02
職員室を覗くと、その光景はありえないはずだったが、僕が目にしている光景は紛れもなく真実で確かなもの……。
つまり、先生たちは全員机にうつぶせになっていた……。
「職員室は開かないようになってるよ……きっと、このゲームに大人という邪魔者が介入しないように、犯人が『職員会議』を狙って犯行に及んだものだろうね」
女の人の声が聞こえて、僕はとっさに背中に隠しておいたナイフを握る。
「おいおい、君は、学校に武器なんて持って来てるのかい? いくらなんでもそれは関心はしないな……」
なんで、僕が武器を持ってることがばれてるんだ?
僕はナイフから手を放した……。
「……何者ですか?」
学園バッチの色を見ると一つ上の3年生らしい……上級生に興味はないのだけれど、どこかで見たことのある顔だなと思った。
「まさか、この学園であたしのことを知らない人がいるなんてね……まあいいや、あたしは風紀委員長の西基都莉……結構朝礼とかで、壇上でしゃべってたりするんだけど、覚えてないのかな?」
「すみません、そういう話は全く興味がないもので……」
正直、朝礼の時間は眠たいだけだ……真面目に聞くだけ無駄と思ってる僕が壇上で誰がどんな風にしゃべっていようが、記憶に残るはずもない……。
「いいよ、いいよ、別にそんなことは気にしてないからさ……ところで、このおかしな事態は君もとっくに知ってるよね? まあ、知ってるからここに確認しに来たんだともうけど……今は異常な事態なんだ教室で大人しくしておいた方がいいと思う」
「あなたは、どうするんですか? 下手をすればこの学園で殺し合いが始まるかもしれないんですよ?」
「……させない……殺し合いなんて絶対にさせない、こんなのおかしいに決まってる、学校は楽しく過ごすところなんだ! そんな場所で殺し合いなんておかしいんだ!」
「正論です、確かに学校で殺し合いなんておかしい……けど、今はそんなこと言ってる場合じゃない……誰かが生き残るか、全員で死ぬかのどっちか道はない、だって外に出たやつ撃ち殺されたじゃないですか! あなたも見てたはずです……」
「君は生き残れる自信があるのか? あたしにはない……だから、ここから出られる方法をみんなで探せばいいんじゃないか! そうだろ? そうすれば、みんなで出られるじゃないか!」
「甘い! 甘いんですよ! 僕はこの状況から助かるにはやはり、5人を決めてしまうしかないと思います、誰がこの状況で他人を信じることができると思いますか? 絶対にここから出られると確信はありますか? 僕はゼロだと思います……ならば、僕は少なくてもいいから生き残れる5人に入ってしまう方が生き残れる確率は高くなると思います」
「そうか……それが君の考えか……あたしは否定はしない、この状況で人を信じろなんて言ってもどれだけの人が信じてくれるか分からないし……でも、あたしはあたしのやり方でこの学園から出る……みんなが生き残れるように」
「そうですか……頑張ってくださいね」
僕はいずれこの人とは戦うんじゃないか、そう思ってしまったのだった。