第2話「初めての共同生活」
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春の柔らかな陽光が差し込むシェアハウスのリビング。四人が一緒に暮らし始めて数日が経った。まだ慣れない共同生活に、それぞれが小さな戸惑いと期待を抱いていた。
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葵蘭は、家族の期待に応えるべく、しっかりと家事をこなそうとしていたが、普段は俳優一家の娘として甘やかされてきた自分にとっては、洗濯物を畳むことや掃除機をかけることも一苦労だった。
「舞、これってこうやるんだっけ?」
「うん、こうやると早いよ。あとは掃除機のコードを引っ張りながらやると楽なんだよ」
舞は得意げに葵蘭にアドバイスを送った。彼女は元々、家事も得意で明るく場を和ませる存在だった。
健太は疲れた表情を見せながらも、舞と葵蘭にサンドイッチを差し入れた。俳優の仕事の合間を縫い、こうした気遣いが自然とできるのはさすがだった。
「忙しいのに、ありがとう」葵蘭はほっとした笑みを見せる。
傑はリビングの隅でストレッチをしながら、時折スマホをチェックする。プロサッカー選手としての体調管理は欠かせない。婚約者である舞のことも気になりつつ、チームの練習や試合のスケジュールを頭に入れていた。
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そんな日常の中、シェアハウスに小さなトラブルが訪れる。
ある日の夜、台所の蛇口から水漏れが始まったのだ。初めての共同生活でのトラブルに、4人はそれぞれの役割で対処しようと動く。
葵蘭は慌てて眞理さんに電話をかけ、管理人としての指示を仰ぐ。
舞はインターネットで応急処置の方法を調べ、健太は工具を持って修理に挑戦した。傑はみんなの様子を見守りつつ、冷静に指示を出した。
「俺に任せろ。何とか直す」健太の言葉に、みんなが安心した。
修理は思ったよりも難航したが、健太の機転と傑のサポートで、無事に水漏れは止まった。
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その夜、四人はリビングに集まった。小さなトラブルを乗り越えたことで、互いの信頼は少しずつ強まっていた。
「こうやって一緒に暮らすのも悪くないな」傑が笑いながら言う。
「うん、これからもいろんなことがあると思うけど、助け合っていこうね」舞が穏やかに答えた。
葵蘭はふと、窓の外の星空を見上げる。まだまだ未知の未来が待っている。その未来を、仲間たちと一緒に歩んでいくのだと心に決めた。
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翌朝、四人はそれぞれの夢や目標に向けて、新たな一歩を踏み出す。
そして、この共同生活は、彼らの絆を深め、成長の糧となっていくのだった。