「きみの鼓動が、未来を変える」
◆舞台設定
舞台は現在からおよそ20年後の近未来。
AIと人間が協調しながら生きる社会。スポーツ、芸術、教育のあり方も大きく変わった世界。
かつて青春を駆け抜けた碧、彰人、陽菜、永遠、光莉、未羽たちの子どもたちの子どもたち――つまり第三世代が、今を生きる。
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◆主要キャラクター
•真白:碧の孫。女子サッカーに命を燃やす14歳。父もプロ選手だったが、サッカー界から離れた今、自らの意志でグラウンドに立ち続ける。
•結翔:陽菜と永遠の孫。性別にとらわれず、音楽と映像の世界で独自の表現を模索している。優しいけれど、内面には強い芯。
•海翔:光莉の孫。身体的な障がいを持つが、スポーツAI研究の第一人者を目指す天才肌。誰よりもフィールドの可能性を信じている。
•凛音の娘・紗音:舞台役者として活躍中。親世代の“芸能界の光と影”を見て育ち、自分だけの方法で「真実の表現」を追い求める。
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【第一章】それぞれのフィールド
真白は、男子に交じってプレーする中学のサッカークラブで、監督にこう言われていた。
「女子でもうまいヤツはいる。でも、男子より“強い”女子は、必要ない」
その言葉に真白は反論しなかった。ただ、ひたすら練習に打ち込んだ。
彼女にとってサッカーは「勝ち負け」ではなく「生きている証」だった。
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結翔は、AI作曲アプリが溢れる中で、自らギターを弾き、自分で歌詞を書き、自分で映像を撮る。
ある日、映像フェスの審査員に言われる。
「これ、AI生成にしか見えないな。人の感情が入ってない」
傷つきながらも、結翔は祖母・永遠の言葉を思い出す。
「人の目を見て伝える言葉って、ひとつしかないんだよ。嘘はバレるの」
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海翔は、競技用義足の研究を通じて、「健常者と障がい者の区別のないスポーツ」を実現しようとしていた。
しかし、彼が開発した義足が“性能が良すぎる”と問題視される。
「君の作ってるのは、“人間の限界”を超える道具なんだよ」
そう言われたとき、彼は静かに答えた。
「だったら、限界の方をアップデートしましょうよ」
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紗音は、舞台の本番中にセリフを飛ばした。演出家が怒鳴る。
「君は“紗良の孫”なんだから、もっと完成度を上げなきゃ!」
しかし紗音は舞台袖で震える手を握りしめていた。
「……私は、ただ“紗音”として、目の前の観客と話したかっただけ」
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【第二章】交差する軌跡
ある日、青空の下で開かれた「未来世代交流ワークショップ」。
スポーツ、芸術、AI、表現――分野の違う10代たちが出会い、語る場。
真白と海翔が、サッカーの価値を語り合う。
結翔と紗音が、「表現は誰のためにあるのか」を語り合う。
そして、4人は自然と惹かれ合う。
親の名前ではなく、“自分たちの言葉”でつながれる喜び。
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【第三章】炎と壁
やがてそれぞれの道で、転機が訪れる。
•真白は、初の女子代表選出をかけた最終選考で、男子エースとの1対1を命じられる。
•結翔は、自作MVが「AI作品だ」と不正疑惑をかけられ、コンテストを降ろされる。
•海翔は、国際展示会で“倫理的問題”としてAI義足の公開を拒否される。
•紗音は、「君の芝居はリアルすぎて怖い」と言われ、舞台から降ろされる。
それぞれが立ち止まり、思う。
「本当に、自分はこの道でいいのか?」
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【最終章】“血”ではなく、“鼓動”で生きる
ある夜、結翔が提案する。
「……みんなでひとつ、作品を作らない?」
「え?」と他の3人が顔を見合わせる。
彼が語ったのは、スポーツ、音楽、舞台、テクノロジーを融合した、新しいパフォーマンスイベントのアイデアだった。
「誰かに“こうあるべき”って言われるんじゃなくて、
自分たちの命の鼓動で、何かを伝えたい」
4人は夜通しで準備し、挑戦し、転びながらも前に進む。
そして迎えた当日。
舞台の上で、真白はボールを蹴り、海翔はデータで支える。
紗音は生の声で語り、結翔はそのすべてを音と映像に編み込む。
終演後、観客の一人が静かに涙を流し、こうつぶやいた。
「……あれが、“未来の表現”か」
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エピローグ:きみが、始まりだ
ステージの裏。
真白がふとつぶやく。
「私、じいちゃんがサッカー選手だったこと、最近やっと誇れるようになったんだ」
結翔も言う。
「うちの家系、ちょっと変わった家族ばかりでさ。でも、“変わってていい”って、今日分かったよ」
海翔が笑う。
「血じゃなくて、鼓動でつながってる。それが俺たちなんだな」
紗音が、みんなを見渡して言う。
「さあ、次は“観てる誰か”がステージに立つ番だね」
未来は、いつだって、きみの鼓動から始まる。
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― 完 ―
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