黒猫シンデレラ
ガラスの靴 白いベール
銀のティアラ かぼちゃの馬車
わざとぎりぎりに急いで帰った、
むかしむかしのお姫さま。
夜の街 行きかう人たち
それぞれの行き先に向かって。
交差点に響く足音
あたしは一人立ち止まったまま。
ガラスの靴もドレスも持ってない、
それでもあたしは構わない。
魔女も馬車も待っても来ない、
それでもあたしはきみに会いに行く。
ネオンサイン 並んだお店屋さん
その中をあたしは走り抜ける。
頬を撫でた生ぬるい風
まっすぐ王子様のもとへ、走る。
夜の街を照らすお月様、
ただただ、まっすぐ、きみのもとへ。
誰になんて言われても構わないわ、
きみ以外に興味はないの。
ガラスの靴もティアラもない、
あるのはこの黒い耳だけ。
もうすぐきみに会えたらそしたら、
あたしは笑って嘘をつくの。
ドレス纏って踊る少女達
彼女たちはきみを見つめてるけど
あたしはきみの前で笑う、
汗まみれの制服を纏って。
魔法使いの魔法だとか、
そんなもの解けるはずがないわ。
ねぇ、早くガラスの靴を持ってきて、
この鐘はもう鳴りはしないけれど。
ねぇ、わかってるの?あたしの王子様
あたしは何も盗んじゃいないわ。
きみはあたしに笑いかける、
あぁ、やっと、こっち向いてくれたようね。
何を盗んだのかは、ご想像にお任せします。
読んでくださりありがとうございました。