次世代特別編・続編 「紬が歩く、家族の道」
第一章:はじめの一歩
ある秋の午後。
紅葉が舞い散る公園で、陽葵と凛翔はベンチに座り、紬を見守っていた。
「……あ、あ、あ!」
「紬、がんばれー!」
ふらふらと、小さな足でよちよちと前に進む。
――そして、コテン。
「うわ〜ん!」
「はいはい、よくがんばった!」
凛翔が急いで駆け寄り、陽葵が笑いながらハンカチを差し出す。
ふたりの間で、紬はすぐに泣き止んで、にこっと笑った。
「……あれが“最初の一歩”ってやつ、だね」
「親のほうが泣きそうなんだけど」
そんな陽葵の言葉に、凛翔はそっと彼女の肩を抱いた。
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第二章:ことばと想い
「ままー、ぱぱー、おはよ〜!」
ある朝、紬がはっきりした言葉で呼びかけてきた。
陽葵と凛翔は目を合わせて、小さくガッツポーズ。
「すごい! 言えたね!」
「言えたね〜、すごいね〜!」
――でも、言葉を覚えれば覚えるほど、子育ては新しい悩みにぶつかっていく。
「イヤ! ぜったいやー!」
「う、うん。わかった……けど、それは食べようか?」
「イヤっ!」
紬がスプーンをはねのけ、味噌汁がテーブルにぶちまけられる。
「……これが“魔の二歳児”か……」
「凛翔、笑ってる場合じゃない」
それでも、夜になれば小さな腕でぎゅっと抱きついてくる。
「だいすき、まま」「だいすき、ぱぱ」
それだけで、何もかも許せてしまうのが親心だった。
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第三章:シェアハウスでの休日
ある日、3人で久々にシェアハウスを訪れた。
そこには、舞と傑、葵蘭と健太、そして懐かしい空間がそのまま残っていた。
「ここが、ままがいたおうち〜?」
紬は興味津々に家の中を歩き回り、懐かしいソファに登ってぴょんぴょん跳ねた。
「こらっ! ソファで跳ねない!」
「いいじゃない。私も昔よくやってたし」
「えー!」
「えーじゃないよ!」
家族全員が集まるシェアハウスで、紬はたくさんの“大人に愛される子ども”として、その存在感を放っていた。
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第四章:子どもの世界、親の想い
ある日、保育園で紬が泣き出したという連絡が陽葵に入った。
駆けつけると、紬はぽろぽろ涙をこぼしていた。
「……まま、きょう、こないかとおもったの」
陽葵はその小さな体をぎゅっと抱きしめた。
「ごめんね、遅くなって。でも、絶対に迎えにくるよ。だって、ままは紬の“まま”だから」
――子どもの不安は、ちいさな心に隠れた大きな思い。
陽葵はその日から、仕事を調整し、凛翔とも分担しながら、紬の“心の安心”を最優先にするようになった。
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第五章:家族、つながる未来へ
春。紬は幼稚園の制服を着て、初めての登園を迎えた。
「まま、ぱぱ、いってきます!」
門の前でふたりに手を振り、笑顔で走っていく紬。
「……行っちゃったね」
「……ほんと、大きくなったね」
陽葵はふと凛翔に寄り添い、手を繋いだ。
「ねえ、これからもずっと、“家族”でいようね」
「もちろん。陽葵がいて、紬がいて……それが俺たちの宝物だから」
――小さな命と過ごす、かけがえのない日々。
喜びも不安も、泣き顔も笑顔も全部ひっくるめて、“家族”は続いていく。
そしてその絆は、これから先の未来にも、ずっと――
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―次世代特別編・紬の成長編:完―




