第1話「新たな扉、紬の決意」
春の陽光が瑞牆大学のキャンパスを優しく包み込む。新入生である紬は、桜の花びらが舞い散る中、緊張と期待で胸を高鳴らせていた。
「ここが……私の新しいスタート地点なんだ」
紬は小さなリュックを背負い、友人たちと合流するために歩き出した。キャンパスの広場には、同じく新入生の千夜や尊、瑞稀、そして綾華の姿も見える。
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「紬ちゃん!」
「わあ、千夜! 久しぶり!」
二人は自然に抱き合った。篤志の娘・千夜は明るく元気な笑顔で話しかける。
「ねえ、大学生活どんな感じか教えてよ!」
「うーん、まだ始まったばかりだけど、期待と不安が入り混じってるかな」
その時、尊もこちらに駆け寄った。千夜の双子の兄で、少し大人びた表情だ。
「新しい環境ってワクワクするよな。僕も経済学部で、千夜と一緒だ」
「そうなんだ!頼もしいね、尊!」
瑞稀も近づいてきて、はにかみながら話す。
「私、国際関係学部に入ったの。紬ちゃんは?」
「文学部だよ。演劇も続けていきたいし」
「そうなんだ。舞台で輝く紬ちゃんを想像しちゃう」
綾華も笑顔で加わった。
「私もメディア学部で、韓国と日本の文化交流について学ぶ予定。みんな、夢に向かって頑張ろうね!」
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その夜、紬はシェアハウスに戻り、修斗と苑香が夕食の準備をしているのを見つけた。
「紬、おかえり!」苑香が優しく微笑む。
「ただいま。大学初日、思ったより緊張したけど、友達もできそうだよ」
修斗が笑いながら話す。
「最初は誰でも緊張するさ。でも、紬ならすぐに馴染むよ」
苑香が続ける。
「私たちも俳優の世界で頑張ってるし、お互い励まし合おうね」
紬は二人の温かさに胸が熱くなった。
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翌日、紬は大学のキャンパスで偶然、碧と彰人に出会った。
「やあ、紬。大学生活はどうだ?」彰人が声をかける。
「まだ始まったばかりだけど、楽しいよ。碧も忙しいんだろ?」
碧が笑顔で答えた。
「プロの練習は厳しいけど、充実してる。たまには大学の話も聞かせてくれよ」
彰人が冗談めかして言う。
「試合に負けたら、特訓だな!」
一同は笑い合った。
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夜のリビングで、修斗が紬に問いかける。
「紬、お前の夢は何だ?」
紬は少し考えてから答えた。
「舞台で多くの人に感動を届けること。そして、みんなで幸せになれる未来を作ること」
苑香も続ける。
「私も同じ。だから、一緒に頑張ろう」
その時、玄関のベルが鳴り、未羽が訪ねてきた。
「遅れてごめんね。みんなに会いたくて」
紬は微笑みながら迎えた。




