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秘密のシェアハウス【大型長編版】  作者: AQUARIUM【RIKUYA】
【次世代編スピンオフ】
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「光と影のフレーム」



〜蒼馬と紗良、芸能界に生きるふたりの交差点〜



◆登場人物

蒼馬そうま:修斗の親戚。25歳の若手俳優。爽やかなルックスと誠実な演技でブレイク中。表舞台の顔と裏の苦悩を隠しながらも、着実にキャリアを築いている。

紗良さら:苑香の姪。22歳。モデル出身の新人女優。見た目は華やかだが、どこか感情を抑えている。芸能界への不信と自分自身への葛藤を抱える。

苑香ほのか:紗良の伯母。芸能界の頂点に立つ女優。紗良に「女優としての覚悟」を問う存在。

陽菜はるな:紗良のいとこ。紗良と蒼馬を時に支え、時に突き放す冷静な目を持つ。



【第一章】出会いは画面の向こう側


深夜の撮影現場。

初共演のドラマで、蒼馬は新人女優・紗良の“感情のない演技”に違和感を抱いていた。


「……君さ、目が笑ってないよ」


「台本には“微笑む”ってしか書いてないから」


「じゃあ、どうしてその笑顔を“演じよう”って思った?」


紗良は答えられなかった。

蒼馬は続ける。


「演技って、ただセリフを読むことじゃない。“言葉の外”にいる自分を出さないと、響かない」


その言葉に、紗良はわずかに眉をひそめた。


「……やっぱり、芸能界ってめんどくさい」



【第二章】それぞれの素顔


休憩中、控室で陽菜が紗良に聞いた。


「ねえ、どうして女優になろうと思ったの?」


「さあ……“苑香の姪”ってだけで勝手に期待されて、気づいたらここにいた」


「そっか……でも、それだけじゃこの世界、続かないよ」


紗良は俯く。


一方の蒼馬も、自分のマネージャーに吐露していた。


「俺、最近演じてるのが“蒼馬”じゃない気がして」


「何言ってんの? お前は今が一番売れてる」


「……それが怖いんだ」


“本当の自分”と“売れる自分”。

2人は同じ孤独を、違う場所で抱えていた。



【第三章】ぶつかり合う夜


ドラマも中盤、蒼馬と紗良のキスシーン撮影日。

緊張する紗良に、蒼馬がそっと囁く。


「台本のセリフじゃなくて、“今の紗良”でやっていいよ」


テスト本番。

蒼馬がゆっくり紗良の手を取り、見つめる。


「好きだった。ずっと」


その瞬間、紗良の目に涙が浮かび、感情がこぼれる。


カット後。


「……ごめん、アドリブだった」


「……あんな言い方されたら、本気にしちゃうでしょ」


その夜、二人はスタッフの打ち上げを抜けて、港へと向かった。


「蒼馬くん、本当に言ったこと、演技だった?」


「半分本気。……でも、演技でも嘘でもなく、俺は君が気になってる」



【第四章】選択の朝


交際報道の噂が出始め、紗良は伯母・苑香に呼び出される。


「あなた、蒼馬くんと付き合ってるの?」


「……うん。でも、それが仕事に悪いなら、やめる」


苑香は静かに言った。


「仕事を続けるなら“誰かの陰”じゃダメ。自分で選び、自分で責任を取りなさい」


数日後、紗良は記者に堂々と語った。


「私は私の人生を選びます。伯母の名前じゃなく、私“紗良”として見てください」


SNSで「応援してます」「かっこいい」「泣いた」と多くの声が寄せられる。


蒼馬から届いたメッセージ。


「かっこよかった。俺も、負けない役者になる」



【最終章】ふたりの“シーン”はまだ続く


ドラマは大ヒット。

蒼馬と紗良は次の映画でも再共演が決定。


カメラの外でも、恋人として寄り添う2人。


記者にこう聞かれた。


「今後の目標は?」


紗良が一歩前に出て言う。


「蒼馬くんと、いつか“本当に対等な主演”でスクリーンに並ぶこと」


蒼馬が優しく笑った。


「そのときは俺が“脇役”でも、全然いいよ」


「……それはダメ」


2人のフレームは、もう誰の色にも染まらない。


自分たちの意思で、生きるシーンを選びながら――



― 完 ―


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