第93話「静かな会話」
戦いから数日後
グラウィスとジーンは、控え室の一角でパソコンを覗き込んでいた。
「……そうだ。ウイルスの出どころ、分かったんだ」
ジーンの指先が、冷たい青光を放つ画面を叩く。
「ウイルスの出どころ?」
グラウィスが眉をひそめた。
ジーンはゆっくりと、画面に映る地図をズームする。
世界地図の中、赤く点滅する一点──中国本土。
「そう。実は中国だったんだよ」
その一言に、グラウィスの目が細くなる。
「……ってことは、あいつらはアメリカが核を撃つのを分かった上で……?」
「やっていた。」
ジーンの声は低く、どこか怒気を孕んでいた。
「このウイルスは……ゼクスが飲み込まれた瞬間、制御プログラムが変わった。中国製品以外を破壊するようになったんだ」
「なんて奴らだ……!」
グラウィスが思わず机を拳で叩く。
しかしジーンは、苦笑を浮かべて続けた。
「でもね、だからこそ、はね返してやったよ。」
「……へ?」
ジーンは画面を閉じ、グラウィスの方を見て言う。
「ゼクスが散る直前、ウイルスのサンプルを取ったのさ。そして逆に──中国製品だけを破壊するウイルスに作り変えてやったのさ。」
一瞬、静寂。
次の瞬間、グラウィスの口元に笑みが浮かぶ。
「お前が味方でよかったよ、ジーン。」
ジーンは軽く肩をすくめて、モニターの方に視線を戻した。
「礼はいらないよ。……ただ、あいつらに勝つためなら、どんな手でも使うだけさ。それと」
ジーンは少し笑いをこらえながら、ニュース記事を見せた
「内閣総辞職だってさ、つけだね」
アメリカからのミサイルで、日本が滅びかけたさいに、一目散に逃げたことで、国民から避難を受け、一時期支持率が4%にまで落ちた
「最初からやめればよかったのにね、バカな連中さ」
ジーンの言葉は確信をついていた。日本のために働けないものは、政治をやるしかくはない
「これから世界はどうなるのか」
グラウィスの質問にジーンは即答した
「少なくとも、子供たちに世界の命運を任せるような、そんな世界はもう嫌だね」




