最初の記憶
幼稚園の砂場の上に藤がなっていた。
5月のころはきれいだったが、実をつけるとそれはただの「武器」だった。
僕は体の強いほうではない。
幼稚園生にとってのそれは十分ないじめの理由だった。
最初は背の届くところからぶら下がっている藤の実を投げる。
届かなくなると砂場で山を作ってとって投げる。
あたらなかった実はもったいないから僕にとりに行かせる。
なぜか僕にあたったものは再利用しないのだ。
きたないから。。。という理由 それがまた僕の心をえぐる。
園内で「えんがちょ」という言葉がはやった。
縁が切れるという意味だったけど、
子供のそれは社会から無視をされる恐ろしい言葉だった。
僕は幼稚園では運動場に出ないことに決めた。
とりあえず外に出なければ誰もいない。
部屋を見渡して。。。オルガンが目に付いた。
僕の母はピアノの講師をしていた。
いつも、まねをしたいと思っていた。
人差し指でそっと黒い部分(黒鍵っていうんだって に触れる。
期待した音ではなかった。
というか、ちゃんとペダルが踏まれていなかった。
先生が教えてくれるまでカスカスの音で、耳に残っている母の旋律を探した。
部屋でオルガンをいじることに大多数の先生は否定的だった。
でもこっそりいろいろ教えてくれる先生もいて、
無事に「ねこふんじゃった」がひけるようになった。
一曲ひけるようになるとそれをもっとスムーズに
指をもっと効率よく動かすための訓練をしたくて仕方がなくなった。
幼稚園の中での僕の評価も変わった。
きもいやつ・へんなやつ から
「ねこふんじゃった」がひけるやつに変わったのだ。
あまりに短期間で覚えてしまったため、
自分もできるのでは?といったやつから
ピアノを習っていて、もっとできるっていうやつまで
様々なやつが僕の周りにつきまとう
僕の世界が変わった。
久々の投稿です プロットがたまったので消化していこうと思います。