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秘密のシェアハウス【大型長編版】  作者: AQUARIUM【RIKUYA】
【次世代編スピンオフ】
93/138

「青き鼓動、受け継がれる夢」




〜碧と彰人の子どもたちによる“新たな世代のサッカー物語”〜



◆登場人物

結翔ゆいと:碧の長男・17歳。MF(攻撃的ミッドフィルダー)。天才肌でセンスに恵まれるが、情熱や泥臭さに欠けると周囲から言われている。

翔陽しょうよう:彰人の長男・17歳。FWストライカー。父譲りの熱血と勝負魂を持ち、フィジカルにも秀でるが、技術的に粗削り。

あおい:元プロサッカー選手。現在は高校サッカーのコーチとして活動。

彰人あきと:碧の親友で元プロ。現在はユースクラブの監督。

朝陽あさひ:翔陽の弟・15歳。冷静なDF。ピッチでは人格が変わる“守備の鬼”。



【第一章】二つの才能、交わらぬ情熱


「また独りよがりだよ、結翔。もっと周りを使え」


「うるさいな、パス出すタイミングは俺の判断だろ?」


名門・西東京ユースの練習場。

父・碧が見守る中、結翔は味方に指摘されながらも、華麗なドリブルで相手を抜き去る。


一方、同じリーグに所属するクラブで、彰人の長男・翔陽は全力でスライディングし、監督に叫ばれていた。


「そこ、無理に行くな! でも……ナイスファイト!」


試合終了後。


「ねえ父さん、俺さ、あいつ気になるんだよ。あの“碧の息子”」


「結翔か。あいつはお前とは真逆だ。センスでサッカーしてる」


「だからこそ、潰してみたくなる。正面から」



【第二章】選抜合宿、再会と衝突


U-18日本代表候補合宿――全国から選ばれた30人の精鋭が集まる中、偶然にも結翔と翔陽は同じ部屋になった。


「……なんでお前と同室なんだよ」


「そっちこそ。ま、俺が寝てる間に技術でも磨いとけよ、結翔さん?」


「言ってくれるな、筋肉バカ」


最初の紅白戦。

結翔のスルーパスに翔陽が走り込む――が、オフサイド。お互いに睨み合う。


ベンチでは碧と彰人が並んで見ていた。


「まぁ、やり合ってるな」


「こういうの、いいね。うちらの“因縁”をあの子らが引き継いでさ」


合宿最終日。

監督の前で、選抜11人が発表される。


「MF、結翔。FW、翔陽」


まさかの、前線コンビ起用――



【第三章】理解と共鳴


初めての代表戦。韓国ユースとの試合直前、会話のない2人に監督が言った。


「お前らは“技術と魂”の融合だ。喧嘩するな、組み合え」


試合前夜。

2人はホテルの屋上で再びぶつかる。


「正直、お前のプレー、嫌いだ」


「俺も。だけど……試合で勝つために必要なら、合わせてやるよ」


翔陽が右拳を突き出す。

結翔が躊躇いながらも、拳を重ねた。


「……点、取れよ。俺がアシストしてやるから」



【第四章】決戦のピッチ


試合当日。前半、日本は押され気味。翔陽のシュートはバーに嫌われ、結翔のパスはカットされる。


ハーフタイム、監督は叫ぶ。


「お前たちはまだ“ひとつ”になれていない!」


後半20分――

結翔が3人を抜き、ゴール前にパス。翔陽が完璧なタイミングで走り込み、ダイビングヘッド!


「決まったぁあああああ!!!!!」


テレビ実況が絶叫した。


得点後、翔陽が結翔に言う。


「……ナイスパス、天才くん」


「……ナイスゴール、野生児」


抱き合う二人の姿がスクリーンに映し出される。


父たちが見つめるその姿に、かつての“碧と彰人”が重なっていた。



【第五章】それぞれの未来へ


数ヶ月後。

結翔は欧州クラブのユース契約に向けて渡航を決意。

翔陽はJユース昇格を断り、高校サッカーで全国制覇を目指す。


空港で、2人が再会する。


「俺、行くよ。世界で通用する選手になって帰ってくる」


「じゃあ俺は、日本の高校で一番のストライカーになって、呼び戻すよ」


拳を合わせ、別々の道を進む二人。


いつか、同じピッチに立つ日まで。



【最終章】“次の”世代へ


数年後――


結翔はドイツ2部でプロデビュー。

翔陽は高校三冠を達成し、Jリーグからプロ契約へ。


スタジアムに並ぶ、かつての2人。


「よう、あれから随分変わったな」


「お前もな、“本物のチームメイト”に見えるぜ」


キックオフの笛とともに、再び新たな戦いが始まる。


これは、碧と彰人から受け継いだ“青き情熱”が、

次の時代に花開くまでの物語――



― 完 ―


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