第1話「新たな風と秘密の絆」
瑞樹学園と鳳凰音楽学園、その間にある大きな壁を越えて、新たな世代が動き出した。
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1. シェアハウスに集う若き命
シェアハウスの重厚な扉が静かに開いた。
そこに現れたのは、18歳の修斗だった。
彼は葵蘭と健太の孫、そして紬の兄であり、今は俳優の卵として演技の道を歩み始めている。
背筋の伸びた彼の姿に、家族たちは期待と共に温かな笑顔を向けた。
「修斗、久しぶり。大きくなったね」
眞理が微笑みを浮かべる。
修斗も礼儀正しく頭を下げた。
「お久しぶりです。新しい挑戦に胸が高鳴っています」
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一方、もう一人の若者がシェアハウスの玄関に現れた。
彼は坂下碧、舞と傑の孫であり、彰人の双子の弟でもあった。
青葉学園のMFとして、すでにプロからも注目される才能の持ち主。
しかし、彼は彰人とは別の学校に通い、激しいライバル関係にある。
「よろしくお願いします、坂下碧です」
彼は凛とした声で挨拶をし、舞い戻る春風に髪をなびかせた。
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さらに碧にはもう一人弟がいる。颯斗。
そして、彰人の父親と颯斗の母親は新たに結婚し、家族としての絆も一層深まっていた。
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2. 秘密の恋、修斗と苑香
修斗には、もうひとつ大切な秘密があった。
彼は同じ高校の演劇部に所属する、苑香という女性に恋している。
苑香は俳優としてだけでなく、モデルとしても活動しており、その美貌と才能は校内外で注目の的だ。
二人の関係は、家族以外には知られていない。
それは、修斗がまだ若く、そして彼らの置かれた環境のため、秘密を守る必要があったからだ。
「結婚することになったんだ」
修斗は紬にだけ、囁くように打ち明けた。
「え、学校の人は? みんなは知ってるの?」
紬は驚きと共に聞き返した。
「いや、家族以外は誰にも言っていない。学校では秘密にしている。これは僕たちだけの秘密なんだ」
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3. 新たな絆とライバル関係
碧と彰人は、表面上はライバル同士としてしのぎを削っている。
しかし、家族の中での関係は複雑で温かいものだった。
「弟とはいつも真剣勝負だ。だけど、家に帰れば兄弟だ」
碧はそう語った。
鳳凰音楽学園高校と青葉学園は、切磋琢磨し合う兄弟校として知られている。
彼らの存在は、互いの強さと夢の証でもあった。
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4. 新生活の始まりと未来への希望
シェアハウスの中は、次第に新しい空気で満たされていく。
修斗の演技にかける情熱、碧のサッカーに対する真剣な眼差し、苑香の輝き、そして家族の絆。
誰もがそれぞれの夢を抱きながら、一歩ずつ未来へ進んでいく。
秘密を抱えた者も、ライバル同士も、この場所で支え合い、繋がっていく。
「さあ、新しい物語の始まりだ」
眞理の声が響いた。
未来を繋ぐ若き世代の挑戦が、今まさに幕を開けた。




