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秘密のシェアハウス【大型長編版】  作者: AQUARIUM【RIKUYA】
【新世代より ~ 高校編 ~ 】
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第2話「秘密の舞台、交わる視線」



春の風が吹き抜ける鳳凰音楽学園の講堂。

舞台袖で息をひそめる修斗の視線は、たった一人の女性に注がれていた。

舞台の中心で輝くその姿──苑香ほのか

彼女は演劇部の主役として、観客を魅了していた。


だが、彼女が誰よりも見つめる“彼”の存在は、誰にも知られてはならなかった。

それが、修斗だった。



1. 苑香の決意と、修斗の胸の痛み


苑香は、学園内でも憧れの的。女優としてモデルとして、すでにプロの仕事も多く抱えている。

彼女が公にしていない結婚の相手が、高校生である修斗だという事実は、世間が知ればスキャンダルとなるだろう。


「修斗、私はこの道を選んだ。でも…あなたと共にいることも、私にとって同じくらい大切」


稽古が終わった夜、シェアハウスの共有スペースで、ふたりだけの静かな時間が流れていた。

修斗は苦笑した。


「わかってる。でも、やっぱり心配になるんだ。誰かに見られてるんじゃないかって」


「だからこそ、私は堂々としていたい。あなたとの絆を、強く信じてるから」


苑香の目は、まっすぐで揺らぎがなかった。

彼女の決意に、修斗はただ、静かに頷いた。



2. ライバルたちの邂逅かいこう


同じ頃──

青葉学園と鳳凰音楽学園の練習試合が、非公開で行われていた。

あおはMFとして、彰人あきひとと初めて直接対決を果たしていた。


「まさか、兄弟でここまでやり合うとはな」

彰人が息を切らせながら笑うと、碧も汗を拭って応じた。


「本気で来いよ、彰人。俺はお前に勝つためにここにいる」


試合は緊迫していた。

彰人の読みとキープ力、碧のパスと視野の広さ。

両校の選手も観客も、兄弟の対決に圧倒されていた。


そしてラスト5分。

碧のスルーパスがFWに通り、ゴールネットが揺れた。


「1点もぎ取ったか、弟よ…」

彰人は静かに笑い、拍手を送った。


勝者と敗者ではなく、成長と覚悟が交差した瞬間だった。



3. 颯斗の静かな想い


そして、もう一人。

颯斗はやとは兄たちの影で静かに自分の居場所を探していた。

彼はスポーツにも芸術にも長けていなかったが、人の心を読む力に長けていた。


「兄ちゃんたちはすごいな。僕も、僕なりに…何か見つけたい」


図書館で本を読む彼の前に現れたのは、幼なじみの少女・美琴みこと

瑞樹学園の文芸部に所属する彼女は、颯斗と同じように“静かな情熱”を抱えていた。


「颯斗、詩を読まない?」

「うん、いいね」


ふたりの目が合った瞬間、まだ形にならない新たな絆が生まれていた。



4. 交差する未来と、紡がれる日々


シェアハウスに夜が訪れる。

それぞれの想いを胸に、子供たちは眠りにつく。


修斗は苑香の微笑みを思い出しながら、夢を見た。

碧は彰人との激戦を思い出しながら、次の試合に向けて心を燃やす。

颯斗は、美琴の差し出した詩集を胸に抱いていた。


誰もが誰かとつながり、支え合って未来を描いていた。



5. 父母たちの視線


翌朝、かつての仲間たち──葵蘭、健太、舞、傑、そして眞理がシェアハウスに集まっていた。

成長する子どもたちを見つめながら、蘭がぽつりと呟いた。


「新しい時代が、ちゃんと動いているのね」

「俺たちの想いも、あいつらがちゃんと引き継いでる。誇らしいよ」健太が笑う。



そして、眞理が皆を見回して静かに言った。


「この家は、“想い”が生まれ、繋がっていく場所。きっと、まだ始まったばかりだわ」



エピローグ


舞台の幕が下りるように、日が暮れていく。

だが彼らの物語は、これからが本番だった。



【次回予告】


第3話「揺れる心、夜明けの誓い」では、苑香のスキャンダル疑惑、碧と彰人の決勝戦への布石、颯斗の初めての創作発表が描かれる。

心が揺れ、想いがぶつかる中、それぞれが「本当の自分」と向き合っていく──。


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