋がれている馬房に向かって走り出していた。

 烈の此度の動きは、殆ど暴動に等しい。本来であれば膺懲必罰ものである。喩え王弟であろうとも、いや、王弟であるからこそ、断罪されるべきだろう。

 然し乍ら、此度だけは、闘も烈の心意気に乗って(・・・)やる事にした。今の闘には、烈が立ち向かっている敵が戦巧者であり、そして真の父親の優であると云う事実の方が重要であった。


 ――父親の生涯から始まり、皇子・戰の初陣を補けて勝利に導いてから此の方、真よ、其の方は負け知らずだ。其れが甚だ、鼻に付いてならん。

 戦の負けが国や主人に如何なる悲劇を齎すのかを知らぬ真に、痛烈無比な一撃を喰らわせて遣る絶好の好機を、烈の独り占めにさせるのは些か惜しい(・・・)

 ――真よ、お前が地団駄踏みつつ吠え面をかくとしたら、其れは一体どんな面構えとなるのか。烈にのみ、旨い(・・)処を味わわせるのは、業腹だ。

 但し、懸念も無くはない。

 ――奴らが真っ向から戦いを挑んだのであれば、烈は負けはせぬ。だが奴らが、ただ逃げる事のみを念頭に置いているのであれば。

 烈は何事にも、特に戦に関しては兎角、前のめり(・・・・)になる漢であるが、勝利に対して其れだけ貪欲であると云う証拠でもある。だから烈は勝利をより強固にして確実成るものにしようとするだろう。

 猪突猛進な烈が己の特性を活かしつつ優を縊り殺すとすれば、彼らを袋の鼠とせんとする、詰まり、包囲網を敷く筈だ。

 並の敵であれば、包囲された時点で戦意を喪失し、絡め取られる儘となるであろう。

 ――だが相手は、30年以上、負けを知らずに生きて来た戦巧者である兵部尚書だ。

 逆に包囲されるを好機と成す、そう、眼前の敵のみを各個撃破の相手とみなし一点集中的に攻撃し、突破するに違いない。

 兵部尚書・優は其れを成し遂げるだけの胆力のある漢であり、彼の直属の部下たちは期待に応えるだけの実力を備えている猛者揃いだ。

 ――凡そ10倍近い兵力を有していようとも、烈は敗れるだろう。


 予感と云うより、此れは経験から来る予測である。

 そして闘は己の経験から弾き出した値を信じている。だからこそ、烈を失うわけにはゆかぬからこそ、自分は句国軍を叩きのめさねばならない。

「全軍、直ちに軍衣を正せ。此れより進軍を開始する」

 静かなる闘の命令に、熱く猛々しい興奮を覚える者は多かった。

 彼らの王は、理不尽な命令を出さない事で有名であり、且つ、合理性を好む。故に、進軍を行う際に如何に休息が大切であるのかを理解している。其の闘が、疲労が癒えぬまま、強引に軍を推し進めようとしている。詰まり、自ら戒めている禁を破ってまでそうせずには居られない相手が近くに存在している、と云う事に他ならない。

「陛下、我らが討つべき相手の名を聞いておりませぬ」

「敵?」

 じろり、と闘は黒目を動かした。しかし、愉しげである。

「そんなものは聞くまでもなかろう。其れより、喜ぶがよい。其の方らが飢えるほど望んでおった、句国王を名乗った漢の翼を捥ぎに往くのだぞ?」

 揶揄するような口振りと共に殆ど駆けているような闘に従いながら、幕臣たちの顔は意気揚揚としている。次々に馬の背に跨がり、手綱を握る。引き出された愛馬の黒々とした目にも闘志を見、剛国の王は満足気に唇の端に笑みを浮かべた。

「獣の世界の王者である獅子は狩りの相手が何ものであろうとも全力を以て捻り潰す事で、奪う生命への鎮魂と敬意を表すという。我ら剛国軍は、此れより皆全てが獅子となるべし」

 軽々と馬の背に乗った騎馬の民の頂点を自認する猛き王は、獅子の咆哮に似た号令を発した。


「句国軍を殲滅させる! 皆、心して掛かれ!」

 此の命令を、どれ程待ち望み続けていた事か! 闘の命令に、剛国軍は大いに湧いた。



 ★★★



 国王・闘に率いられた剛国軍は、歩くよりも早く馬の手綱を握ると言われる剛国の民ならではの、とても人の技とは思えぬ超人的な速さであった。其れは正しく、神速であり、地響きと地割れは空気を圧倒させる。

