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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

猫と呼ぶと猫になります。

作者: 寝舟はやせ


 猫と呼ぶと猫になります。

 大体のものはそうなので、私はいつも捻れたタオルのことは猫と呼んでいました。とても可愛くて汚くて、いつも元気でした。


 冷蔵庫も猫でした。中身はカニカマと子持ち昆布で、猫の内臓とはこうも可愛く美味しいものかと思いました。

 浴室も猫でした。暖かくて冷たくてぬるくて柔らかくて液体なので猫でした。


 布団も猫でした。毎回上に乗ってきて、たまに夜中にはどこかに居なくなっています。

 居ます。


 猫と呼ぶと猫になりますので、私は彼女の爪の剥がれた指を切るために爪切りを用意し、ペンチを爪切りと呼ぶと大体構造が同じですので何とかなりました。

 猫は部屋の隅が好きでした。いつも暗がりでじっとしていました。引っ越してきた時には既に居ました。

 やわらかくて大きくて直立不動でじっとこちらを見ていました。私ではなく、己をそこに吊るした仲山文憲を見ていました。


 郵便物は猫でしたので、頭の方から裂きました。猫を殺せるともっと大きなものを殺せるそうです。大抵はねずみあたりから抵抗があるそうです。猫はネズミを殺しますので、私は猫と同じですが、私は猫ではありません。


 仲山文憲は猫ではありません。

 仲山文憲は五十三歳の男であり、娘が二人おり、妻を殴り、ケトルのお湯をかけるのが趣味でした。二人の猫は逃げ出し、猫は引きずられ、猫に沈められ、猫は猫しました。


 猫と呼ぶと猫になります。

 可愛いので、猫は好きです。



 今日も吊るされています。









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