Next:璃子と鷹真の国際遠距離恋愛編
第一章 空と距離と心
大学卒業後、璃子は韓国を拠点にモデル・女優として活動を開始した。
彼女のSNSには美しい衣装や撮影現場、韓国語でのインタビュー動画が並び、まるで別世界を生きているようだった。
一方の鷹真は、日本の実業家として国内外を飛び回る。
父の会社の後継者としての責務を背負いながら、無口なまま、ただ誠実に仕事をこなしていた。
会えない時間が日常になっても、ふたりは“繋がっている”という確信を手放さなかった。
けれど――
璃子:「もうすぐパリコレのために数ヶ月ヨーロッパ。たぶん……半年は戻れないかも」
鷹真:「……わかった。頑張って」
璃子:(ああ、この人……全然、何も言ってくれない)
電話の向こうの沈黙が、時に一番つらかった。
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第二章 傷つけたくない、けれど
璃子は自分の夢をひとつずつ叶えていた。
だけど、その先でふと虚しさがこみ上げる夜もあった。
韓国のマネージャー:「最近元気ないね、璃子さん。恋人とは大丈夫?」
璃子:「うん、会えないけど……信じてるから」
自分にそう言い聞かせながらも、ある夜ふとつぶやいてしまった。
璃子:「本当は、わかんないよ……彼が今、私を“必要”って思ってくれてるのか……」
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第三章 沈黙の帰国
ある日、日本の空港で。
鷹真:「……急に帰国して、どうした」
璃子:「ねぇ鷹真、私たち、付き合ってる意味あるのかな?」
鷹真は黙ったまま、璃子を見つめる。
璃子:「ずっと信じてた。でも、あなたは何も言ってくれない。たった一言、“寂しい”って言ってくれたら、私、また飛べたのに……」
そのまま璃子は、何も答えを聞かぬまま空港を後にした。
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第四章 答えは言葉ではなく
数日後、璃子のもとに1通の小包が届いた。
中には、かつてシェアハウスでふたりが並んで撮った古いチェキと、手紙が入っていた。
璃子へ
言葉で伝えるのが下手だった。
でも、あの日から今まで、毎朝君のSNSを見ていた。
君がどんな服を着て、どんな顔をして、どんな場所で頑張っているのか。
それを知ることが、俺の一日を始める方法だった。
君がいない毎日は、寂しかった。
でも、寂しいと伝えることで君を縛る気がして、怖かった。
だから、言わせてほしい。
君がどこにいても、俺は――
「璃子が、好きだ」
世界中のどこにいても、君と一緒に未来をつくりたい。
鷹真
璃子は手紙を抱きしめ、ぽろぽろと涙をこぼした。
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第五章 ふたりの約束
それから数ヶ月後、璃子はパリの撮影を終え、休暇を利用して鷹真と再会する。
東京の夜景を見下ろすレストランで、鷹真は真っ直ぐ璃子に向き合った。
鷹真:「璃子、俺は来年、韓国に駐在が決まった。会社の新支社立ち上げの責任者として」
璃子:「……ほんとに? 私のそばに……来るの?」
鷹真:「うん。距離に負けない自信はあるけど、何よりも……君と、ちゃんと隣に立ちたい」
璃子:「それなら、私も“離れてること”に甘えない。あなたの隣、ちゃんと支えるよ」
ふたりは固く手を取り合い、再び世界のどこにいても、“ふたり”であることを選んだ。
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エピローグ
数年後。
ソウルと東京、ふたつの都市を拠点に活動を続けながら、璃子と鷹真は静かに結婚を決めた。
挙式はシンプルなもので、旧友たちだけを集めて行われた。
式の終わり、璃子が語った言葉は、会場を優しく包んだ。
璃子:「誰かの隣で、“自由”と“責任”を両方愛せるようになったのは、鷹真のおかげです」
鷹真は何も言わず、照れたように璃子の手を握る。
それが、彼なりの「愛してる」だった。
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―「璃子と鷹真の国際遠距離恋愛編」完―




