今日のお仕事は?
香織セレクトの食事の店についた。
車のドアを開け、店の扉を開けなるべく香織を外気にさらさないようにする。
店内で上着をあずかり、ソムリエにお勧めのワインをお願いする。
流れるように食事が始まる。
エスコートできるならワインぐらい知っておけと、社長に言われたっけ。
でも、そしたらソムリエの存在意義がなくなる。
食事にあわせたワインを選べるソムリエがいるなら、
僕は必要以上に知識をつける必要はないと思ってる。
僕のお金じゃないからふっかけられても興味ないしね。
美味しいワインなんて1500円以下のボトルでもいっぱいある。
僕にとって大事なのは美味しいかどうかであって高いかどうかではない。
まぁ、料理の倍以上の値段するワインをわざと選んでこちらを試すソムリエもいるし、
そのときは似たようなものの中から僕が選んであげるだけだ。
デート代は女の子持ちだけど、
食事の代金が僕にBACKされるわけじゃない。
お金がワインに消えるくらいなら次回も呼んでほしいと思うのは当然だと思う。
続々と続く料理
無言で緊張しながらナイフとフォークを動かす香織
僕も合わせて緊張したふりを見せる。
前菜
前菜
メイン魚
デザート
メイン肉
さて、今日のミッションだ。
ねぇ?香織さん、緊張するふりはぼくだけでいいんだぜ!
「香織さん、前々から考えていたことなんだけど。。。」
僕は香織がメインを終えるのを待って声をかけた。
懐から小さな箱を取り出す。
「僕と結婚してくれませんか?」
指輪を香織に見せる。
香織は驚いたふりをする。
ぁぁ。。。本気で泣き出した。
ハンカチと一緒に指輪を渡す。
「。。。はい。。うれしいです。。私でいいんですか?」
ぁぁぁぁ。。。そんなにないたらメイクがメイクがメイクが。。。
香織はずびずび言いながらうけとる。
拍手に包まれる店内。
ぁ。。。さっきのソムリエさんがシャンパンを持ってきてくれた。
「おめでとうございます。お幸せに。」
わざとシャンパンを派手目にあける。
さすが。。。慣れてらっしゃる。
流れるように二つのグラスに注ぐと一礼して席を離れる。
大団円の中、一人の男性が店を出て行った。