第90話「戦いの行方」
エンガとゼクス。
ボロボロの二人は、ただ“戦士”としてそこに立っていた。
誰のためでもない。
ただ、自分が選んだこの戦いを――最後まで貫くために。
「次で終わりだ――ゼクス!」
「ああ、来い、エンガァァァッ!!」
焦げた地面の上で、二人の拳がゆっくりと構えられる。
そこにはもはや技術も戦術もなかった。
残るのは意地と、魂のぶつかり合いだけ。
エンガは右腕に、残る魔力のすべてを注ぎ込む。
血管が裂け、骨が軋み、熱が皮膚を焼く。
それでも――止めない。
「ブーステット・――!」
ゼクスもまた、崩壊寸前の魔力炉を無理やり回す。
視界は白く霞み、システムの警告が鳴り止まない。
それでも――止まらない。
「フルチャージ・――!」
空気が爆ぜる。
風が逆巻き、砂が宙に舞い、世界が鳴いた。
そして、二人の喉から同時に、魂を振り絞った叫びが響く。
「ビッグバーン!!!」
拳と拳がぶつかった。
瞬間、光が世界を覆った。
紅蓮の爆発が地平線を焼き、風がすべてを吹き飛ばす。
熱、衝撃、そして音――あらゆる要素が、ただ一点に集中し、
空が、地が、二人の拳を中心に――崩れた。
ピノンたち現実世界のモニターが、真っ白に染まる。
「何が起きた!? エンガの反応が――!」
誰もが叫び、誰もが見失った。
爆心の中心では、
光の中、二人の姿がほんの一瞬、重なった。
――笑っていた。
それは、戦いを愛し、全力で生きた者だけに許された、
最後の笑み。
世界が音を失い、白光が全てを呑み込んでいく。
そして――
静寂。




