Next:紬と陽翔の社会人編
第一章 それぞれの朝
春、東京。
紬は出版社で働く新入社員。毎朝早くから満員電車に揺られ、雑誌編集部で怒涛の日々を送っていた。
上司:「紬ちゃん、次の連載、撮影現場押さえられる?」
紬:「は、はいっ!あの、モデルのスケジュールは今日中に……!」
ミスも重ねながら、毎日を懸命に生きる。
それは、高校時代に交わした“ある約束”が心にあるから。
――「いつか、自分の言葉で誰かの心を動かしたい」
一方、陽翔は親が経営するホテルグループの系列ブライダル部門で働いていた。
現場主義で、式場の準備から接客、時にはトラブル対応まで。
部下:「陽翔さん、あの件、クレーム対応お願いできますか?」
陽翔:「もちろん。大丈夫、俺に任せて」
周囲の信頼も厚いが、忙しさの中で、紬とゆっくり会う時間は減っていた。
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第二章 週末のすれ違い
ふたりは交際を続けていたが、会えるのは月に数回。
久しぶりの週末デート、紬は陽翔の腕を取りながら笑顔で話す。
紬:「今度、取材で海外行くかも。緊張するけど、楽しみ!」
陽翔:「すごいな、紬。……でも、ちょっと心配でもある」
紬:「ん? 心配って?」
陽翔:「君が遠くに行っちゃいそうで、さ」
――ふとよぎる不安。
ふたりの人生は、ゆっくり、でも確かに異なる道を歩き始めていた。
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第三章 告白と沈黙
取材で一ヶ月間ヨーロッパへ渡った紬。
帰国後、久々に再会した陽翔に、思い切って口にする。
紬:「ねぇ陽翔……もしさ、私が海外で働くことになったら……どうする?」
陽翔:「……俺は、東京から離れられない。今は、会社の中枢に関わり始めてる」
紬:「……そっか」
ふたりの間に沈黙が落ちる。
“ずっと一緒にいられる”と思っていた日々に、現実の影が落ち始めていた。
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第四章 あの場所で
半年後。
紬はひとりで、かつてのシェアハウスを訪れる。もう誰も住んでいないその場所に、静かに座り込む。
紬:「私、どうしたらいいんだろう……」
すると、玄関のチャイムが鳴る。
そこに立っていたのは、陽翔だった。
陽翔:「……なんとなく、来る気がした。ここに来たくなるときって、君が迷ってるときだから」
紬:「ねぇ陽翔、私たち……このまま、すれ違ったまま進むのかな」
陽翔はしばらく黙っていたが、ゆっくりと口を開く。
「紬。俺、ホテルの海外支社立ち上げに手を挙げた。……君と、同じ空の下にいたくて」
紬:「……え?」
陽翔:「まだ先の話だけど、君と一緒に、どこにでも行くよ。だって、俺の“家”は、君がいる場所だから」
その言葉に、紬の瞳から大粒の涙がこぼれる。
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第五章 プロポーズと未来
それから2年後。
ふたりは海外での仕事を終え、再び日本に戻っていた。
陽翔は紬を連れて、夜のシェアハウス跡地に立った。
あの日と同じ星空の下。
陽翔:「ここが、俺たちの原点。だから、ここで言いたい」
ポケットから取り出されたのは、ひとつのリングケース。
陽翔:「紬。俺と結婚してください」
紬:「……うん。もちろん、はい!」
ふたりは、星降る夜に誓い合った。
過去と未来の全てをつなぐ場所で。
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エピローグ
数ヶ月後、家族と友人に見守られながら、ふたりは結婚式を挙げる。
誓いの言葉は、陽翔らしくシンプルで、紬らしく温かく。
紬:「あなたのそばで、生きていくことを選びます」
陽翔:「君となら、どこへでも。何度でも、出発できるから」
列席していた親たちは、涙ながらに見つめ合っていた。
葵蘭:「……シェアハウスの、未来がこうして続いてるなんてね」
健太:「最高のストーリーじゃないか」
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―「紬と陽翔の社会人編・結婚までのストーリー」完―