 王自ら先頭に立って馬を駆けさせる姿を見せているのも、また兵馬を奮起させた。だが驀進を続けるの闘の元に、新たな急報を届けにきた斥候の顔色が悪い。


「どうした。答えよ」

 馬上で水分を取りながら、闘は言い淀む斥候に畳み掛ける。

 こうまで言われてもまだ、躊躇する、と言うよりは闘に伝える事を恐れている斥候の姿に、闘は烈の身に何かがあったのだと悟らざるを得なかった。

 ――烈が……負けた……のか。

 一瞬、闘は天を仰いだ。

「間に合わなかったか」

 喉元を、口の端から溢れた水が伝って流れて行く。其の冷たさに平生を取り戻した闘は、再び斥候に声を掛ける。

「烈の身は」

「……は?」

「危ういのか、と聞いておる」

「……王弟殿下の御身は、その……」

 此の期に及んで躊躇逡巡し言い淀む斥候に、闘は苦笑するしかなかった。

「許す。直截に申せ」

「負傷為されました」

「どの程度だ」

 斬られただの、矢が掠っただの程度で、此処まで言葉を閊えさせはしないだろう。生命の危険が在るのだ、相当に差し迫った。


「……は、其の、詰まり、殿下は……」

「烈は? どうしたと?」

「……ひだり……腕を……御・みずか、ら……」

 口籠る斥候に皆まで言わせず、闘は鷹揚に手を振って下がらせた。

 闘の背中を見守る幕臣たちの視線が動揺に揺れに揺れた。

 此の侭の陣形を保ちながら進軍を続け、句国軍を追い、そして討つべしと命令するのか。

 其れ共。

 王弟・烈と合流するのか。

 合流した場合、句国軍を討つ機会は永遠に失われる。

 だがしかし、闘が往かねば、烈は意識を失おうとも手綱を握り続け、亡霊となったとしても追跡劇を止めないだろう。


 ――例え死んでも止めはせぬ。

 烈は、そういう漢だ。

 いや。

「……そういう漢にしたのは、私の責任――と言わねばならんな」

 ぼそりと零した闘の口元を、憚りつつも見遣る幕臣たちに、闘はにやりと笑ってみせた。

「句国王めには、我が異腹弟の心身の痛みを贖わせてやらねばならん」

「陛下? ――其れ、は……?」

 問い直そうとする家臣たちの前で、闘は愛馬の手綱を引いた。

「唯一と言っても過言ではない万騎将軍を失う事で罪を贖わせてやろう――先鞭隊と合流はせぬ! 此処よりは我らのみでえ追跡を開始する!」

 闘の命令は、句国王・戰の勢力を削ぐ事は己の身内の死に目よりも重要である、と明言するものであり、此れこそが剛国王・闘であると知らしめる命令であり、同時に、騎馬の民の長であれば追撃の手を緩めるなど以ての外である、と宣言するものであった。


 闘が剛国の王座を得る為に父と異腹兄たちを追い落とさんと蜂起した時から彼を支えてきた家臣たちが、どの思いを主として抱いたかは、手綱を握り、命令に従う彼らの表情が何よりも雄弁に物語っていた。



 ★★★



 闘が率いる剛国軍は、まるで津波のように平原を駆け抜ける。

 彼らが駆け抜けた跡は、まるで蝗に襲われた田畑のような無残さであった。


「――むっ!?」

 風の向きが不意に変わる。

 そして、風に乗ってきな臭い空気が闘の鼻腔を叩いた。其れは、獣と人肉が焼け焦げる臭気であった。

「止まれ」

 闘の静かな命令に、剛国軍は粛々と従う。しかし彼らには動揺がひたひたと広がっていた。視線の先には、天に向かって濛々と気勢を吐く火炎と黒煙が在る。

 ――禍国兵部尚書は老いたりと言えども衰えず、といった処か。

 双眸に殺気を漲らせた闘は、此の暗雲の如き黒煙を前に、烈の立場が、想像より遥かに追い詰められたものであると悟らざるを得なかった。

 剛国国王を示す大軍旗を、翩翻へんぽんと揺らさしめる強風は、火炎が産んだものであり、此の巨大な風の壁は、生物を生きたまま焼け焦げさせている真っ最中であると告げている。

