第82話「気合と爆発」
轟音がコロシアムを包み、観客たちは息を呑んだ。
嵐のような熱気。
エンガが踏み込む。
「うおおおッ!!!」
足元が砕け、空気が歪む。
全身の魔力を解放――
「加速ォ!!」
その瞬間、雷鳴のような爆風が走った。
ゼクスは微動だにせず、構える。
「……やはり速いな」
その目は、どこか冷静で、どこか狂気を帯びていた。
「チャージ第3段階」
彼の全身が光を帯びた。
空気が震え、地面が悲鳴を上げる。
「……地鳴り…」
エンガが眉をひそめた瞬間――
ゼクスが動いた。
「俺の左腕!」
拳がぶつかり合う。
衝撃波が観客席まで届き、魔力の風が柱を折った。
「……ぐっ!?」
エンガの拳が押し返される。
「言ったろ、俺の“チャージ”は溜めた分だけ倍加する」
ゼクスの声が響く。
「ブーストは一瞬の輝きだが、チャージは積み重ねだ!」
エンガは地面に足を叩きつけた。
「なら――一瞬でお前の積み重ねを超えるまでだッ!!」
「超絶加速」
紅のオーラが彼を包み、瞬間、視界が白く弾けた。
ゼクスの周囲で、空間が歪む。
「来いよ、エンガ……」
二人の拳が交錯する。
音も、光も、空気も――すべてが消える。
一瞬の静寂。
そして――
地面が陥没し、観客席が波打つ。
爆発の中心に立つのは、二人の影。
その中から、かすかに声が聞こえた。
「……まだ……立てるだろ、エンガ!……」
「当たり前だ……これが、俺たちの、決勝だ……!」
二人はもう笑っていた。
戦いの中にしか生きられない、戦士の笑みで。




