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Next:凛花と悠翔の再会&結婚編



第一章 再会の音


それは偶然のようで、必然だった。

凛花は音大を卒業後、フリーのピアニストとして活動していた。舞台に立ち、音を届けることを何よりの喜びにしていた。


ある日、都内で開かれたチャリティーコンサートに出演した凛花。

会場のロビーに、懐かしい姿があった。


悠翔――。

中学の同級生であり、かつて淡い想いを交わしながらも、受験とすれ違いの中で離れていった存在。


悠翔:「……久しぶり、凛花」


凛花:「悠翔……どうしてここに?」


悠翔:「支援団体の代表でね。音楽で誰かを救うって聞いて、参加したかったんだ」


再会の瞬間、過去の感情が胸に広がった。



第二章 ふたりの“その後”


打ち上げの帰り道、ふたりは自然と並んで歩いていた。


凛花:「中学の頃……最後に話したの、卒業式だったよね」


悠翔:「あの時、ちゃんと伝えておけばよかったって、何度思ったか」


凛花:「……私も」


悠翔は父の仕事を継ぎ、地域福祉と教育支援を担う団体を立ち上げていた。

不器用ながら、人のために生きる道を選んだ彼の姿に、凛花は心を動かされていく。


凛花:「悠翔……前よりずっと、優しい目をしてる」


悠翔:「それは、きっと君がまた目の前に現れたからだよ」



第三章 心の距離


再会から数ヶ月。

ふたりは何度も会い、自然と惹かれ合っていった。だがある日、凛花のもとに海外ツアーの話が舞い込む。


マネージャー:「凛花さん、半年ほど欧州ツアーを回る予定で進めてます」


凛花:(……今、私がこの道を選んだら、また“あの時”と同じになる)


その夜、凛花は悠翔に話す。


凛花:「ヨーロッパのツアーに誘われてる。でも……行ったら、また……」


悠翔:「……行ってきなよ」


凛花:「え?」


悠翔:「“行くな”って言うのは簡単だけど、それで君が後悔したら……俺が嫌いになるでしょ」


凛花:「悠翔……」


悠翔:「君の音楽は、君の人生そのものだから。俺は……待ってるよ、いつまでも」


その言葉に、凛花は涙をこらえきれなかった。



第四章 未来の約束


半年後。

欧州ツアーを成功させた凛花は、帰国後すぐに悠翔のもとを訪れた。


凛花:「ただいま」


悠翔:「……おかえり」


ふたりは見つめ合い、何も言わずに抱きしめ合った。

その夜、悠翔はふたりが初めてピアノの練習をした思い出の音楽室へ凛花を連れて行った。


悠翔:「ここで初めて、君の音を聴いた。あの時から、俺の時間は止まってた気がする」


そして、小さな箱を取り出した。


悠翔:「もう、一緒にいてほしい。これからは、ずっと――俺の隣に」


凛花:「……はい。私の音も、これからはあなたのそばで響かせたい」



エピローグ


それから一年後。

凛花と悠翔は、教会で静かに結婚式を挙げた。ピアノの生演奏で始まったその式は、心が温かくなる時間だった。


葵蘭や舞、陽翔たちが静かに見守る中、凛花はピアノの前に座り、悠翔のためだけに一曲を弾いた。


凛花:「悠翔に出会えて、私はようやく“自分の音”を見つけました」


悠翔:「凛花に出会えて、俺は“心で聴く音”を知ったよ」


ふたりの指はしっかりと絡み合い、未来へと続いていった。



―「凛花と悠翔の再会&結婚編」完―


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