 ――およそ10倍の戦力を物ともせず、とは。流石、真の父親よ、と言われるまで老い耄れる積りは無いと云う事か。

 闘は己の興奮が頂点の域に達しているのだと感じていた。


「陛下」

 闘の前に進み出る者があった。声の質は、明らかに、闘に王弟・烈を救い出すよう命じよと促している。

「分かっておる」

 答える闘の声音は、苦虫を噛んでいる。

「……分かっている」

 ――こんな機会は二度と再び訪れる事は在るまい。

 戰の勢力を削ぎ、そして精神的な大打撃を与え、尚且、平原で句国が勇躍する切掛を握り潰せる。

 いや、まだ、間に合う。

 烈と2万の兵を見捨て、優を追う、と命じれば、闘は平原の覇者として、戰を凌ぐ者として、一躍有名を馳せるであろう。

 ――俺はほんの数刻ほど前には、烈を見捨てて奴らめを討つと吼えておったではないか。

 此の平原に、剛国皇帝として立ち上がる己の姿を誰よりも願っているのは恐らく、自分ではなく、烈だ。

 私が中華平原にて大道を成すを庶幾しょきしておる烈に応えるのであれば、戰と真、奴らを叩きのめすのであれば、そうすべきなのだ。

「分かっている――だが」

 ――そう。だが、だ。

 しかし闘は、きっぱりと言い放った。


「俺は、我が国の精鋭である2万の軍勢を戦う前から、そして勝利の生贄として、烈を失う積りは無い。備国を倒した暁に共に勝鬨を挙げるとすれば、其れは烈以外に考えられん」

 闘は片腕を上げると、行き先の変更を示した。

 紅々とした火炎と、墨の如き黒煙とが、止まぬ先へと。



 ★★★



「おお殿下! よくぞ御無事で!」

 何処をどう走ったのか。全く分からない。

 だが、烈は不意に家臣の一人が上げた声で、間一髪で窮地を脱していたのだと悟った。と同時に、火柱が未だに黒煙を上げて居座っているのだと知る。


 ――この期に及んで火攻めとは! だが此の炎の先に貴様たちが居るのだと明言しおったのだ!

「おのれ、老いぼれ! 逃さんぞ!」

 烈は手綱を噛み直すと、血走った双眸で高々と掲げた剣の切っ先を睨んだ。

 全身が痛む。特に手首周りから先を失った左腕で無意識に顔面を庇っていたせいもあり、左半身が麻痺を起こしているのか、左肩から感覚が無い。

 しかし、今の烈にとって痛みを失くしたのは幸いでしか無かった。血を失ったせいで起こる目眩すら感じない。

 ――今、此の機会を逃してなるものか! 必ずや句国軍を追い詰め、殲滅せしめねば! 兄上の輝ける前途の贄として捧げねばならん!

「殿下!」

「炎を突っ切るぞ! 此処を超えれば、奴らの殿を捉えられる! 一兵たりとて逃してはならん!」

「殿下!!」

「煩い、黙れ!」

「殿下、どうか何卒、あれを御覧下さい!」

「まだ云うか!」

 怒りに震えながら振り返った烈のに、剛国王・闘の大軍旗がはためく様が映った。

 ――兄上!?

 一瞬、其れは烈にのみ見えるまほろば(・・・・)のような光景であるかと訝しんだ。

 しかし、急に馬を減速させた烈に対して、彼を守りつつ走っていた家臣たちが慌てふためきながら愛馬を押し留めつつ、国王陛下万歳! を叫んでいるではないか。

 ――……ああ……――ああ、兄上っ……!

 何故か、頬が濡れていると感じた。

 途端に烈は、猛烈な幸福と興奮と共に、脱力感を覚えた。堪えていた何かが、音を立て崩壊し始める。視界が霞み、耳の奥に届く音は不協和音を伴いながら消えて行く。

「殿下!」

 部下たちの悲憤溢れる声が、意識を失う直前に烈が聞いた最後の言葉となった。


 目覚めた烈は、自分が何処に居るのか、何をして居たのか、どういう状態であるのか、全く理解出来なかった。

 全身が強張り、そして痛まぬ箇所を探すのが困難な状況を、先ず、受け入れられない。

 ――どういう事だ。

 全身が、火に侵されたかのように熱い。

 と云うよりも、実際に、体内の有らゆる体液が煮え滾る羹になったかのように感じる。起き上がろうとして身体の均衡を崩した烈は、しょうから転がり落ちた。

「おお、殿下、お気付きに為られましたか」

「煩い、黙れ!」

 手を付いて上体を起こそうとした烈は、再び身体が前のめりに倒れ込み、強かに顎を打ち付けた。其処でやっと、烈は自分の左腕が、肘の上二寸目辺りから奇麗に失われているのだと知った。


「……私の……腕が……」

「殿下……其れは、その、詰まり……」

「……黙れ……」

「殿下、殿下は、殿下の御手は、其の……」

「……黙れ、と命じた筈だ」

 烈はいやに冷静に、自分が切り落としたのは手首から一寸程中に入った箇所だったが、とどす黒い血が滲んだ包帯が巻かれた左腕を眺める。

「報告のみをせよ」

 長く病牀にあったというのに、烈の気迫は何物にも勝る強さがある。気圧され、答えるのがやっとだった。

「……傷口より強い毒素を持つ膿が生じまして、加えて、重度の火傷を負っておられました……放置しては殿下の御命に係る、御救い申し上げるには更に心の臓に近い箇所から切断し直すしか無い、と典医が判断致しました」

