19/138
第8話「一緒に越える壁」
春の訪れとともに、大学のキャンパスには新しい風が吹いていた。
しかし、夢と現実の狭間で、それぞれの壁は大きく立ちはだかる。
⸻
【葵蘭の苦悩】
葵蘭は脚本の課題とアルバイト、そして健太との関係の間で心身が疲れていた。
大学のカフェで友人に言った。
「正直、全部投げ出したくなる時があるの。」
友人は励ます。
「葵蘭なら乗り越えられるよ。私たちも応援してる。」
しかし、家に帰ると、共同住宅の壁がまるで重くのしかかるようだった。
⸻
【健太の挫折】
映画の撮影現場で、健太は役作りに苦戦していた。
監督からの厳しい指摘。
「岡田、君の表現はまだ足りない。感情が浅いんだ。」
悔しさと焦りが混じり合い、夜遅くまで台本を読み込む日々。
そんな中、舞に電話をかける。
「舞……正直、今は自信がない。けど、諦めたくない。」
舞の声は優しかった。
「健太ならできる。私も傑も、いつでも味方だよ。」
⸻
【舞の壁】
教育実習が始まり、思うように子どもたちと向き合えずに悩む舞。
ある日、児童のひとりが突然泣き出し、彼女も戸惑う。
「どうして私には、できないことがこんなに多いの？」
傑は彼女の手を握り、
「完璧じゃなくていい。君の努力が伝われば、それで十分だ。」
⸻
【傑の挑戦】
代表合宿で、傑は強豪選手たちと競い合う。
しかし、一度ミスを犯し、監督から厳しい言葉が飛ぶ。
「ここでへこたれたら、プロとして終わりだ。」
悔しさを胸に、彼は走り続けた。
⸻
【壁を越えて】
ある日、シェアハウスで4人が集まり、弱音を吐き合った。
「辛い時こそ、一緒にいよう。」
葵蘭が言うと、みんなが頷いた。
健太は「俺たちの絆は、誰にも壊せない。」と力強く言った。
舞は笑顔で「どんな壁も、一緒に越えよう。」と誓った。
傑もまた、「みんながいるから、俺は諦めない。」と胸を張った。
