第7話「家族の絆」
春から夏へと季節が移りゆく頃、シェアハウスには穏やかな日差しと風が流れていた。
かつて高校時代から共に暮らした葵蘭、健太、舞、傑の4人も、年齢を重ね、それぞれに子どもや孫を持つようになっていた。
だが、変わらないものもある。
それはこの「家」の空気と、彼らの絆だった。
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家族の訪問
「お母さん、来週の土曜、娘を連れて行ってもいい?」
舞の娘、美空が電話でそう聞いてきた。
舞は笑みを浮かべて答えた。「もちろんよ。みんなもきっと喜ぶわ」
その週末、舞の娘・美空(27)とその娘・莉央(6)が訪れ、葵蘭の姪であり、GRT48として活動する芽依の娘・柚花も偶然シェアハウスに顔を出した。
「あれ?莉央ちゃんじゃん!ひさしぶり〜!」
「柚花ちゃん!おばあちゃんと住んでるの?」
「うん、たまにだけどね」
新たな世代の小さな交流が始まると、大人たちの目には自然と涙が浮かぶ。
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忘れられた日記
その夜、莉央がふと階段の物置の中から、一冊の古いノートを見つける。
「これ、なぁに?」
健太がその表紙を見て、静かに呟いた。
「それは……たぶん、高校時代に4人でつけてた“交換日記”だ」
シェアハウスを始めたばかりの頃、恥ずかしさと楽しさが混ざったような感情で、4人が交互に日々の出来事や思いを綴っていた記録。
ページをめくると、懐かしい文字が次々と現れる。
「舞が傑の靴下を間違えて履いてきたとか書いてる!」
「ちょ、やめてぇぇ!」と舞が赤面。
一同が爆笑する中、莉央も柚花もその輪に加わって笑っていた。
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続いていく絆
夜が更けた頃、美空が母・舞にそっと話しかけた。
「……ねえ、私、来年からこっちに引っ越そうかなって考えてる」
「えっ?なんで?」
「なんかさ、この家って、ただの“建物”じゃないんだなって思ったの。
みんなの想いが詰まってる“時間”が流れてる場所っていうか……」
舞は静かに微笑んで、娘の肩を優しく抱いた。
「そうよ。この家はね、私たちの“家族の始まり”なの」
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そしてまた、明日へ
翌朝、莉央と柚花が並んで、家の前で記念撮影をしていた。
「将来、私たちも一緒に住もうか」
「うん!“秘密のシェアハウス”2代目ってやつね!」
笑顔のシャッター音が鳴った時、家の奥で健太が小さく呟いた。
「こうやって絆は、未来へと繋がっていくんだな……」