「……そうか、其れは――苦労を掛けたな」

 云いながら、烈は自らしょうの上に横たわると、自由になる右手を振って周囲の者たちを下がらせた。

「下がれ」

「……殿下……」

「一人にせよ、下がれ」

 本来であれば目を離すべきではないのだが、烈の気性を良く知る彼らは、深く溜息を吐きつつも静かに命令に従うしかなかった。

 無理に留まれば異常に興奮して何を為出かすか分からない。

 其れならば、一人にさせて遠巻きに見守る方が、まだ、安心だった。



 ★★★



 人払いが済むと烈は深くを閉じた。直様、阿鼻地獄が瞼の裏に蘇える。

 闘を擁立する為の戦いに共に立ってより此の方、戦に次ぐ戦を共に駆け抜けた将兵たちが、そして手塩に掛けて育て上げた馬たちが、どれだけ犠牲になったのか。

 不自由な身体を揺すると、失くした左腕の先が痛みを発している。

 ――感じる筈のない、痛みだ。

 であると云うのに、まるで存在しているかのように、猛烈に主張し続けている。

 ――何たる醜態か……。

 此れまで散々っぱら、左腕が不自由な、障碍者である真を揶揄してきた。

 なのに、今の自分のざま(・・)は、どうなのだ?

「……ふっ……ふふ……ふ、ふふ……」

 ――何という滑稽さか。俺は今、真とやらと同様の身分にまで堕ちて居るではないか。

「ふ、ふは……ふはは……ふは……ははははははは、はぁーっはははははっ!」

 思うと同時に、敬慕する兄王・闘の凛々しくも覇者の気概にあふれし姿が瞼の裏に浮かんだ。

 ――ああ、兄上……!

「……俺には、最早……兄上の側に立つ、資格など……無いのか――!?」

 知らぬ間に、烈は嗚咽していた。

 其の儘、何れ位、経ったであろうか。

 ふと、人の気配がたった。

 命令に背いた者に対しての苛立ちと怒りが瞬時に頭に登り、くわ、と目を見開くや、見向きもせずに烈は怒鳴った。


「何を見ておる! 一人にせよと命じた筈だぞ!」

 気が立っている烈の言葉は鋭く、そして火炎のような熱さがある。

 しかし相手は、余裕のある笑い声を発した。

「――……ほう? 此れはまた、なかなか……態々、泣面を見に来てやったというのに、随分と余裕が有る面構えではないか」

「何っ!?」

 悪餓鬼をあやす(・・・)ような言葉使いに、むっとしつつ反射的に飛び起きた烈は、眼前に立つ漢の姿にを剥いた。

 ――あ……あああああああああ、あ、あ、あ、あに・うえ――!?

 目を見張ったまま、烈は己の言葉に驚愕しつつ、幻では無い、確かに、兄上が眼前に立って居る、と心の内で反芻するように何度も何度も呟いた。


「烈よ」

「は、はい!」

 闘の眼光に射抜かれた烈は、牀から滑るように降りると敬愛する兄王の前に跪いた。

「良くぞ彼処まで禍国兵部尚書を追い詰めた。奴が生命からがら逃げ惑い、敗走する姿など、俺は初めてにしたぞ」

 闘からの頌辞しょうじは、代え難い報償である筈である。

 ――なのに何故、俺はこんなに虚しく感じるのだ。

 愚弄し続けてきた真と同じ立場になったからであろうか。

 ――否。俺は、まだ、存分に戦い抜いておらぬ。満足しておらぬ。兄上の御為に戦って戦って戦い抜いたという実感が、まだ無い!

 しかし、と烈は失った左腕を密かに見遣った。

 誰から見ても、役立たずの身体と成り果てた自分を随行させるなど、兄王は許しはしないだろう。自分が赦さないからだ。不吉な影を身体に刻んだ者を側に置くなどという愚行を。


「烈、俺は明朝、夜明けと共に備国に向けて出立する」

「……」

 無言のまま、烈は歯を噛み締め、静かにを閉じた。此の先に続けられるであろう、戦線離脱を命じる兄の言葉を待った。

「何をしておるだ。其の方の部下どもが気を揉んでおるぞ? 副将たる其の方からの命令が無くては動けぬ、とな」

「……は?」

「どうした? 俺はお前を罷免するなどと一言も口にしておらん。共に往く気を持たぬ奴は置いて行くぞ」

「――兄上、では――ではっ……!?」

「俺はお前程では無いが、が、そこそこ気が短く出来ている。二度も同じ言葉を吐く気は無い」


 烈のに、体温よりも熱い涙が止め処なく流れ落ちた。闘は苦笑しつつ、俺はどうも、お前に対して甘いな、と零しながら、感動に号泣する烈の肩を掴んで立ち上がらせたのだった。



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